皆さんこんにちは。
受験ドクター講師の勝山利信です。
今回は、イメージ力upのために柱状図の利用についてお話しします。
理科の分野としては「大地の変化」に関する問題です。地学で学習する内容は規模が大きいものが多いため、実物を簡略化したモデルを用いて考えることがほとんどです。そのうちの一つとして地質柱状図というものがあります。実際には見ることができない、地面の下がどのような構造になっているのか、イメージできるように柱状図のとらえ方についてお話ししたいと思います。
【そもそも地質柱状図って何?】
後ほど具体的な図が登場しますが、地質柱状図は主に建物を建てるときに、建物を支える土台をどこに作ればよいか調べるために使います。大きな建物ほど、土台が安定しないと建物の重さで傾いてしまったり、その傾きによって建物が壊れてしまったりしてしまいます。そのために地面の下がどのような構造になっているか知りたいのですが、簡単には分かりません。がけになっていて地層が外に現れている場所では直接地面の下の様子を見ることができます。あのような様子を調べたいときに、地質柱状図が役に立ちます。
【どうやって調べるの?】
地下の様子を調べるためには、ボーリング調査を行います。地面に長い筒状のパイプで穴を掘ることで、土や岩石を採集し、どの深さにどんな地層があるのかを調べます。クッキーを作るときの型抜きを想像してください。クッキーの生地が地層で、パイプが型抜きの役割をしています。硬い岩盤を掘りぬくためにパイプの先には工業用のダイヤモンドが使われたりもします。地点を変えて直径10cmほどの穴を掘って調べることで、全体的な地層の広がりをイメージすることができるようになります。
【どのように利用するの?】
それでは、具体的な問題を通して地質柱状図のとらえ方について学んでみましょう!
図1の地図上の地点A~Dにおいて、地下の様子がどのようになっているかを調べると、《調査結果》とともに、深さ5mごとの様子が図2のようになっていることがわかりました。
《調査結果》
この地域の地層は、曲がりくねるような変形や傾き、ずれ、上下の逆転などは観察されず、水平にたい積していた。
このとき、地点Eの深さ5mごとの地下の様子を図2の柱状図のように表すとどのようになると考えられますか。(2021豊島岡女子学園中学校 改)
なかなか複雑で情報の量も多い問題です。目的を持ってしっかりと与えられた情報を生かし考えていきましょう。
今回問われているのは、地点Eの地下の様子についてです。地点Eは40mと60mの等高線のちょうど間にあるので、標高50mととらえましょう。ではここから図2のような柱状図に表すにはどうしたら良いのでしょうか?
地質柱状図の扱い方で鍵を握るのは、この一点!「深さを標高に書き換える!」ことです。
今回はイメージしやすいように標高にそろえて図を動かしますが、何が起こっているのかが理解できれば与えられた柱状図にメモを付け足すだけで解答を取り出すことができるようになります。では、先ほどの地質柱状図を動かしてみましょう。地点A(標高40m)と地点B(標高60m)の地質柱状図から地点Eの地下の様子をイメージすることができます。
今回は《調査結果》に「曲がりくねるような変形や傾き、ずれ、上下の逆転などは観察されず、水平にたい積していた。」とあるので、標高に対応する岩石の種類がわかれば地点Eの地下の様子もイメージすることができます。地層に傾きがある問題はこの問題の応用編となりますが、その場合でも深さの情報を標高に書き換えて考えることは変わりません。根本原理をしっかりと押さえましょう!
テキストを開けば様々な図やモデルが載っています。重要なことは、どんな情報をどのように取りだして考えるかです。それぞれの図に込められたポイントを押さえて考え方の土台をしっかり固めて問題演習に取り組みましょう!
目指せイメージ力UP!
それでは、またお会いしましょう!