メニュー

投稿日:2016年07月05日

テーマ: 理科

2017年入試に出る!「スーパーマーズ」

大木快です!

七夕の季節です。夏の涼しい夜は、星空観察にもってこいですね。今回は、A先生の記事に引き続き、楽しい星のお話をします。

天の川を挟んで明るく輝く織姫(ベガ)と彦星(アルタイル)。この二人が年に一度会うのを許された日が、七夕です。なんてロマンチックなのでしょう。いつもは止まっているのに、七夕の夜だけは、二つの星が夜空中をスーッと動いて出会う…なんてことはありませんが(笑)。本当に動いたら…ちょっと怖い。

ベガ、アルタイルときたら、あと一つは…そう、デネブです、「夏の大三角」が夜空をにぎわす季節です。早速外に出て観察してみましょう。

夏の大三角は…デカい!!この時期には真夜中にほぼ南中します。

場所は…真上の方向です。ベガはほぼ天頂にありますよ。長時間の観察は首が疲れそうですね。

ここで、天頂付近のデネブ・ベガに対して、アルタイルの反対側にもう1個点をとって、平行四辺形を作ってみると、その場所にあるのは…北極星!へえー、こんな位置関係なんだ、と気づくでしょう。くれぐれも、体を南に向けたまま北極星を見ないでください。たぶん首が折れます。

夏の大三角は全て1等星でした。地球から見て最も明るい、言わば星の優等生たちです。

でも、

1等星よりはるかに明るい星が、いっぱいある

と言ったら信じてもらえますか?

ここで問題です。

問題

空には、様々な天体が光を放っています。星の明るさを等級といい、太陽を除く恒星のうち、地球から見て最も明るい恒星の明るさを1等級とします。肉眼で見ることができるのは6等星までで、1等級変わると明るさは2.5倍になります。

恒星以外にも、明るい天体はあります。それらの明るさをまとめてみました(数字は最大光度)。空欄1~6に入る天体の名まえを答えなさい。

( 1 )…マイナス4.7等

( 2 )…マイナス3.0等

( 3 )…マイナス2.8等

( 4 )…マイナス2.4等

( 5 )…マイナス0.5等

えーっ?シリウスが一番明るいんじゃないの?と思った方も多いのではないでしょうか。シリウスはマイナス1.5等なので、恒星ではナンバー1なのですが… そんなに明るい星が、そんなにたくさん…

あるんです!

問題の答えは

1…金星 2…木星 3…火星 4…水星 5…土星

でした。

ちなみに、惑星見たことありますか?と聞くと、小学生も、大人の方も、たいてい「え、見えるんですか」という反応をします。そうなんです、知られてないんです。惑星って、こんなに明るく、目立っているのに、なぜか超マイナーな存在なんですよね。

惑星は実はとっても身近な存在なんです。ちょっと説明しておきますね。

惑星の特徴

1 星座早見に載っていない

惑星は太陽の周りを回っているので、星座の中を日々刻々と移動していきます。位置が変わるため、星座早見には載せられないのですね。惑星の認知度が低い理由はこのあたりにあるかもしれません。

2 瞬かない

惑星は月と同じく太陽光を反射しているんですが、光が強いため、恒星のようにきらきらとまたたきません。ある夜木星を見ながら歩いていると、木星がまたたいて見えるので、「おかしいなあ」と思って…よく見ると、電線と重なっていたんですね(笑)夜の電線はほぼ見えないですから。

3 よく一直線上に並ぶ

各惑星はほぼ同じ平面上に公転軌道がありますから、地球から見ると直線状に並びます。地球から見た公転面のラインを黄道といいますが、惑星は黄道から外れた場所には来ません。複数の惑星が接近して見える時期も多いので、観察してはいかがでしょうか。惑星がまとまって輝くさまは絢爛です!

4 星座の中を動く

地球から見える惑星の位置は日々移動します。たとえば地球は火星より公転周期が短いので、火星の内側を2.13年ごとに追い抜くのですが、その際には「逆行」という奇妙な動きをします(図を参照)。

1

昔の天文学者を「惑わす」存在だったので、惑星と呼ばれるようになったのです。英語のプラネット(planet)も「さまようもの」というギリシャ語からきているそうです。

ちなみに、もっと明るい満月と太陽の光度は、

月 … マイナス12.6等

太陽 …マイナス26.7等

でした。もはや脱帽レベル。

最後に2017年入試に向けて、

特集!スーパーマーズ

2015年は、月が地球に接近して、いつもより大きく見える「スーパームーン」が話題になりました。

今回取り上げるのは「スーパーマーズ」。マーズ(Mars)は、火星のことです。

地球は火星を2.13年(約2年2か月)ごとに追い抜きます。

この時、どこで追い抜くかによって火星との最接近距離が変化します。

図を見てください。真ん中が太陽、内側から順に地球、火星です。

2

ご覧のように火星の公転軌道の中心は太陽とかなりずれています。したがって、ちょうど図のような位置で火星を追い抜くと、かなり近い距離で最接近することになります。この、地球から見たときに非常に大きく見える状態の火星を、「スーパーマーズ」と呼んでいます。

今回の最接近は2016年5月31日でした。テレビのニュースでも報じられていますので、2017年入試で取り上げられる可能性は高いです。

見どころは、何といっても火星と、赤色で有名なさそり座のアンタレスと、土星が三角形になっているところです。写真は最接近の少し前に、スマホで撮ったものですが、見えるでしょうか?

3

(中央右寄りの明るいのが火星、その左側わずかに低いところにアンタレス、アンタレスの左上方に土星)

この三角形の華やかさは夏の大三角や冬の大三角を凌ぎます。興味を持たれた方は、今すぐ観察してみてください。最接近は過ぎていますが、当分は観察できますから。

アンタレスの語源はアンチ・アレス。赤い火星(アレス)に対抗する赤い星、という意味です。つまり、赤さを競う二つの星が接近して見えているわけです。火星はひときわ明るく、赤く輝いているので、初めて見る人はびっくりするかもしれませんね。

それでは今回のまとめです。

・夜空にまたたかない明るい星が見えたら、ほぼ惑星と思ってよい。

・惑星が見えるのは珍しい現象ではない。むしろ、見えないことの方が少ない。

どうでしたか。ここまで言われると、知らずにいるのはもったいなく思えてきましたよね?ぜひ親子で観察してください。きっと話も弾むことでしょう。

理科ドクター