こんにちは。実験大好き講師の永田です。
首都圏の受験も一段落し、塾のクラスが新学年に変わった方も多いと思います。
新6年生にとっては受験まであと1年。とはいえ、まだまだ時間に余裕はある時期でしょう。
そこで、今回から何回かかけて、家庭でできる簡単な実験をいくつか紹介していきます。
特別な器具や設備は不要。百均やスーパー、ホームセンターで簡単に入手できるものを使ってできる、
見た目で結果が分かりやすいものを選りすぐりました。
今回は、ぶどうジュースの色を変えて遊んでみましょう。
実験
使うもの:
・ぶどうジュース (濃い紫色のもの) 少量
・クエン酸 少量 (粒状)
・セスキ 少量 (針状)
・無色透明な容器 いくつか
・大きめの容器 1つ
手順:
(1)大きめの容器にぶどうジュースを少量入れ、水でうすめます(そのまま使うと色が濃すぎるため)。今回はぶどうジュースの20倍くらいの量の水を入れました。うすめたものを透明な容器に分けて入れます。
3つとも同じ色になっていますね。薄い紫色です。
(2)1つの容器にセスキを少量入れて混ぜます。すると・・・
写真では色が分かりにくいですが、暗い緑色に変わりました!
(3)もう1つの容器にはクエン酸を入れて混ぜます。こちらは・・・
3つ並べるとこのようになりました。左から何も入れていないもの、セスキを入れたもの、クエン酸を入れたものです。
解説①
ぶどうジュースの紫色、これにはアントシアニンという色素が含まれています。この色素の名前を覚える必要はないですが、同じ色素が含まれているものに紫キャベツがあります。そして、紫キャベツ液の色が水溶液の液性によって変わるのは、このアントシアニンが原因なのです。つまり、うすめたぶどうジュースは、(他にも余分なものが入ってはいますが)紫キャベツ液と同じように使えるのです。
手順2で加えたセスキ、これは炭酸ナトリウムと炭酸水素ナトリウムが混ざったもので、水に溶かすと弱いアルカリ性を示します。紫キャベツ液はアルカリ性で緑~黄色。そのためセスキを加えると、ぶどうジュースの色が緑に変わります。
一方、手順3で加えたクエン酸は、水に溶かすと弱い酸性を示します。そのため、液の色が赤っぽい色に変わります。
さて、指示薬があり、酸性のものとアルカリ性のものがあるなら・・・、中和反応をしたくなりますよね。
ということで、先ほどの色を変えた容器を使って、中和しながら色の変化を見てみました。
実験
手順:
(4)手順2でセスキを入れた液に、クエン酸を1粒入れてみました。すると・・・
写真では分かりにくいですが、クエン酸の粒のまわりに泡がつき、浮いたり沈んだりしながら溶けていきました。
さらに、少しずつクエン酸を加えて混ぜてを繰り返していくと・・・
最初の色に近づいてはいきましたが、クエン酸だけを加えたときのような色にはなりませんでした。
左から順に何も入れていないもの、セスキとクエン酸を入れたもの、クエン酸だけを入れたものです。
(5)手順3でクエン酸を入れた液に、セスキをある程度まとめて入れてみました。すると・・・
シュワーと音をさせながら泡が激しく出てきました(セスキの入れすぎに注意!)。混ぜると手順2のときと近い、暗い緑色に変わっていきました。
泡の発生が収まったあとの様子です。右の容器にセスキを加えました。
解説②
炭酸ナトリウムや炭酸水素ナトリウムは酸性のものと反応すると、二酸化炭素が発生します。クエン酸についていた泡や、手順5で出てきた泡はこの二酸化炭素ですね。手順5で色が緑色になったのは、手順3で入れたクエン酸がすべて中和されて、セスキによってアルカリ性になったからです。
(これ以降は中学受験の範囲からは外れた内容です。)一方、手順4では途中からあまり色が変わらなくなりました。これは緩衝作用というもので、液性が変わりにくい状態になっているからです。この緩衝作用は、本格的な生物の実験でよく使われているほか、実は血液も持っていたりします。
いかがだったでしょうか。自分で手を動かして得た経験はただ見ただけよりはるかに記憶に残りやすいと思います。指示薬の色の変化や化学変化に興味を持つきっかけになればなによりです。
次回も、身近な食品を使って色に関係した実験をしていこうと思います。
それでは皆様、Have a good science.