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投稿日:2017年06月02日

テーマ: 理科

宇宙に飛び出してみよう①

皆様こんにちは。
算数・理科担当の大木快です。

夜の空気が心地よい!
夜空を観察するにはよい季節となりました。

去年話題になったのがスーパームーン。
月と地球の距離が近いときに見られる満月は、いつもより大きく見えるということでしたね。

今月の満月は、6月9日です。この日の満月は、今年見える満月の中では最小になるそうです。

名付けて「逆スーパームーン」。

「小顔ムーン」の方がいいでしょうかね。
地球との距離が遠くなるので、小顔効果そのものです。
せっかく顔に見立てたので、唐突ですが例題です。

例題

月の表面には、クレーターというくぼみが多数あり、隕石の衝突のあとだと考えられています。
クレーターの観察に適しているのは、次のどの状態でしょうか。

(ア)満月
(イ)半月
(ウ)新月

正解は(イ)の半月。月の欠け際では光が横から当たるため、表面のおうとつの陰影がはっきりと観察できます。満月と新月では、欠け際が見られませんね。
正面から照明を当てると、毛穴が目立たず美肌に見える、と考えると、わかりやすくなりませんか??

夜空に浮かぶ月。遠く離れてなおあの大きさ。そしてそれが、地球の周りを周回しているんだ…と、想像を膨らませながら見てみましょう。
見れば見るほど不思議な気分になっていきますよ。

今回は宇宙空間に思いを馳せつつ、入試問題をひも解く旅に出ましょう。
出典は早稲田実業中学校。

問1

1977年9月に打ち上げられた惑星探査機「ボイジャー1号」は、惑星の重力を利用し加速することを繰り返し行い、現在は時速約6万㎞の速さで太陽系の外に向かって飛び続けています。
「ボイジャー1号」は2012年9月の時点で太陽からどれだけ離れていますか。
次の(ア)~(エ)の中から最も近いものを1つ選び、記号で答えなさい。
ただし、打ち上げ後の「ボイジャー1号」の飛行経路は太陽から太陽系の外に向かって一直線で、早さは時速6万㎞で一定だと仮定します。また、1天文単位とは地球と太陽との距離のことで、1億5000万㎞として計算しなさい。

(ア) 10天文単位
(イ) 100天文単位
(ウ) 1000天文単位
(エ) 10000天文単位

ボイジャー1号は、人類が送り出した物体で最も遠くを航行しています。
とにかく宇宙のスケールの大きさを実感できる問題です。
「速さの3要素」を見てみると、

・速さ=時速6万㎞! …算数ではなかなかお目にかかれません。
・距離→単位が、「天文単位」 …㎞より大きい単位ってよく考えるとないような…
・時間=35年!

計算もすごいことになります。桁数だけは。
60000㎞ × 24時間 × 365日 × 35年 =18396000000(㎞)
これを、150000000㎞で割ると、122.64となります。

実際にはここまで計算しなくても、桁数だけを慎重に比べて、約100倍とわかります。
よって正解は(イ)。

問2

2010年に小惑星イトカワから微粒子を地球に持ち帰った小惑星探査機「はやぶさ」でも、問1の文中にある「惑星の重力を利用し加速する」方法を使っていました。この方法を何と言いますか。次の(ア)~(エ)の中から1つ選び、記号で答えなさい。

(ア) パワーバイ
(イ) キックバイ
(ウ) アクセルバイ
(エ) スイングバイ

作問者が実際に作るのは、正解以外の「はずれ選択肢」。ここにカラーが現れるものです。
作問者の作った誤答の方がセンスがある、ということも珍しくありません。

試しに作ってみましょうか?
スピードバイ、スペースバイ、プラネットバイ、カソクスルバイ…

私のネーミングのセンスはさておき、この問題2ではどの選択肢もなるほどと思えるものになっていて、推測や消去法が全く通用しません。
そうです、この問題は、

知らなきゃ解けない知識問題

なのです。
正解は「考える余地なく」、(エ)スイングバイ。

ところで、スイングって、振り子のように揺れるイメージ…(ア)(イ)(ウ)に比べて

全然加速感がない

名前だと思いませんか?
実は、スイングの方がピンとくる理由が

あります。

その辺は次回お話ししましょう。
お楽しみに!

理科ドクター