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投稿日:2021年08月13日

テーマ: 理科

方位磁針と右ねじの法則

みなさんこんにちは。
理科・算数担当のT.H.です。

突然ですが、「電流と磁界」の単元は好きでしょうか。
私の実感では、女子に不人気な単元第1位かもしれません。
そもそも電気回路が苦手な上に、覚える内容が多いこと嫌われる理由のひとつだと思います。

電流と磁界の問題は、大きく分けて下の3パターンです。

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この3パターンは、すべて「電流の向き」と「磁界の向き」の関係を調べる方法です。
本質的には同じことをしているのですが、②だけ特例的な解き方になっていることにお気づきでしょうか。

① = 「グー」   ② = 「パー」   ③ = 「グー」

なぜ②だけパーなのか。
教える側の立場としては、「教えやすいから」という理由で片付きます。
実際に私も方位磁針の問題は②の解き方で解きます。

しかし、「教えやすいから」は、「理屈の説明が面倒だから」と一緒です。
本質を理解してもらうためには、一貫した理屈で教えていくのが本来の姿です。

と、いうわけで、②のパターンを①と同様の「右手のグー」で考える方法をご紹介します。

ここで使うのは、①で利用している「右ねじの法則」
これだけです。

「右ねじの法則」とは、導線を流れる電流の向きと、そのまわりの磁界の向きの関係をあらわすもので、
電流の向きをねじの進む向き、磁界の向きをねじの回る向きとして、ねじをしめる作業に例えられます。
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電流の進む向きに対して、右回りの磁界ができるというルールなので、電気回路全般に利用できます。
例えば左下図のような回路で、A地点のまわりにできる磁界の向きを考えます。
右ねじの法則を利用するため、電流の向きと親指の向きを合わせて、右手で導線をにぎります。
すると右下図のように、
・導線の手前(上)側 ⇒ 右方向の磁界
・導線の奥(下)側 ⇒ 左方向の磁界
上記のように、手前と奥で異なった向きの磁界ができていることがわかります。
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磁界の向きが分かるので、A地点に方位磁針を置いたときにN極が振れる向きも判明します。

・方位磁針が導線の手前(上)側の場合

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方位磁針のまわりには右方向の磁界があるので、N極は東側に振れます。

・方位磁針が導線の奥(下)側の場合

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先ほどとは逆に左方向の磁界があるので、N極は西側に振れます。

右手のグー(右ねじの法則)を使って解くことができましたね。
「必ずこれを使うべきだ」と言うことではありません。
ただ、「電流と磁界の関係はたった右ねじの法則ですべて説明できる。」 
このことを知っておくと余計な混乱を防げるはずです。

理科ドクター