皆様こんにちは。算数・理科担当の大木快です。
寒い日が続きます。
写真は東の空。月と一緒に映っているのは…
そう、オリオン座。
拡大図です。わかるでしょうか。
季節の変化を大きく感じる瞬間です。
塾帰りにオリオン座を観測すると、同じ時刻における位置がだんだん変化していくことを肌で実感できます。
東の空に見え始めたオリオン座が日に日に高くなっていき、だいぶ高くなってきたな、と思った頃には…
入試シーズン到来、となるのです。
オリオン座は「入試までのカウントダウン」、という感覚は子供のころから自分にしみついているようです。
ところでオリオン座って冬の星座では?
と思われた方、実は真夏(=太陽と同じ向きにあるので見えない)を除けば、オリオン座はほぼ年中見られます。ただ、日常生活の中で、明け方の星を見ることはそうありませんので、意外な感じがするかも。
いつ何時ごろどこに見えるか知りたいときは
星座早見の出番。ぜひお確かめを。
今回は、宇宙に飛び出してみよう①の続きです。
まずはそこで扱った早実中の問題のおさらいから。
2010年に小惑星イトカワから微粒子を地球に持ち帰った小惑星探査機「はやぶさ」でも、問1の文中にある「惑星の重力を利用し加速する」方法を使っていました。この方法を何と言いますか。次の(ア)~(エ)の中から1つ選び、記号で答えなさい。
(ア) パワーバイ
(イ) キックバイ
(ウ) アクセルバイ
(エ) スイングバイ
正解は、すでに明らかにしているのですが、
(エ) スイングバイ
でした。
今回は、探査機を加速する
スイングバイ
について、説明したいと思います。そもそも惑星の引力を利用して加速する目的は、
燃料の節約
のためです。
ある惑星(ここでは地球とします)に、小さな物体(ここでは宇宙船とします)が接近する、という設定を考えましょう。
物体が地球の重力につかまった場合、次の3つが考えられます。
1地球に落下する
2周回軌道に乗る(地球の周りをまわる)
3地球に引っ張られるんだけど、つかまらずに飛んで行ってしまう
このうち、3の場合を考えます。
まず、最初の状況はこうです。
宇宙船はこの後、青線で示した軌道を描いて、
はるか彼方へ通り過ぎていきました。
青い線で示した軌道は双曲線といいます。反比例のグラフの形で出てくる、あのカタチ。
この軌道、まるで振り子が揺れているようですね。スイングバイ、というのもうなずけます。
ところでこの双曲線軌道を通り過ぎた宇宙船は、二度と帰ってきません。
さて、ここで視点を変えますよ!
先ほどの軌道は地球を基準に見たものでした。
改めて図を見てください。地球接近の前後で、宇宙船の速さは変わっていないことがわかります。
ところが、です。
地球は太陽の周りをまわっています。このことを加味して、地球外から眺めることにしましょう。難しいことではありません。
地球を図のように動かせばよいのです。
このように動く地球に対して、
同じように1から5の宇宙船の動きを重ね合わせると…
こうなります。
ずいぶん違った軌道になりましたね。地球接近前後の速さを比べてみると、
↑こうなります。1から2の矢印と、4~5の矢印を比べてみましょう。
宇宙船が加速されている
ではありせんか。
ところでスイングバイには加速だけでなく、減速のパターンもあるようです。
原理は簡単です。先ほどの図の矢印を反転すると…
接近の前後で減速していることがわかりますね。動く地球の前方に割り込ませて、地球の引力をブレーキにする、と言えば、すこし分かりやすくなるでしょうか。
最近では
はやぶさ2も、この地球スイングバイを使って加速しているそうです。
どこまで話を広げることができるでしょうか。壮大なスケールになるかもしれません。
お楽しみに!