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投稿日:2024年05月17日

テーマ: 理科

中学受験理科ミニ知識 ~わりと頻出!爆発に関する問題②~ 

ニュース等で報じられる事故には、小学理科と関連するものがあり、実際に時事問題的な扱いで、入試に出題されます。

今回は、引き続き、爆発的現象について扱います。実際に入試に出題された内容と、出題されてもよさそうな内容を取り上げます。今回も知っていて損のない、ミニ知識としてぜひ蓄えていきたい内容で、まとめて学ぶと効果的です。

問題形式でポイントを押さえていきます。

 

事例1 アルミ缶+洗剤
2012年、地下鉄丸ノ内線の車内で洗剤の入ったアルミの飲料缶が爆発する事故が発生しました。缶を所持していた人は「飲み終えたコーヒー缶の中に、業務用の強力洗剤を入れた」と話していたそうです。
(1)洗剤の中にどのような成分が入っていたと考えられますか。
(2)爆発の原因を2点答えなさい。

 

この事件は大きく取り上げられたため、翌年の入試に出題されました。

 

(1)洗剤のなかにどのような成分が入っていたと考えられますか。

 

解答例:酸性の物質またはアルカリ性の物質
アルミニウムを溶かす性質をもっているものを答えればよいでしょう。問題文からは酸かアルカリか不明です。
実際の事故で缶に入っていたのはアルカリ性の成分だったそうです。
まさかアルミが溶けるなんて…と思っていたはず。

 

(2)爆発の原因を2点答えなさい。

 

解答例: ①アルミニウムが溶かされ、薄くなり強度が下がった
     ②水素が発生し、内部の圧力が高くなった
現在では缶飲料のほとんどはアルミ缶となっています。アルミは鉄に比べて強度が低いため、もともと内部にガスを入れてある程度の圧力をかけて強度を維持しています。このため、多少の圧力には耐えられますが、溶けると強度が著しく低下し、内部の圧力に耐えられなくなると考えられます。

 

事例2 小麦粉
容器に入った小麦粉に直接火を近づけても燃えることはありませんが、密閉された空間内で、強い風で粉を舞い上がらせた状態で火をつけると、大きな音を出して、爆発的に燃えます。
このような爆発を粉塵(ふんじん)爆発といいます。製粉工場のような施設では、こうした事故が起こらないような安全管理が必要となっています。
(問)直接火を近づけても燃えなかったものが、粉末を舞い上がらせると燃えたのはなぜですか。

 

解答例:粉末の状態で舞い上がると、空気と触れ合う面積が大きくなるから。
石炭産業が盛んであった時代には、炭鉱の坑道内で同様の事故が起こり、多くの犠牲者が出ました。

 

事例3 マグネシウムに放水
2014年、東京都町田市でマグネシウムを扱う工場で火災が発生しました。
(1)このような火災に対する有効な消火方法を選びなさい。
1 水をかける
2 二酸化炭素の泡で炎を覆いつくす
3 砂をかける

(2)実際には、事前に情報がない状態で、駆け付けた消防車が放水しました。このときどのようなことが起こったでしょうか。
1 水をかけた瞬間にすべての火が消えた
2 放水した場所から爆発的に炎が出た

 

解答 (1)3 (2)2
(1)ですが、二酸化炭素の泡というのはいかにも燃焼の条件(酸素)を奪う感じがします。それゆえ、強力なひっかけ選択肢となります。
マグネシウムはドライアイスの箱の中で、CO2から酸素原子を奪い取って激しく燃焼を続けます。したがって二酸化炭素では消せません。
砂をかければ、化学反応が起こらず熱のみを吸収できるので、もし実行可能なら理論上は有効な選択肢ではあります。
実際には、放水により爆発的な燃焼が起こったため、自然鎮火を待ったそうです。

いかがでしたか。知識の有無が身の安全に直結するとわかれば、もはや勉強しないわけにはいかなくなりますね。
事故や安全管理に関するニュースに対して、このような視点で注意を向けておくと、入試で役立つのはもちろん、筋道立てて物事を考える練習にもなります。

次回をお楽しみに

理科ドクター