大木快です!
受験ドクターで算数・理科の授業を担当しています。
理科が苦手な皆さんも、一つ一つ弱い単元をつぶして、そろそろ得点の形でやったことの成果が表れてくる時期ではないでしょうか。
2016年4月14日に発生した熊本地震は、社会的にも大きなニュースとなりました。震度7を2回も記録するなど、自然の力の大きさを実感します。
これから起こると予想されている大地震に対して、どのような対策をとっていくのか?地震という自然現象を理解することは、私たち一人ひとりにとって大切なことは言うまでもありませんが、とりわけ将来の社会を作っていく受験生にとって、正しい知識をもち、自分なりの考えを深めることは大変意義深いと言えるでしょうね。
入試では自然現象としての地震の仕組みに着目した出題が中心になります。来年受験の小6の皆さんは対策が必須の単元です。そこで、シリーズで地震のしくみを扱っていきたいと思います。
今回は、地震を伝える2種類の「波」を紹介します。
地震波には2種類あります。
震源で生じた衝撃は、2種類の波で伝わっていきます。
①P波
一つ目は、進行方向の歪み。図で表すとこんな感じです。
この波をP波(primary wave =第一の波)と言います。
音が伝わる仕組みは基本的にこれと同じです。音は空気中も、水中も伝わっていきますね。このような波を「縦波」といいます。図のように、波の進行方向と同じ向きに、密なところと、まばらなところが順に移動していく波です。「疎密波」という表現も使われます。これもわかりやすいですね。
縦波は「進行方向の振動」であるといってもよいでしょう。
②S波
もう一つは、進行方向に垂直な動き。
この波をS波(secondary wave =第二の波)と言います。
イメージとしては、以下のものを想像してください。
・鞭を打った時に山の形が移動する動き
・床に置いた縄跳びの縄を左右に揺らしてヘビのように動かす動き
・競技場で観客がウエーブをやっている動き
・新体操競技のリボンを上下に揺さぶって波の形がヒラヒラと移動していく様子
どうですか、イメージできましたか。
横方向(進行方向に垂直な向き)の振動になっていることを確認してください。
それでは、ここで問題です。
問題1
地震の時に上下方向のゆれを「縦揺れ」ということがあります。この「縦揺れ」はP波とS波のうち、どちらによってもたらされるでしょうか。
縦揺れ、縦波、うーん、紛らわしい。
答えは、S波です。「人間にとっての上下方向」は、地震の伝わる方向に対してはやはり「垂直」なので、横波ということになります。
続いて、第2問。
問題2
P波とS波のうち、伝わる速さが大きいのはどちらでしょか。
ヒントは「名まえ」です…
答えは、P波です。先に到着するので、第一波というわけですね。そのまんまでした。
では最後の問題です。
問題3
次のa~cを、速い順に並べてください。
a.P波
b.S波
c.ジェット機の速さ(約300m/秒)
aとbはすでに分かっていますね。ジェット機の速さは、1000km/時、約300m/秒として考えてください。
正解はa→b→cです。
余談ですが、津波は、水が深いほど速さが大きくなり、最高速は、なな、何と、1000km/時を超えます!!
では今回のまとめです。
地震波には、P波・S波の2種類がある。
P波 縦波=進行方向の振動を伝える
S波 横波=進行方向に垂直な振動を伝える
P波とS波は一体どれだけ速いのか??
この2つの波によってどんなことが分かるのか?
詳しくは次回扱います。お楽しみに!