みなさんこんにちは。
理科・算数担当のT.H.です。
奄美大島、徳之島、沖縄島北部および西表島が世界自然遺産に登録されました!
奄美、徳之島にはアマミノクロウサギ、ルリカケス。
沖縄にはヤンバルクイナ、イリオモテヤマネコ。
限られた地域のみに生息する生物、まるでガラパゴス諸島のようですね。
ガラパゴスと言ったら生物多様性、「種の起源」の作者である ダーウィン は要チェックです。
遺伝研究の メンデル あたりも調べておくと良いかもしれません。
(そろそろ中学校が入試問題を作り始めている時期ですからね。)
さて、本日の主役は「アマミノクロウサギ」です。
こんな問題が出題されたら、良い答えを予想できるでしょうか。
「アマミノクロウサギ」と、我々がイメージする「ウサギ(ノウサギ)」の体の違いは以下の通り。
・体毛が黒い。
・足が短く、ツメが発達している。
・耳が短い。目が小さい。
入試に必要な知識で考えると、からだの特徴は下の表のようになっています。
南に行くほど(赤道に近くなるほど)体毛が黒くなる。
これは強い紫外線から身を守るためなので、納得です。
アマミノクロウサギはもっと南の地域から移ってきたのかもしれませんね。
しかし温暖な地域では、表面積を大きくして熱を効率よく逃がすため、耳は大きくなるはずです。
この矛盾を解消するためには、アマミノクロウサギの生活環境を考える必要があります。
ウサギは穴を掘るのが得意ですが、アマミノクロウサギのツメは特に発達しています。
土中に巣穴をつくり、入り口をふさいだりするなど、敵からかくれる技術に長けているのです。
このことから、『巣穴で邪魔にならないように足や耳が短くなった』が解答その①です。
ただし、かくれて生活するには不利な特徴もあります。
鳴き声で仲間同士のコミュニケーションをとるんです。天敵に居場所がばれますよね?
こんなちぐはぐな特徴があるのは、天敵が少ない環境だったからではないでしょうか。
『天敵が少ない環境なので、危険を察知するための長い耳は必要なかった』が解答その②です。
「短い耳に進化した。」のではなく、
「長い耳に進化する必要が無かった。」と考える方が自然かもしれません。
大昔からほとんど進化せずに特徴を保っていることから、
アマミノクロウサギは「生きている化石」と呼ばれます。シーラカンスなどと一緒ですね。
このように生物の特徴、生態を知っておくと、時事問題への対応力が上がります。
アマミノクロウサギやヤンバルクイナの天敵であるマングースの話から、外来生物や食物連鎖の問題に。
後ろ脚だけ白いアマミノクロウサギがいることから、遺伝の問題に。
沖縄のサンゴ礁の話から、地球温暖化などの環境問題に。
いくらでも派生した入試問題を作ることができるので、知識は多いほうが有利です。
入試まで若干の余裕があるこの時期こそ、図鑑、テレビ、インターネットなどから情報を集める
調べ学習をしてみてはいかがでしょうか。