算数・理科担当の大木快です。
もうすぐ夏至!紫外線の強い日が続きます。6月の紫外線は真夏並みの対策が必要だそうです。大きな帽子にサングラスに腕カバーという「完全防備」の人も多く見かけます。駅のホームで日傘をさす人もいるそうですが、さすがにこれは問題になっているようです。
そういえば、最近は運動会で顔が真っ赤に日焼けした生徒をあまり見ない気がします。これも日焼け対策が浸透したせいでしょうね。
さて、天気予報で
「大気が不安定」という言葉を聞いたことがあるでしょう。
「上空に流れ込んだ寒気によって大気が不安定となり、不安定な天気になるでしょう」なんて言ってますよね。
大気が不安定?
天気が不安定?
何となく、天気が悪いのかな、というフィーリングはありますが、実際どういう意味でしょうか。
実は、大気の安定について学校で習う人はおそらく少数派。
大気安定度は高校地学の教科書に出てくるだけなので、自分も習っていない!!
そこで湧いてくるのが…
意味がわかって使っている人はどれくらいいるのだろう。
という疑問。
今回は知っているようで知らない(?)、大気の安定度について説明します。
まず、周囲の大気より温度の高い空気の塊を考えます。
熱気球をイメージするとわかりやすいかもしれません。
ここでは暖かい空気の入った風船で説明します。
温度が高い空気は、周りの空気より「軽い」、すなわち密度が小さいため、風船は上昇していきます。
上昇すると、気圧の低下に伴い膨張するので、風船の温度は下がっていきます。
①上空の気温が高いとき
上空の気温が高いと、風船の温度は周りの温度と等しいところまで下がります。まわりと同じ温度になったので、これで上昇終了です。風船はこれ以上上昇することはありません。
②上空の気温が低いとき
それでは上空の気温が低いとどうでしょう。
風船は上昇して温度が下がりますが、いくら温度が下がっても
周りの空気の方が温度が低い
という状況が生じます。ということは
どこまでも風船が上昇していく
ということになりますね。
風船の周りの空気のことを、大気と言います。
通常は、高度が上がるにつれて大気の温度は下がっていくのですが、その下がり方はいろいろなケースがあり、それを「大気の状態」といいます。
先に見た例でいうと、①の上空の気温が高いとき は、
上空に上るにつれて緩やかに温度が低下している状態
②の上空の気温が低いとき は、
上空に行くにつれて、急激に温度が低下している状態
ということができます。
ここで、①の状態を「安定」 ②の状態を「不安定」と言います。
不安定な大気中では、風船がいつまでも上昇するわけですから、水蒸気を含んだ空気であれば、
雲がどんどん発達していくことが想像できるでしょう。上にどんどん発達する雲と言うのは…そう、積乱雲。
このように不安定の意味が解ると、「上空に寒気が流れ込むと、大気が不安定になり…」
の意味が明確になりますね。スッキリしましたか。
大気不安定の状態では、積乱雲が発達しやすくなるので、激しい雨や雷が起こる可能性が高まる、ということなんです。
それでは今回のまとめです。
①安定 温度が緩やかに下がっていく状態
②不安定 温度が急激に下がっていく状態
の2つがある。
●安定した大気中では、空気の上昇はあるところで止まるが、
不安定の大気中では、空気が上昇し続けて雲が発達しやすくなる。
今回は、大づかみに、大気の不安定とはどういうことなのかを解説しました。
ところで冒頭の「天気が」不安定とはどういう事でしょう。
「何となく」、「そんな感じ」で使っているだけで、正確な意味は不明な言葉ということになります。まあ、気持ちはわからなくもないですが。
大気安定度のグラフは、中学入試でも登場しています。
雲の出来方や、フェーン現象など、大気や水蒸気に関するネタを、別の機会に提供するかもしれません。
それではまた!