みなさんこんにちは。
理科・算数担当のT.H.です。
今年の夏も暑かったですね~。
中学入試の理科で、夏の猛暑に関わる現象と言えば、
フェーン現象、ヒートアイランド現象、ラニーニャ現象あたりがすぐに思いつきますよね。
この3つはどれも夏の最高気温に大きなかかわりを持ちますが、
その中でも局地的に予想外の高温をたたき出すときには、フェーン現象が関わっていることが多いです。
今年も暑かったから理科の入試はフェーン現象に要注意だなんて生徒と話していると、
「今年はどこかでフェーン現象起こったの?」なんて質問がきます。
「あ~、わかってないんだな。」と確認できる瞬間です。
結論から言うと、「フェーン現象はしょっちゅう起きている」 、、、はずです。
フェーン現象の問題は、気温や湿度の計算がメインですが、
「どこでフェーン現象が起こる可能性がありますか」などと出題される可能性もあります。
その現象が起きるメカニズムをしっかり理解し、判断できる能力を養いましょう。
フェーン現象は、風が山脈などを超えて吹くときに、吹き降りた空気が高温・乾燥する現象です。
この現象に必要なものが3つあります。
➀湿った空気
②風が回り道するのではなく、乗り越える必要のある連なった山々 = 山脈
③山を乗り越えられるくらいの強い風
山が多くてまわりを海に囲まれている日本では➀と②の条件は満たされています。
③の風は時間帯や季節によって変わりますね。
ここで問題です。
黄色い円は強風域を表しています。
台風によってフェーン現象が起きていると考えられる都道府県を選びなさい。
ア.埼玉県 イ.新潟県 ウ.大阪府
ここで必要なのは、「フェーン現象は風が山脈を超えた先で起こる。」という知識です。
主要な山脈・山地・高地と、台風の風向きを描きこんでみます。
フェーン現象は山脈を超えた後、赤斜線のあたりで起こる可能性があります。
したがって、答えはイの新潟県です。
もちろん可能性があるというだけで、実際に起きているかはわかりません。
例えば社会で学習する「やませ」などは、冷害の原因となる風ですが、北上高地を吹き降りてきています。
なぜフェーン現象が起こらないかというと、北上高地の標高がそこまで高くないので、風が山を越える際に空気が冷えきらずに、雲が発生しないからです。
北上高地が山脈と呼べるほど高い山々の連なりであれば、フェーン現象によって冷害が防げていたかもしれませんね。
結局フェーン現象は、山があって風が吹けば起きるということです。
冬の日本の天気は「日本海側で雨や雪、太平洋側は晴れて乾燥」が特徴ですが、これは北西からの風が越後山脈などを超える際に雨を降らせ、乾燥した空気が吹き降りています。
完全にフェーン現象と同じ説明になっていますよね。
実は冬でもフェーン現象は頻繁に起きているのですが、まわりが寒いので気にならないんです。
意外と身近な現象だということが伝わったでしょうか。
フェーン現象の仕組みをしっかり理解し、様々な出題パターンに対応できるようにしましょう。
次回はフェーン現象の計算問題を扱います。
受験生のみなさん、お楽しみに。