皆様こんにちは。大木快です。
前回までに、キログラムの定義が変わる話をしました。
キログラム以外の基本単位はどうなのでしょう。誰がどう決めて、今どうなっているのか…疑問は広がります。
主な単位の成り立ちについては、知っておくと役立つことが意外と多いので、今回は、「メートル」と「秒」について触れておきたいと思います。
1メートル
メートルは、フランス主導で決められた単位です。
地球の大きさが基準でした。
赤道から北極までの子午線の長さ(経線の長さといってもよいでしょう)を1万kmと定め、その1/10000000を1メートルと定めたのです。
その後、金属製の「メートル原器」が作られ、長らく基準として活躍することとなりました。
地球の1周=40000km
は、覚えておいて損はありません。これで地球の直径・半径も暗記不要になります!
ところで、地球は完全な球体ではなく、地球楕円体と言って、赤道方向にちょっと太った姿をしています。半径の長さも、
・北極向きの半径=6357km
・赤道向きの半径=6378km
と、意外と大きな差があり、正確さと言う点では限界がありました、
そこで現在では「変わらない」量である、「光速」と「秒」を用いて、
「真空中で光が1/299792458秒に進む距離」
という定義が用いられています。
光速=秒速30万km
も押さえておきたいところです。
じゃあ1秒はどうやって決めているんだ、と思いましたか?
1秒
地球の「1太陽日」を24時間とし、その86,400分の1の時間の長さを1秒と定めました。
1時間=3600秒、1日=86400秒
ということになります。
「1太陽日」とは、太陽が南中してから、次に南中するまでの時間と言い換えてもよいでしょう。注意すべきなのは、地球の「自転周期」は24時間ではないということ。「南中」から24時間で、地球は自転に加えて約1度「公転」もしているので、南中から次の南中までに(=1日に)361度自転しているのです。
つまり、地球の自転周期は
ということになります。
その後、地球の自転周期そのものに変動要素があり、精度に限界が出てきたので、現在ではセシウムと言う原子が出す電磁波の振動数(一定の値をとる)を基準にしたものが、定義として使われています。
余談ですが、秒の定義は近い将来変更される可能性が高そうです。
物を正確に測定することは、科学の根幹といえるでしょう。
単位の成り立ちを考えることで、正確に測定するためには、前提として単位そのものが安定していることがいかに大切なことであるかが実感できるのではないでしょうか。
自動車や金属素材や免振装置…などの工業製品を考えても、正確なデータに裏打ちされて初めて、製品への信頼、安全性への信頼が生まれるものです。理科で測定に関する問題が頻出であるのも、うなずけます。
測定問題は、理科各単元に含まれており、独立して扱うことは多くありません。
この機会に、受験生の皆さんには以下の「測定」に関する問題について総ざらいしておくことをお勧めします。マイナーなものも含めていますが、押さえておくと有利になりますよ。
チェックすべき「測定問題」
2 振り子の周期のはかり方
3 温度計の読み取り方、扱い方
4 メスシリンダーの読み取り方、扱い方
5 電流計・電圧計のつなぎ方
6 風速計・風向計の仕組み
7 100m走のタイムをストップウォッチで計るときの注意点
8 雨量計の仕組み
それではまたお会いしましょう。