みなさん、こんにちは。
受験ドクターの坂井智則です。
今年の入試もたくさんの学校で月に関する問題が出題されました。
来年以降もこの傾向は続くんだろうなと思います。
月をはじめ天体の問題は、星座や星の名前を覚えることをのぞけばすべて動きのしくみを理解することが必要な分野です。
それらすべての問いには理屈が必ずあります。学習する際にはいつも理屈が理解できているかどうかを気にしながら進めてください。
今回のお話では北半球で見える月と南半球で見える月ではどちらが高い位置に見えるかということについて考えてみることにします。
例えば上弦の月。
上弦の月とは月が西の空にしずむとき、
月を弓にたとえて弦が弓の上の位置にある月です。
また、逆に弦が弓の下に位置する月を下弦の月といいます。
2021年の3月21日の月は上弦の月でした。
今見ているのは北半球から見た月。
南半球で見ている人は今見えている月の上下左右逆に見えているだなぁ~。(これもなんで上下左右逆に見えるのか考えてほしいのです)
では、見えている月の高度は北半球と南半球でどう違うんだ??
というわけで、北半球から見た月と南半球から見た月ではどちらが高い位置に見えるかを
考えてみましょう。
北半球から見た月と南半球から見た月ではどちらが高い位置に見えるか
いきなり月について考える前に、太陽の南中高度について少し考えてみることにしましょう。
下の図は、太陽の周りを公転している地球の公転面の図と、そのうち夏至と冬至の地球と太陽の位置関係を表した図です。
これらの図を見たことのある人は多いと思います。太陽の南中高度を考えるとき、夏至においては北半球と南半球とでは北半球から見た太陽の南中高度の方が高いことが図より明らかです。一方、冬至においてはその逆になることも分かります。
また、夏至と冬至の南中高度を比べたとき、北半球では夏至における太陽の南中高度の方が冬至のそれよりも高いことがよくわかります。
ここで、春分の日の月、地球、太陽の位置関係を見てみましょう。
2021年の上弦の月が南中している夕方6時ころの位置関係の図です。
太陽の光により月の半分側だけ光っている様子がわかります。
この状態の月を地球の北半球から見ると右側半分(図では下側半分)だけ光っているように見えます。
ちなみにこれを南半球から観測すると上下左右反対の左側半分だけ光っている月が見えます。
さらに上の図の青い矢印の方向から
地球、月を見た図が下の図になります。
このときの地球と月の位置関係は、夏至のときの地球と太陽の位置関係と同じです。
図からわかるように、春分の日に上弦の月が見えた場合には北半球から見た月の高度のほうが、南半球から見た月の高度より高くなっていることがわかりました。
どうでしたか。地球と月の動きを考える問題でしたが、当然暗記は無理です。
その場で地球と月の動きを考えて解答していく問題です。
でも、入試ではこのような問題が実際に出題されることも少なくありません。
ぜひ、日頃からテキストに載っている図を理解しながら学習し、「なぜ?」と考える習慣をもつようにしてください。
皆さんにとって理科がおもしろい教科と思っていただけるようになったらうれしいです。
1年間いっしょに頑張っていきましょう!