皆さんこんにちは。
受験Dr.講師の勝山利信です。
今回は物理分野の密度や浮力に関連する「ガリレオ温度計」についてお話しします。
現代ではもっと精度の良い温度計はいくつもあるので、実用のためではなくインテリアとして飾っていることが多いですね。入試問題では密度や浮力に関しての理解度を測るために出題されることがあります。出題されたときに初めて見たという状況にならないように、事前に理解を深めておきましょう。
その準備としてまずは、密度と浮力についての理解を深めましょう!
密度とは?
密度とは一般的に1㎤当たりの重さ[g]のことを指します。
ただ、そのように言われるとイメージがわきにくいので、次のように想像してみてください。
目の前にフワフワのパンがあります。
食べ物を粗末にすると怒られそうですが、イメージですので、そのパンをギュッと押し固めて小さくしてみましょう。
すると、さっきまでせっかくフワフワだったパンがギュウギュウにつまって固くなってしまいます・・・
このとき注目したいのが、重さは変化していないということです!
イメージに数値を乗せて考えてみましょう。
もともとのパンの体積が500㎤で重さが200gだったとしましょう。
このときの密度は200÷500=0.4より1㎤あたり0.4gです。
このパンを押し固めて100㎤まで小さくしたとしましょう。
押し固めただけなので重さは200gのまま変わりません。
すると、密度は200÷100=2より1㎤あたり2gに変わりました。
このように、同じ重さの物体でも体積が異なれば、密度に違いが生まれます。
簡単に言うと、
・密度が大きい=ギュウギュウ状態
・密度が小さい=フワフワ(スカスカ)状態
です。
浮力とは?
浮力は、気体や液体の中にある物体に、その物体を浮き上がらせる方向にはたらく力(圧力)です。
例えば水の中に物体を入れると、押しのけられた水がもとの場所を取り返そうと、押しのけられた分の重さで入ってきた物体を外に出そうとするはたらきが生まれます。
水の密度は1㎤あたり1gですので、100㎤の水が押しのけられれば100g、200㎤であれば200gというように浮力が生まれます。
それでは、先ほどのパンを水に入れてみましょう。
実際には水がパンにしみ込んでしまいそうですが、今回は無視してください。
(重さや体積に影響しないようにラップで包んだりビニール袋に入れたりしていることにしましょう。)
密度が1㎤あたり0.4gの物体は水よりも密度が小さいので浮きます。
重さは200gなので、200㎤の水を押しのけて200gの浮力を得ることで浮いています。
密度が1㎤あたり2gの物体は水よりも密度が大きいので沈みます。
沈んでいる場合も100㎤の水を押しのけて100gの浮力を得ているのですが、重さが200gあるので沈んでしまいます。
ガリレオ温度計の仕組み
それではガリレオ温度計の仕組みについて理解していきましょう!
先ほどはパンを押し固めて体積を変化させましたが、ガリレオ温度計では温度によって他の物体よりも体積が大きく変化する液体を使います。
少し極端に書いていますが、次の図のようなイメージです。
温度が高くなるにつれて液体は膨張します。重さは変わらずに体積が大きくなるので、密度は小さくなります。色が濃いほどギュウギュウにつまって密度が高くなっている状態を表しています。
この中に、温度の変化によって体積がほとんど変わらない密度の異なるおもりを入れたものがガリレオ温度形です。分かりやすくするためにおもりを2つだけ入れてみましょう。
おもりに書かれている温度は、その温度のときの液体と同じ密度の物体であることを表しています。
液体の温度が10℃のときは液体の密度の方が大きいので、おもりは2つとも浮かび液体の温度は15℃よりも低いことが分かります。
液体の温度が20℃のときは、重たい方のおもりは沈み軽い方のおもりは浮いているので液体の温度は15℃から25℃の間であることが分かります。
液体の温度が30℃のときは、液体の密度が小さくなり2つのおもりが沈むので液体の温度が25℃よりも高いことが分かります。
実際のガリレオ温度計ではおもりの個数を増やし、細かい温度を読み取れるようにしていますが理屈は同じです。結果的に、下にあるおもりほど表示されている温度の数値は低く、密度が高いと言えますが、結果を丸暗記するのではなく、なぜこのようなつくりで温度計としてはたらくのか、仕組みを理解するようにしましょう!仕組みを理解したうえで覚えるのであれば、記憶の定着も良くなり忘れたときも思い出しやすくなるので、テストにおいても正確に判断できるようになるでしょう!
目指せ理解力UP!
それでは、またお会いしましょう!