皆さんこんにちは。
受験ドクター講師の勝山利信です。
さて、今回は理科の分野の中でも苦戦する生徒が多い、力のつり合いについてお話していきたいと思います。
まずはシンプルなものから、ばねの長さと力のつり合いについて考えていきましょう。
そもそも、重さという目には見えないものを、ばねはかりを使うことで数値化しているわけで、便利なのですが、複雑な組み合わせ方で出題されると状況が正しくつかめずに場当たり的な計算になってしまいがちです。
そこで、正しく状況をつかみ、正しく計算するにはどうすれば良いのかお話しします!
10gのおもりをつるすと1cm伸びるばねがあります。
ではそのばねに50gのおもりをつるすと何cm伸びるでしょうか?
重さが50÷10=5より5倍になったので、5cm伸びますね。
これはすぐにイメージできた人も多いと思います。
それでは次の図のようにおもりをつるすとどうなるでしょうか?
ばねが伸びた状態で力がつり合って止まっています。
定滑車で力の向きが変わっていますが、ばねにかかる力は50gなので、ばねの伸びは5cmです。
ここまでの理解は順調でしょうか?
状況をつかむのが少し難しくなるのが、次のような場合です。
「50gのおもりが2つあるから、合わせて100gの力がかかっているのかな?」
そのようにとらえてしまっている場合は、力のかかり方がイメージできていないことになります。
正しく状況をつかむにはどうしたら良いのか?
それは、物体ごとにかかっている力のつり合いを確認すると正確に見えてきます。
ばねが1つ、おもりが2つあり、つないでいるひもにかかる力は定滑車で向きを変えています。
少し位置をずらしてばらばらにしてみましょう。
おもりには重力がかかっていますから、重さである50gの力が下向きにかかります。
おもりが落ちないように、ひもが支えていますから、おもりとひもが50gの力で引き合います。
すると、ひもが落ちないようにばねが支えるので、ひもとばねが50gの力で引き合います。
ばねは左右から50gの力がかかるので、逆向きの同じ大きさの力がかかっている状況と分かります。
50-50=0、力のつり合いがとれたので、ばねが伸びた状態で止まります。
これは50gのおもりをつるしたときと同じ状況なので、同じく5cm伸びることになります。
さあ、最後の問題ですが、次の図の状況が正しくつかめれば基本はばっちりです!
ばねの右側に50g、左側に80gのおもりをつるしたところ、80gのおもりは床に接し、全体がつり合って止まっています。
まずは先ほどと同じように物体ごとにばらばらにしてみましょう。
おもりにはそれぞれの重さ分の重力がかかります。
50gのおもりはひもが支えており、そのひもをばねが支えているので、それぞれ50gの力で引き合います。
ばねは伸びた状態で止まっているので、左右から50gの力がかかって、力がつり合っています。
すると、80gのおもりはひもにより50gの力で引き上げられていることになりますが、それだけでは80gのおもりを支えることができません…。だから、80gのおもりは床に接しているのですね!
最後は床が80−50=30より、残りの30gの力を支えているととらえれば、この図の状況を正確につかんだと言えるでしょう。結果的に、ばねにかかる力の大きさは50gなので、5cm伸びていることになります。
いかがだったでしょうか?
目には見えない力のかかり方を、イメージできましたか?
力のつり合いを考える問題では、ばね以外にもてこや滑車、輪軸を組み込んだ状況が与えられたり、おもりを水に入れて浮力まで考えたりと、難易度は幅広く出題されますが、どのような組み合わせになっていたとしても、、物体ごとにかかっている力のつり合いを確認することで、問われている内容について正確に考えることができるようになります!正しいテクニックを学んだ上で、しっかりと演習を積み重ねていきましょう。
目指せ、力学マスター!
それでは、またお会いしましょう!