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投稿日:2022年05月10日

テーマ: 理科

苦手でも100%できる浮力の図(基礎編)

みなさんこんにちは。受験ドクターの久米です。
今日は「浮力」の解法についてお話しします。

物理で苦手な人の多い単元№1、2を争う「浮力」ですが、
実はものすごく点数がとりやすい単元です。
根本的な考え方はどの問題も同じであり、
問題によって解法の型を変える必要がありません。
つまり、最初の根本原理の理解と、図への書きこみの型さえ分かっていれば、
必ずできるようになります。

浮力の基本公式は2つだけです。
A:液体中の物体の体積×液体の密度=浮力
B:(物体が液体中で浮いているとき)浮力=物体の重さ
2つの公式について解説します。

A:液体中の物体の体積×液体の密度=浮力
浮力というのは浮く力です。それでは、なぜ物体に浮力がかかるのでしょうか。
それは、物体が液体を押しのけて中に入っていくと、
同時に液体も物体を押しのけているからです。
満員電車をイメージしてください。
ぎゅうぎゅうの満員電車の中に会社員Aさんが入っていきます。
入ることができたら、その後にAさんはまわりから押し出されるような力を感じますよね。
これが「浮力」だと考えましょう。
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浮力と違うのは、力の働く方向です。
浮力は上向きの力であるのに対し、満員電車は横向きの力です。
液体の密度が大きいということは同じ体積の液体を比べて重いということなので、
満員電車がそれだけ混んでいるということです。
混んでいる満員電車(=密度が大きい液体)の方が押しのける力が強いのは当然ですね。

B:(物体が液体中で浮いているとき)浮力=物体の重さ
浮力と物体の重さは釣り合っています。
もし浮力の方が大きかったら、物体は風船のように、
水中を飛び出して空に浮かんでしまいます。
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もし重さの方が浮力より大きかったら、物体は水の底に沈んでしまいます。
下向きの力である重さと、上向きの力である浮力がちょうどつりあっているからこそ、
物体はぷかぷかと浮いているのです。

これで公式の理解はできました。
次はこの2つの公式を図に書きこむ「型」についてお話しします。
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単純明快。上のような形で図と式を一体化させましょう。
それでは、この図を使って例題を解いてみましょう。

【例題1】
100㎤、60gの物体を水中に浮かべました。水面より上に出ている部分は何㎤ですか。

水の密度は1なので、すでに分かっている部分だけを書くと下図のようになります。
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物体の重さと浮力が等しいので、浮力は60と分かります。
液体中の物体の体積を□とすると、□×1=60 なので、□=60㎤となります。
水の中に入っているのが60㎤なので、水面より上に出ている部分は40㎤です。

【例題2】
60㎤、100gの物体を全部水中に入れ、バネはかりでつるして浮かせました。
バネはかりにかかる力は何gですか。

バネはかりで物体をつるす場合は、下のような図を書きます。
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先ほどと違うのは
物体の重さ=浮力+バネはかりにかかる力となっていることです。
物体が自分の浮力で重さを支え切れないぶん、バネはかりに力がかかっています。

それでは、分かっているところに数字を入れて例題2の図を書いてみましょう。
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浮力のところは60×1の答えなので60となります。
物体の重さ=浮力+バネはかりにかかる力なので、バネはかりにかかる力を□とすると、
□+60=100 □=100-60=40gとなります。

このような解法の型を身につけてしまえば、だれでも浮力の問題を解けるようになります。
次回は「水そうが台はかりの上にのっているパターン」
「物体の上におもりがのせてあるパターン」などについてお話しします。

それではまた。受験ドクター、久米でした。

理科ドクター