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投稿日:2023年07月14日

テーマ: 理科

天体・月に行くと体重が6分の1になる?

皆さんは、お勉強の中身がわかりにくくて納得できないことがあったらどうしますか。

 

①そういうものと割り切って、気にしないようにする
②すっきりしないまま先には行けない。

 

①のパターンの人は、スイスイ先には進むんだけど、「なんとなくそんな感じ」どまりで、後で考えたらよく分かっていなかった、ということが起こるのではないでしょうか。
だからと言って、毎回②のパターンだと全く前に進まなくなるので大変です。「すっきり」を求めるのは実はとても大切なことです。
今この瞬間に解決できないことがあっても許容する心を持てるといいですね。もう少しじっくり考えましょうと。世の中わからないことだらけですし。

 

まあ、わかっていてもそうはいかないかもしれませんが(笑)。
今回は、「そういうものと割り切っている」人が多そうな地球と月での重力について考えます。

 

良夫:月に行くと重力が地球の6分の1になるんだって。
父:そうなんだ。
良夫:この間習った。
父:そいつはいいや。ワシが月に行ったら、体重は10㎏じゃのう。
良夫:(沈黙)…もっとあるでしょ。
父:まあな。実際は72㎏だ。それでも12㎏になっちゃうんだからな。まあ2kgなんて誤差誤差。
良夫:それはどうかな。
父:…
良夫:地球よりも月の方が引力が小さいのはなんとなくわかったんだけど、
「ばねはかりで測ると軽くなって、天秤で測ると変わらない」
っていうところがさっぱりわからなかった。
父:まあそういうものだと割り切って考える手もあるが…。
良夫:(きっぱり)ムリ。
父:そもそもばねはかりで測っているものと、天秤で測っているものは、
別のものなんじゃよ。
良夫:そんなあ。どっちも体重でしょ。
父:こんな風に習ったか?

 

ばねはかりがはかるもの→重さ
天秤がはかるもの→質量

 

良夫:聞いたような気もするけど、意味不明。
父:そこがわかんないから困ってるわけだしな。
重力が6分の1になれば、ばねが引く力も6分の1ってところはどう?
良夫:それは一応わかった。
父:天秤でもそれは同じことなんだよ。
良夫:何だって?
習ったことと違うような気がする。
父:天秤にのっけた物体に対して働く重力は6分の1になるか?
良夫:よくわからない。「天秤では変わらない」って習ったし。
父:そうだったな。じゃあまず天秤にのっけた物体に対して働く重力は6分の1になることを認めるとしよう。
72㎏のワシに対して、重力は12kg。
良夫:(渋々)うん。
父:このワシに対して、天秤の反対側には、何kgのおもりを乗せれば釣り合うと思う?
良夫:だから、12kgじゃないの?
父:ところがどっこい、12㎏の「おもり」も月面では、重力が6分の1になるのだよ。
良夫:じゃあ2㎏しかかからないってこと?
これじゃあ釣り合わないよ。
父:今なんて言った?
良夫:釣り合わない。
父:釣り合わない… いいこと言うじゃないか!
天秤が測っているものって、何kgとかじゃなくて、釣り合うかどうかを判定しているんじゃないだろうか。
良夫:そっかあ。釣り合っているかどうかは一目瞭然でも、何kgの重さが乗っているかは、分銅みたいに数字が書いていない限り不明だ。
父:たとえ数字が書いてあっても…
良夫:天秤には読むことができない!!
父:かかる力が6分の1になっても、釣り合う相手は変わらない。
釣り合う相手となら、どこに行っても釣り合う
ということなんじゃ。
良夫:つまりこういうこと?
自分の体重が6分の1の12㎏になり、反対側の物体も6分の1になるので、おもりは72㎏で釣り合うと。
だったらさあ、天秤では変わらない、なんていう必要なくない?

 

父:そのとーり!
鋭い指摘。

 

いかがでしたか。
ばねはかりがはかるもの→重さ
天秤がはかるもの→質量
天秤がはかるもの→質量
というのは、質量の性質の一つを挙げているだけで、実は質量そのものの説明にはなっていません。
ただ、まともに受け止めるには重い内容でも、「そういうものだ」と割り切ることで余計に悩まずにすむ、とみることもできます。質量って、どこに行っても不変の数字なんだ、くらいのイメージができていれば十分でしょう。

 

次回をお楽しみに。

理科ドクター