みなさんこんにちは。受験ドクターの石田新一です。
一段と寒くなってきましたね。入試直前期は何より体調管理が大切です。
入試まであとわずか、日々の勉強にも力が入っていることと思います。
直前期は、あれもこれも気になるところですが、「知識」に関しては入試直前まで粘り強く覚えていくことで得点が上乗せできます。
今回は理科の人体に関する知識についてお伝えします。
前回もお伝えしましたが、「使える知識」というのは、ただ単に言葉を覚えるのではなく、
つながりを持った知識を身に付けることで、設問に対して正しく答えることができるようにするということです。
「三大栄養素と消化液」
「三大栄養素」は皆さんご存知だと思いますが、どの消化液が何に働き、何に消化されどこで吸収されるかという一連の流れを覚えておく必要があります。
ここでのポイントは、ブドウ糖とアミノ酸は水に溶けやすいので毛細血管で吸収され、脂肪酸とモノグリセリドはもともと水に溶けない油分なので、消化されても毛細血管では吸収できず、それより太いリンパ管で吸収されるということです。ちなみに、小腸の柔毛の壁を通り抜けた脂肪酸とモノグリセリドは、再び脂肪となり、脂肪の状態でリンパ管から吸収されます。
小腸で吸収されたこれらの栄養分を含む血液は肝臓に送られます。ここで肝臓の働きを確認しましょう。
「肝臓の働き」
①栄養分をたくわえる(グリコーゲンとして)
②たん汁(たん液)をつくる⇒肝臓のすぐ下にある「たんのう」にたくわえる
③アンモニアを毒性の低い尿素に変える⇒「じん臓」でこしとり「尿」にする
以上の3つは必ず覚えておきましょう。
話は戻りますが、消化液には基本「消化酵素」が含まれています。以下にまとめます。
ここでのポイントは、「たん汁」は唯一消化酵素を含まない消化液だということです。
今までの話から分かることがあります。それは血液の中に含まれている成分についてです。
「栄養分を多く含む血液は?」
食後しばらくの間は、小腸から肝臓に送られる血中に最も多くの栄養分が含まれています。
これは、小腸で吸収した栄養分は肝臓にたくわえられるということから分かります。
では、空腹時はどうでしょう。
これは、肝臓から全身へ送られる血中に最も多くの多くの栄養分が含まれます。
空腹時は肝臓でたくわえておいた栄養分を全身に送り出すことから分かります。
「不要物が少ない血液は?」
じん臓で尿素がこしとられるのと同時に、他の不要物もこしとられるので、じん臓を通った後の血中には二酸化炭素以外の不要物は最も少ない状態になっています。
このように、つながりをもって知識を覚えていくことが、問題の正解を導き出すポイントとなります。
次に、血液の成分とそのはたらきについて確認したいと思います。
「血液の成分とはたらき」
<成分> <はたらき>
・赤血球 ⇒ 酸素を運ぶ(赤い色素のヘモグロビンを含んでいる)
・白血球 ⇒ 体内の菌を殺す
・血しょう ⇒ 栄養分と不要物を運ぶ
・血小板 ⇒ 血を固める(凝血作用)
赤血球は酸素濃度の高いところでは酸素と結びつき、酸素濃度の低いところでは酸素を放すという性質があるので、体のすみずみまで酸素が行き渡ります。
最後に、血液の名称と血管の名称について確認したいと思います。
「血液の名称と血管の名称」
酸素を多く含む血液を「動脈血」、二酸化炭素を多く含む血液を「静脈血」といいます。
それに対して、心臓から血液を送り出す血管を「動脈」、心臓に血液を送り込む血管を「静脈」といいます。
全身から心臓の右心房に戻ってくる血液が流れる血管は「大静脈」、心臓の右心室から肺へ血液を送り出す血管は「肺動脈」、
肺から心臓の左心房に血液を送り込む血管は「肺静脈」、心臓の左心室から全身へ血液を送り出す血管を「大動脈」とそれぞれ名前が付けられています。
ここで注意するべきは、肺動脈には静脈血が、肺静脈には動脈血が流れているということです。
血液の名称と血管の名を決める根拠が異なっているためにこのような名称になっています。
このように、「なぜ?」という理由を明確にすることで覚えやすくなるのです。
今回お伝えしたことは他の知識を覚えるときにも共通して言えることです。
さらに言えば、長期記憶として定着させるためには繰り返しの「インプット」と「アウトプット」の作業が必要になります。
入試直前まで、粘り強くこの作業を行って頂ければと思います。
皆様の合格を願っております。最後まで頑張ってください!!