こんにちは。理科のEです!
6月に入りました。
6月といえば夏至の月。夏至といえば夏のピーク。
太陽の南中高度が最も高くなり、昼の長さが最も長くなる日ですね。
それが6月下旬ごろです。
でもこの時期に対して日本ではあんまり「夏のピーク」という印象がありません。
その理由の1つは、気温が最も高くなる時期は遅れてやってくるから。
1日の気温の変化を見ても、太陽高度が一番高くなるのはお昼の12時ごろですが
地面の温度が高くなるのは13時ごろ。間接的に温められる空気の温度(=気温)が最も高くなるのは14時ごろになります。
これと同じように、1年の気温の変化においても、太陽高度のピークと気温のピークにはずれがあるんですね。
もう1つの理由が、今回の話題としてとりあげる「梅雨」の存在です。
日本では6月ごろから雨の日が多くなる「梅雨」が始まります。
そのため、太陽が地上を照らす時間が少なくなるので、蒸し暑くは感じますが、
夏!!!という印象になりにくいんですね。
さて、この梅雨のメカニズムですが、その前後の状態からみていきましょう。
日本周辺を大きく眺めると、西には広大なユーラシア大陸が、東にはこれまた広大な太平洋が
デーン!と存在感を放っています。
西には広大な陸地が、東には広大な海が広がっていますね。
この東に広がる広大な「水」の存在が鍵を握ります。
私たちの身体の約70%を占める水分、地球表面上の約70%を占める海の水。
この「水」という物質は温度変化に対してとてもオクテで、温まりにくく、一方で一度温まれば今度は冷めにくいという性質を持っています。流行は追わないタイプですね。
そのような水の性質によって、夏の暑い盛り、陸地はどんどん温められますが海はそこまで熱くなりません。
また、冬の厳しい寒さの中、陸地はぐんぐん冷えますが海はそれほど冷たくはなりません。
夏
冬
このように、陸地と海とで温まり方や冷え方に差ができる結果
暖かい方では上に上がっていく空気の動きが
冷たい方では下に下がっていく空気の動きが生まれます。
夏
冬
上昇気流は地表の空気を吸い込む方向の動きに
下降気流は地表から空気が吹き出す方向の動きにつながります。
その結果、
夏は海側から大陸方向へ
冬は大陸側から海方向へ
風が吹きやすくなります。
夏
冬
このように、夏や冬は、ちょうど正反対の関係で、ある意味「分かりやすい」季節です。
では、これが移り変わる途上の春や秋には何が起こるのでしょうか。
冬のピーク
冬のおわりごろ
大陸の寒さが和らぐと、大陸からの風の勢いが弱まります。
すると、
いままでは大陸からの強い風の影響に隠れていた
1年中吹いている西風(=偏西風)の影響が
表れるようになります。
この風に乗ってチベット高原から続く南方の乾いた高気圧帯の空気のかたまりの一部がちぎれて
日本にやってきます(揚子江気団)
この高気圧がやってくると晴天になり、
高気圧の後ろからは南の海上で発生した低気圧が追いかけてくるので
通り過ぎた後には今度は雨が降りやすくなります。
そのため春の天気は「変わりやすい」ということになります。同じような現象は秋にも見られます。
そしていよいよ梅雨ですね。
太平洋上に高気圧が安定して居座るようになってきますが、
まだ日本全体を覆うほどの勢力はありません。
北のオホーツク海洋上には、まだまだ冷たい空気のかたまりが残っていて、
この冷たい高気圧と、太平洋上の温かい高気圧の狭間でとても水分を多く含んだ低気圧が発生します。
これが日本付近を帯状に覆うと、全国的に雨が続く、「梅雨」となります。
ところで、察しの良い方は、あれっ?って思いませんでしたか?
なぜ、温かい空気と冷たい空気があるのに、両方とも高気圧なのか。
温かい方は低気圧になるんじゃないの?と。
そこに目を付けたあなた。鋭いですね。
実はこの時期の太平洋上の高気圧は、確かにオホーツク海と比べて圧倒的に温かいので
そちらに向かって風の流れができてもおかしくないですね。
でも、じつはこの2つの空気のかたまり、ともに「強いバック」が控えているんです。
太平洋上の高気圧には、赤道地方の低気圧が、
オホーツク海の高気圧にはシベリアとカムチャツカ半島の陸地からの熱による低気圧が控えています。
このようにそれぞれ強力な低気圧がバックについているので、どちらも一歩も譲れない高気圧どうしの押し合いになります。
年によってはオホーツク海の高気圧がさらに発達することで、東北地方に冷害をもたらすこともあります。
夏
やがて、太平洋上の高気圧の勢力がさらに強まると
梅雨が明けて、本格的な「夏」到来、となります。
最後に、日本の天気に影響を与える代表的な気団とその性質をまとめておきましたので
どの季節に、どんな働きをするのかを振り返りながら整理しておきましょう。
では、また次回お楽しみに。