みなさんこんにちは。
理科・算数担当のT.H.です。
前回はフェーン現象がどうやって起こるかを、ざっくりと説明しました。
それをふまえて、実際の入試ではどのような計算問題が出るのかを見ていきましょう。
フェーン現象の計算問題は、温度変化の問題か湿度変化の問題のどちらかです。
湿度変化の問題は温度変化の計算をともなう場合が多いので、よりハイレベルです。
パターン➀ 温度変化
途中のB地点(標高700m)から雲ができ始め、山頂のC地点(標高2500m)まで雲ができていました。A地点での気温が25℃だとすると、B,C,Dの各地点の気温は何℃になりますか。
晴れている場合、標高が100m上がるごとに気温が1℃下がりますが、くもっている場合には標高が100m上がるごとに気温が0.5℃下がるものとします。
まずB地点の気温を求めます。
気温の計算は標高を見るのではなく、基準地点との標高差に注目してください。
(問題によってはA地点が標高0mではない場合もあります。)
A地点とB地点の標高差は 700 – 0 = 700m あります。
100mごとに1℃下がるので、その7倍の7℃下がって、25 – 7 = 18℃
次のC地点は、B地点と 2500 – 700 = 1800m の標高差があります。
この区間は雲ができているので、100mごとに0.5℃だけ下がるので、その18倍で9℃下がって、
18 – 9 = 9℃
最後のD地点は、C地点との標高差が2500m、雲はありません。
標高が下がると気温は上がるので、25℃上がって 9 + 25 = 34℃ となります。
答え B 18℃、C 9℃、D 34℃
標高差と、雲が出ているかどうかを考えれば温度の計算自体は簡単です。
パターン② 湿度変化
答えは小数第2位を四捨五入し、小数第1位までの百分率(%)で答えること。
湿度の計算には、下の飽和水蒸気量表の数値を使うこととします。
ここで勝敗を分けるポイントは、
雲が出ている ⇒ 空気中に水蒸気が含みきれなくなった ⇒ 湿度100% と考えられるかどうかです。
これがわからないと、水蒸気量がどこもわからずに、計算が始められなくなってしまいます。
B地点(18℃)が湿度100%ですから、空気中の水蒸気量は飽和水蒸気量と同じ15.4gとわかります。
A地点からB地点までは 雲が出ていない = 水蒸気量が変わらない なので、A地点の水蒸気も15.4g。
A地点は25℃、表より飽和水蒸気量は23.1g。
よって湿度は 15.4 ÷ 23.1 × 100 = 66.66… ⇒ 66.7%
同様にC地点(9℃も湿度100%ですから、表より水蒸気量は8.8g、D地点はC地点と同じで8.8gです。
D地点(34℃)の飽和水蒸気量は37.6gなので、湿度は 8.8 ÷ 37.6 × 100 = 23.40… ⇒ 23.4%
答え A 66.7%、B 100%、C 100%、D 23.4%
▼ フェーン現象とは、山を越えて吹く風が高温・乾燥になる現象
▼ 雲が出ている場所は湿度100%
▼ 雲の出ていない場所では水蒸気量は変化しない
フェーン現象は、ほぼ間違いなく計算問題として出題されます。
しかしながら、原理を理解していないとすんなりと計算に持ち込むことが難しくなります。
知識を軽んじることなく、原理・原則を頭に入れて入試での対応力を身につけましょう。