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投稿日:2025年01月09日

テーマ: 理科

中学受験:理解力up!~意外と簡単な反応量計算~

皆さんこんにちは。
受験Dr.講師の勝山利信です。

今回のテーマは「化学の反応量計算」についてです。
理科の中でも計算が絡んでくる問題は苦手とするお子さんも多いと思いますが、これにははっきりとした原因があります。中学受験の理科で出題される範囲は、本来中学校や高校で学ぶことが前倒しとなる内容も多く、事実として覚えることが先行してしまうところがあります。実際に実験をしたことがない事柄について、実感がないまま学ぶので、できる・できないに差がつきやすくなるのです。

そこで、計算系の話題になったときは、既に経験していることで例えると実感がわきやすくなり効果的です。
化学の反応量計算の場合は、買い物や工作、料理などを題材にすると良いでしょう。

具体的に化学の反応量計算の問題と例えを照らし合わせてみてみましょう。
※事前の準備として比の基本的な扱いについての学習は必要です。

 

量を他のものに例えてイメージする

例えば水酸化ナトリウム水溶液50mLとうすい塩酸40mLが過不足なく中和するとします。その水溶液を蒸発させると、5.8gの食塩の固体が得られます。また、水酸化ナトリウム水溶液50mLには4gの水酸化ナトリウムが溶けています。

このような条件で、次のように水酸化ナトリウム水溶液とうすい塩酸を混ぜ、水分を蒸発させると何gの固体が残るか考えてみましょう。

①水酸化ナトリウム水溶液100mLとうすい塩酸100mL
②水酸化ナトリウム水溶液80mLとうすい塩酸60mL

化学の反応量計算の問題では、よく問われる内容です。

ここで数の扱い方や計算の流れがいまひとつつかめないのであれば、一度「買い物をするとき」のことをイメージしてみましょう。

例えば、「折り紙50枚が40円で売られている」というような状況です。
①の条件は、折り紙を100枚買いたい人が100円を持っているという様子と似ています。
折り紙と代金の比は、50:40=100:80よりもとの2倍となり、80円かかります。すると、100円持っていたので、20円は手元に残ります。

さて、これをもとの話に戻してみると、水酸化ナトリウム水溶液100mLに過不足なく反応するうすい塩酸は80mLであり、反応していないうすい塩酸が20mL残るというように対応します。

塩酸の中に溶けている塩化水素のもとの状態は気体であり蒸発させると残らないので、残る固体は食塩だけです。
条件で与えられた完全に中和する量の2倍なので、5.8×2=11.6より11.6gの食塩が残ると計算することができます。

②の条件は、折り紙を80枚買いたい人が60円持っているという様子に例えられます。
すると、50:40=80:64より、80枚買うためには64円必要なので、60円では買うことができません。
では、60円で何枚買えるかというと、50:40=75:60より、75枚までは買うことができます。
80-75=5より、5枚は買うことができません。

こちらも、もとの話にもどすと、水酸化ナトリウム水溶液75mLとうすい塩酸60mLが反応し、反応していない水酸化ナトリウム水溶液が5mL残るというように対応します。
もともと与えられた条件の1.6倍なので、5.8×1.6=9.28より9.28gの食塩が残ると計算することができます。
ただし、この場合は反応していない水酸化ナトリウム水溶液が5mL残っています。水酸化ナトリウム水溶液50mLの中には4gの水酸化ナトリウムが溶けているので、4÷10=0.4より、5mLの中には0.4gの水酸化ナトリウムが溶けています。
よって、9.28+0.4=9.68より9.68gの固体が残ると計算することができます。

実際の化学の反応量計算と買い物の例えで異なる点としては、水溶液の量や固体の重さなので、小数や分数が使われることもあるという点です。細かいところまで計算できるように練習しましょう。

 

正しい手順で理解したからトレーニングを!

今回話題にしたような理科の計算問題が苦手な場合、苦手を克服するためにむやみにトレーニングの量を増やそうとしてしまいがちです。最初にお伝えしたように中学受験理科では本来中学校や高校に入ってから実験を行いきちんと理解するべきことも出題されます。そのため、目の前にしている問題の状況がイメージできていないまま、計算問題を解こうとすると上手くいかないのです。今回の買い物の例のように、イメージできるものと結びつけながら理科について考えてみると、そのハードルを低くすることができるので、是非参考にしてみてください。

目指せ理解力UP!
それでは、またお会いしましょう!

理科ドクター