皆さんこんにちは。
受験Dr.講師の勝山利信です。
前回に引き続き生物分野の知識事項を話題に、テストで得点化を図ることを目的とした場合に「何を覚えればよいのか」という視点で知識定着力を向上させるためのお話をします。
予想外の生物~騙されやすいがそこが面白い!~
次の生物はどの分類に属するでしょうか?早速、考えてみてください。
セキツイ動物ですので、①魚類・②両生類・③ハチュウ類・④鳥類・⑤ホニュウ類のいずれかにあてはまります。
・イモリ ・イルカ ・カメ ・カモノハシ ・クジラ ・コウモリ ・サメ ・サンショウウオ
・シャチ ・ダチョウ ・タツノオトシゴ ・ヘビ ・ペンギン ・ヤモリ ・ワニ
分類を問われたときに、間違えやすい・悩みやすいセキツイ動物の中でも出題頻度の高い生物名を五十音順に挙げてみました。すでに問題集やテストで出題され、間違えた経験があるお子さんは意識して覚えることができているかもしれません。また、日を置いて問われると再び間違えてしまったり悩んでしまったりすることもあると思います。
なぜ、これらの生物の分類を問われたときに間違えやすく悩みやすいかというと、
①生物名や姿かたちがややこしいく混同、混乱が起こる
②その分類にあてはまる生物の多くが持つ特徴に当てはまらない
③他の分類の生物が持つ共通点にその生物もあてはまってしまう
などの理由が考えられます。
例外はテストで問われやすいので注意
理科の生物のテストでは、正しく知識を押さえられているか直接問う問題が多く出題されます。
そのような問題のなかでも、①~③にあてはまるような特徴のある生物は不意に問われたときに誤答してしまうので、その分類にあてはまるような代表的な生物の中に織り交ぜて出題されるので注意が必要です。
①の理由にあてはまる生物は
・イモリ ・ヤモリ ・サンショウウオ ・タツノオトシゴ です。
イモリとヤモリは名前が似ていて、大まかな絵を書いて見ると姿かたちも似ており、混同が起こりやすくなります。細かな体のつくりを比べれば違いはあるのですが、その特徴があてはまるのはどちらか2択なので、選ぶときに迷ってしまうこともあります。なぜ名前が似ているかというと、漢字で表記していたものから音だけが残ったからです。漢字で表記すると「イモリ=井守」、「ヤモリ=家守」となり、それぞれ井戸の守り神、家の守り神という感覚が由来になっています。漢字表記を知っていると水中や水辺で生活をするイモリが両生類、陸上で生活するヤモリがハチュウ類と分かりますね!
サンショウウオは漢字で表記すると、山椒魚となります。魚という漢字が入っているので魚類なのかと思ったら、両生類に分類されます。姿かたちを確認しておきましょう。
タツノオトシゴは姿かたちを見ても、何類か判別しにくい生物です。独特な形をしていますが、エラ呼吸をし、ヒレもあるので魚類に分類されます。
②の理由にあてはまる生物は
・イルカ ・クジラ ・シャチ ・サメ ・ダチョウ ・ペンギン です。
イルカ、クジラ、シャチは水生のホニュウ類に分類させます。
ホニュウ類は肺呼吸をするので、そのほとんどは陸上で生活しています。
水中で生活する生物は、魚類や両生類の幼体がエラ呼吸するように水中で呼吸できるものが多いのですが、水生のホニュウ類は呼吸するときに水面から体の一部を外に出し肺呼吸をします。
ではサメも姿かたちが似ているのでホニュウ類に分類されるのかと思うと、サメは魚類です。
サメの一部の種は「卵胎生」という繁殖方法をとります。体内に卵を産むので、子が生まれてくるときに、母親の体内から直接生まれたように見え、胎生と勘違いされてしまいことが、サメをホニュウ類であると間違って分類してしまう原因になります。
ダチョウとペンギンは姿かたちからは予想がつきやすくはありますが、鳥類です。
しかし、鳥類のほとんどが空を飛べるのに対して、ダチョウとペンギンは空を飛べません。
ダチョウは空を飛ぶ能力の代わりに、走ることに特化して進化しました。時速70kmで走れるそうです。
ペンギンは水中を泳ぐ能力を身につけました。他の鳥類が空を飛ぶときのように水中を泳ぎます。
③の理由にあてはまる生物は
・コウモリ ・ワニ ・カメ ・ヘビ ・カモノハシ です。
コウモリは空を飛ぶことができるので鳥類と勘違いされやすいのですが、ホニュウ類に分類されます。他のホニュウ類と同じように胎生で卵を産みません。
ワニ、カメ、ヘビは一部の種類が水辺を好んで生活し、そのような映像を見たことがある人も多く、両生類と勘違いされやすいのですが、ハチュウ類の仲間です。体表はうろこでおおわれています。
カモノハシは謎の多い生物です。水辺を好み手には水かきがあり、卵で増え、くちばしがあり、体表は毛でおおわれています。卵で増えるという例外的な特徴を持っていますが、分類上はホニュウ類とされています。
そもそも生物の分類とは?
生物をはじめ様々なものを人間が分類するということは、物事を理解しやすくするための工夫です。特に生物は多種多様な進化を遂げて今のような生態を手に入れているので、完全に線引きができるわけではありません。しかし、そのようなややこしさや難しさが同時に面白さでもあるので、そのような例外的な事柄を是非楽しみながら学習してみましょう!
目指せ知識定着力UP!
それでは、またお会いしましょう!