みなさん、こんにちは。受験Dr.の桑田陽一です。
今回は前回の続き。「中学受験生でも解ける!?東大入試数学 2023年版」の後半をお届けします。
まずは、問題の再確認から。
問題
黒玉2個、赤玉3個、白玉4個の計9個の玉をすべて横一列に並べます。
(1)玉の並べ方は全部で何通りありますか。
(2)黒玉が隣り合わないような並べ方は全部で何通りありますか。
(3)どの赤玉も隣り合わないような並べ方は全部で何通りありますか。
2023年 東京大学 文科第3問 理科第2問(改)
2023年2月25日に行われた東京大学入学試験の数学の問題を、少し単純な形にして紹介しました。
前回は(1)と(2)を解説したところ。今回は(3)の解法を考えていきます。
解説
さて、早速(3)の解説!と行きたいところなのですが、まずは準備として、前回解説している(2)について、別の考え方を紹介します。
前回は、「黒玉が隣り合わないような並べ方」よりも、「黒玉が隣り合う並べ方」の方が考えやすいので、隣り合う並べ方のほうを計算し、(1)で求めた全ての並べ方から引いて求めました。
今回は、「黒玉が隣り合わない並べ方」を直接計算してみます。
まず、黒玉2個以外の「赤玉3個、白玉4個」だけを先に並べておきます。
この並べ方の数を計算するには、玉が入る7か所の空き枠のうち、赤玉3個の入る場所を選べば良いですね。
7つから3つを選ぶ、すなわち、(7×6×5)÷(3×2×1)=35通りの並べ方があります。
さて、いま例えば「赤玉3個、白玉4個」を
-
● ● ○ ○ ○ ○
このように並べたとします。
ここに、残った黒玉2個を隣り合わないように入れることを考えます。
_●_●_●_○_○_○_○_
両端、そして玉と玉の間に、_で示したスペースが全部で8か所あります。
これらのうちの2か所を選んで、黒玉を1個ずつ入れる、
例えば、
_●_●●●_○_○●○_○_
こんな風に黒玉を入れれば、黒玉同士が隣り合わずに並べることができます。
スペースが8か所あって、そこから黒玉を入れる2か所を選ぶ方法は、(8×7)÷(2×1)=28通りですね。
結局、まず「赤玉3個、白玉4個」を並べる方法が35通り、その後「黒玉2個」を隣り合わないように入れる方法が28通り。
よって、並べ方の総数は35×28=980通りと、前回と同じ結論が出ました!
さて、いま見てきた考え方を使うと(3)も解決することができるはずです。
意欲のある人は、ぜひここで読むのをいったん止めて、考えてみてください!
…
…
…
…
…
(3)
では、いよいよ解説です。
まず、隣り合うかどうかを考えなくても良い「黒玉2個と白玉4個」を先に並べます。
6か所の空き枠から、黒玉2個が入る2か所を選びます。
したがって、(6×5)÷(2×1)=15通りの並べ方があります。
例えば、
● ● ○ ○ ○ ○
このように並べたとします。
ここに残りの「赤玉3個」を隣り合わないように入れていきます。
_●_●_○_○_○_○_
両端、そして玉と玉の間に、全部で7か所のスペースがあります。
このうち、赤玉が入る3か所を選ぶ方法は、(7×6×5)÷(3×2×1)=35通り。
よって、求める場合の数は15×35==525通りです。
2022年の記事に続き、今年も前回と今回にわたって東大入試数学の問題に触れてみました。
ちなみに、2017年の記事で紹介した図形問題は、2019年の浅野中学校にてほぼそのままの形で出題されています。
同じ色の玉が隣り合わないように並べるには…。
①まず、他の色の玉を並べる。
②その後、となりあってはいけない色の玉を、両端か玉と玉の間のスペースに入れる。
こんな手順で解決できるということを見てきました。
難関校を志望する受験生は、頭の片隅に入れておいてくださいね。
今回は、ここまで。