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投稿日:2024年11月14日

テーマ: 理科

「月食も日食も無い2024年」中学受験理科 2025年入試時事問題①

こんにちは、受験Dr.の咲山です。

時事問題のコーナーですが、今回は「今年起こっていないこと」をテーマにします。

内容は日食と月食です。1つ前では1996年に同様の現象がありましたが、
この約30年間、日食と月食の片方、もしくは両方が日本で観測できていました。

時事問題は「今年に起こったこと」を題材に問題を作ることが定番ではありますが、
「今年起こっていないこと」方が珍しいこともあります。


右に直近年度で月食と日食が起こった回数と、日本で観測できた回数をまとめたものです。
(天候は考慮せず、日食・月食が観測できる時間に太陽・月・地球が並んでいた回数)
(オレンジ→日食を観測できなかった年
青→月食を観測できなかった年)

20年分のみの記録ではありますが、
この表を見て、いくつか気付く点があります

①日食の回数は月食の回数よりも多い。
②日食の回数が多いにも関わらず、
 日本で日食を観察できる回数は
 月食よりも少ない。

これら2つは、しっかりと理由付けが出来ます。
この表の下で解説をしますが、
まず一度、理由を考えてみてください。

日食・月食が観測できる時間に太陽・月・地球が並んでいた回数をまとめた表

①日食の回数が月食よりも多い

理由:
日食が起こる位置に月がある期間が、月食が起こる位置に月がある期間よりも長いから。

解説:
図で考えるとイメージし易いかと思います。

図

少し極端な図ではありますが、月が上の図の
青の部分にあるときが「日食」
ちょうど反対側にあるときが「月食」が起こるときの月の位置です。

実際の太陽はもっと離れているため、日食が起こる期間と月食が起こる期間の差は小さくなりますが、
この位置関係が、日食・月食の回数とそのまま結びついています

②日食の回数が多いにも関わらず、日本で日食を観察できる回数は月食よりも少ない。
理由:
月の大きさが小さく、地球上で日食が観測できる範囲が月食と比較して非常に狭いから。

解説:
手のひらで太陽光を遮ろうとしても、自分にあたる太陽光全てを防ぎきることは出来ません。

これと同様に、月が小さいことから太陽から届く光を全て遮ることが出来ません。
地球上で「昼」(太陽が出ている範囲)は、地球の半分ですが、その中でも一部の地域でしか、日食は観測できません。

これに対して月食は、月が地球の影に入ったとき、月が見えさえすれば観測できるので、見える範囲は日食と比べて非常に多くなります。そのため、月食が観測できる回数は多くなっている、ということです。


月食と日食について、違いを確認できたでしょうか。
今年、このテーマをあえて時事問題で出す学校があるとすれば、この部分を聞いてくることがあるかと思います。
計算は用いず、図と言葉だけで説明をしましたが、

「太陽と地球の距離」「月と地球の距離」「地球・月の公転半径」「地球・月の半径」

を用いて計算をすれば、より厳密に、日食と月食の回数の違いを数値で説明することもできます。
「起こっていないこと」はニュースにはなりづらいテーマですので、今回あえて紹介しました。

以上です。

理科ドクター