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投稿日:2024年08月15日

テーマ: 理科

中学受験:判断力up!~難解なグラフ①~

皆さんこんにちは。
受験Dr.講師の勝山利信です。

今回は『難解なグラフ』についてお話します。
物質の反応量や発生量に関するグラフも、的確に読み取り計算結果を正しく出す難しさがありますが、グラフ自体は読み取りやすいものがよく出題されます。
今回はグラフ自体の読み取りが難しいグラフについてのお話です。読み取るべき情報さえ読み取ることができれば、意外に簡単に正解にたどりつけるとも言えますので、是非この話を参考にコツをつかんでみてください。

 

条件と結果のグラフの仕組み

グラフにも様々な種類がありますが、理科の問題では実験や観測から得られた数値を、横軸に条件、縦軸に結果を対応させてグラフにしたものが最も多く出題されます。
物理や化学の実験に関する問題で与えられるグラフは直線やきれいな曲線になりやすいので、グラフからの情報は得やすいと言えるでしょう。物事の関係性を式にすることができる現象についてはグラフの形も整ったものになります。

問題を解くときは与えられたグラフを用いることが中心になりますが、上手に扱えるようになるために学ぶときは、グラフを書くをことをイメージしてみましょう。

 

実験の結果の表と図

 

ここで重要なことは、グラフの線を書く前に点を打っていることです。
グラフは、もともと点としての情報で、その並んだ点を線でつないで表したものなのですね!
グラフの線の上に点を取ると、その点の横軸と縦軸の数値がつながっているということです。

 

難解なグラフ① 月の出入りと南中する時刻

では、今確認したことを使って、難解なグラフから情報を読み取ることのコツをつかんでいきましょう!
次のグラフは、ある時期の月の出入り、南中する時刻についてまとめたものです。
反応量と発生量のグラフのように直線の形ではないので、情報を読み取るだけでも難しそうです。

 

グラフ

 

それでは、このグラフから満月が観察できる日を考えてみましょう。

ポイントはグラフ上の点の横軸と縦軸の数値はつながっていることでしたね。
グラフはもともと点としての情報であることを思い出しましょう。
グラフ全体の複雑さに騙されずに、冷静に読み取ることも重要です。

満月は夕方18時頃に東からのぼりはじめ、深夜0時頃に南中し、明け方6時頃に西に沈みます。
では「18時」に「月の出」が起こることから日付を読み取ってみましょう。

 

グラフ

 

縦軸【時刻】の18時のところからスタートし、月の出のグラフにぶつかるまで右に進んでみましょう。
図の赤い点でぶつかるので、そこから下に進みます。すると、1月16日頃と日付が読み取れます。
1月16日頃に見える月は満月であると、このグラフから判断できるということですね!

同じように読み取ると、2月15日頃や3月14日頃にも満月になることが読み取れます。

日付の方から月の満ち欠けの様子を判断することもできます。
ためしに、3月1日の月の様子として最も近い様子を【新月・上弦の月・満月・下弦の月】の中から選んでみましょう。

 

グラフ

 

横軸【日付】の3月1日からスタートし南中時刻のグラフにぶつかるまで進みます。
図の赤い点でぶつかるので、そこから左に進みます。すると、昼の12時頃と時刻が読み取れます。
昼の12時頃に南中するのは新月の特徴ですので、月の様子は新月であると判断できます。

 

難解なグラフの扱い

難解なグラフを扱う上で重要なのは、以下の2点です。
・グラフは点を線にしたものであることを意識する → 線の形の複雑さにだまされない!
・読み取った情報を生かすための基本的な知識は事前に身につけておく
今回のグラフであれば、月の満ち欠けの様子と月の出入り、南中時刻の関係は基本的な知識として身につけておく必要があるということですね。

手順が言語化しづらいことについて、センスがあるかないかという表現が使われることがあります。グラフは形を含めた読み取りなので無関係とはいえませんが、問題を解くための能力は正しくトレーニングすれば鍛えることができます。

次回は、他の分野の難解なグラフについてお話します。
興味のある方は、①流水のはたらき ②水や二酸化炭素の状態変化 についての基礎知識を確認しておくと飲み込みが良くなります。

目指せ判断力UP!
それでは、またお会いしましょう!

理科ドクター