皆さんこんにちは。
受験Dr.講師の勝山利信です。
前回のブログで血液の成分を話題に正確に素早く判断するための知識の押さえ方についてお話しました。
今回も引き続き血液を話題に、血液と血管の知識の整頓のしかたについてお話します。
似ている言葉が豊富に出てくるので、「大枠をつかみ詳細を詰める」という流れで知識を押さえる方法に付け加えて、「意味を確認しながら覚える」という方法を知ってください。
例えば、よく出題される知識の一問一答問題に、
『肺静脈の中を流れる血液は、動脈血と静脈血のどちらか答えなさい。』
という問題があります。
静脈の中を流れるのだから静脈血ではないのか?と勘違いされやすいので出題されるわけですが、正しい解答は動脈血です。丸暗記するだけであれば、肺動脈と肺静脈は血管の名前とは異なる血液が流れているとただ覚えても良いのですが、おそらく記憶に定着しづらくなり、いざ問われたときに間違える可能性の方が高くなってしまいます。
名前をつけるときのルール=名前が持つ意味
それでは、意味を確認しながら大枠を押さえて詳細を詰めるという流れで血液と血管に関する知識についてまとめていきましょう!次の図を参考にしながら、内容を確認していきます。
まずは、血液と血管の名前のつけ方の違いを押さえましょう。
大枠でつかむべきなのは、血管と血液の名前を付ける際のルールです。
血管の名前は心臓から出るか、心臓に戻るかで決まります。
一方、血液の名前は酸素や二酸化炭素を含む量で決まります。静脈血は二酸化炭素を多く含むということは、含んでいた酸素をからだの各細胞に渡してきた後なので、酸素が少ない状態でもあります。
さてこれを踏まえて心臓を中心に血液の循環について詳細を詰めてみましょう。
実際の形に近い模式図はテキストや参考書に掲載されていると思うので、より簡略化した図で確認します。
簡易版でも情報量は多いですが、順を追って確認していくと図に込められている知識事項を整頓して覚えることができます。
循環しているので、はっきりとスタート地点が決まっているわけではありませんが、今回は全身から心臓に戻ってくるところから見てみましょう。
全身から心臓に戻ってくる血液は大静脈を通って右心房に運ばれます。心臓に戻る血液が流れているので血管の名前は静脈となり、全身の各細胞から受け取った二酸化炭素を多くふくむ血液なので静脈血が流れています。ここは血管と血液の名前が一致しているので問題ありません。
右心房で受けとった血液は次に右心室へ流れ込み、右心室から肺動脈を通って肺に向かって流れます。
ここで、注意が必要になります!
心臓から出る血液が流れるので血管の名前は動脈となります。しかし、酸素と二酸化炭素の交換を肺で行う前なので、この時点では二酸化炭素を多くふくむ静脈血が動脈を流れることになります。これが、血管と血液の名前が食い違ってしまう原因です。
肺で酸素と二酸化炭素を交換した血液は、肺静脈を通り左心房に戻ってきます。心臓に戻る血液が流れるので血管の名前は静脈ですが、酸素を多くふくむ動脈血が流れています。ここでも血管と血液の名前の食い違いが起こります!
最後に左心房から左心室へ流れ込んだ血液は大動脈を通って全身へ流れていきますが、ここは動脈の中を動脈血が流れるので問題ありません。
結果、心臓と肺をつないでいる肺動脈と肺静脈を流れる血液はそれぞれ静脈血と動脈血となり、血管と血液の名前が食い違うことになります。丸暗記をすることも可能ですが、血管と血液が持っている名前の意味を確認して覚えたほうが記憶の定着もよくなり、問題を解くときの精度とスピードを高めることができます。
そもそも物の名称は誰かが呼び始めたものが使われながら定着したものなので、全ての用語が意味を持っているわけではありませんが、理由や由来がある用語は、意味を確認しながら押さえていきましょう!
目指せ判断力UP!
それでは、またお会いしましょう!