みなさん、こんにちは。
受験ドクター 理科・算数担当のT.H.です。
突然ですが、凸レンズの問題って難しくないですか?
例えばこんな問題です。
焦点距離30cmの凸レンズの左側70cmの位置にろうそくを立てました。
凸レンズの右側にスクリーンを立てると、ろうそくの像がはっきりと写りました。
凸レンズからスクリーンまで距離と、できた像の高さを求めなさい。
光の問題では、光のすすむ道すじを作図することが重要です。
実はその作図の教え方が、先生によって少し異なっています。
光の作図は2本で十分という先生(左図)もいれば、
3本しっかり引くべき(右図)という先生もいます。
つくられた像の位置や大きさをイメージするだけであれば、たしかに2本で十分なのですが、
具体的に長さを計算する問題で苦戦したことのある人には3本作図する方法をおすすめします。
その理由はこの後の解法にあります。
作図した直線をもとに、相似な三角形を見つけて算数のように解くのですが、
長さの比がわかる三角形を探すと、2本作図の場合には下図のようなピラミッド型の相似が利用できます。
ヨコの長さの比から、ナナメの長さの比を考えて、
次にクロス型の相似を利用していくとろうそくの高さを求められます。
この解き方で解ければ問題は無いのですが、
ピラミッド相似 ⇒ クロス相似の変換と、
相似比7:3 ⇒ 長さの比7-3:3 = 4:3という回りくどい考えが、解法を覚えづらくしています。
これを3本作図で解くと、
まずレンズの左側のクロス相似から③は15㎝なので、ろうそくの長さが1発でわかります。
あとは先ほどと同様に、レンズ右側のクロス相似を利用して距離を計算すれば終了です。
相似形もクロス相似1種類で済みますし、利用する比も4:3の1種類だけです。
作図の線は増えてしまいますが、計算自体はシンプルになりましたね。
発想のポイントは「焦点距離は左右2か所にある」ことです。
光2本の作図では、せっかくわかっている左側の焦点距離を利用できていません。
2か所の焦点距離を活かして解くことを考えると、3本作図の発想のほうが自然です。
シンプルで無駄の無い解法は美しくて大好きなのですが、
この問題のように、あえて作図量を増やすことで発想がシンプルになることもあります。
1学期に光の単元で苦戦してしまった人も、あらためて問題を解きなおしてみて、
夏期講習以降に苦戦することの無いように準備しておきましょう。