皆さんこんにちは。
受験Dr.講師の勝山利信です。
今回のテーマは「音の数値化と視覚化」です。
理科の学習において理解が難しいと感じることがあるのは、目には見えないことについて考えなければならないときです。音はそもそも耳で聞くものなので、感覚では理解できても具体的な問題を解いてみると判断を誤ってしまったり、実験データを用いて計算する際には与えられた数値のどこを見てどのような計算を行えば良いのかわからなかったりします。
一般的なテキストを用いた学習では、音とは何かあまり掘り下げずに原因と結果を結び付けてしまうことが多々あります。学習時間が限られる中、最終的にテストで点数を取ることを目的とすると、その方法は間違っているわけではありません。しかし、理解があいまいなまま表面的な事象を覚えることになってしまい、応用が利かなくなってしまいます。
理解力が問われる問題にも対応できるようにするためには、根本の部分をしっかりと押さえたうえで、現象の原因と結果の関係性を学びましょう。
感覚的なとらえ方から物理的な現象へ
音はそもそも感覚的なものです。
日常生活では様々な音を聞くことになりますが、聞こえてくる音の違いについて意識しなくても自然に判断している部分もあります。例えば、声を聞いただけで誰の声かある程度分かりますし、明らかに種類の違う楽器の音色は聞き分けることができるでしょう。テレビの音が聞き取りづらい場合は、的確な音量に変えることもできます。
この感覚的な違いはどこから生まれるのか物理的に考えるために数値化と視覚化を行い研究した結果、様々なことが分かり日常生活でも有効利用されています。
数値化と視覚化⇒音の3要素の解明
音の大元が振動であることは比較的簡単に確かめられます。
声を出すときに軽くのどに触れてみると、振動していることを感じ取ることができますし、声の高さや大きさを変えるとその振動が変化していることも分かります。
また物がぶつかったときやこすれたときにも音が生まれ、その物の材質や大きさなどの条件が同じであれば、ほぼ同じ音程や音色の音が生まれ、音を出す際の動きを大きくしたり強くしたりすると音の大きさを変えられることも感覚的に分かるので、それが発展して様々な楽器が生まれました。
音には違いがあり、違いがあるということはその原因があることは感覚的に分かっていましたが、それをはっきりと理解しやすくするために、音の数値化と視覚化を行いました。すると、今では音の3要素と呼ばれるものそれぞれに仕組みがあり、それらを変化させることで様々な音が聞こえてくることが分かりました。
例えば、音Aと音Bを比べてみると、音Aの音波の方が0.01秒間の間に2回振動していますが、音Bは4回振動しています。よって、音Bの方が沢山振動しているので音の高さは高いと言えます。また、音波の上下動の幅(振幅)に注目すると、音Bの方が大きく振動しているので音の大きさも大きいと言えます。このように、本来耳で感じ取る音を、視覚化することで物理現象として研究できるようになるのです。
ちなみに、音Cは音Aと似ていますが、大きな波の中に小刻みに小さな波が入っています。この小さな波が音色の原因です。人の声や楽器ごとに小さな波の入り方が異なるので、我々は音色を感じ取ることができるのです。
このように、視覚化さえできれば、耳によって感覚で聞いている音を物理的に考えやすくなります。
音を測定し数値化・視覚化するのに一般的に使われるのはマイクロフォン(マイク)とオシロスコープです。
音を録音するだけでなく、測定することができるようになり、数値データを解析することで音を物理的な現象として理解することができるようになりました。
マイクで音を測定するときには、音源から伝わってくる振動によってコイルを磁石の近くで動かすことで電流を発生させ、音の振動の様子を電流の流れる様子に変換します。この電流の様子を画面上に表示し目に見える形にしたものがオシロスコープです。
時間を横軸、振動の様子を縦軸に表してグラフにすると、波型のグラフが得られます。これが音波です。
音波を観測し対照実験を行うことで、音の高低は振動数(または周波数)、音の大小は振幅(振動の揺れ幅)、音色は細かな波の形によって異なることを理解できるようになったのです。
いち早く目の前の試験で得点を取るために、効率良くポイントを押さえることも大切ですが、長期的な目線で学習し理解を深めていくことも重要です。特に、理科の学習では発展的な問題を考えるためには根本的な部分の理解が鍵を握っています。正しく理解を深め、数値の関係性と扱い方を押さえて難度の高い問題の得点化に結び付けていきましょう!次回は引き続き、音に関する具体的な問題への考え方についてお話します。
目指せ理解力UP!
それでは、またお会いしましょう!