化学反応といえば
- 中和
- 気体の発生
- 酸化と還元(燃焼)
の3つが主なテーマです。元の性質とは異なる、全く別の物質が生成する反応を化学反応といいますね。
さて、化学反応の計算がややこしいという話を聞きます。
私は、よく寿司造りに例えて化学反応の計算を教えます。
- 寿司造り~少ない方にそろえて、生成量を求める~
- レシピ作成~過不足なく反応する量を求める~
今回はこの①、生成量の求め方を扱います。問題を解く上では②の過不足なく反応する量を求めること
が前提条件とはなります。(料理もレシピがまずないと出来ませんね。)
ただし、今回はまずは化学反応での生成量の求め方を理解して、
化学反応では何が起こっているのか、イメージを掴んでもらいたいと思います。
あなたはお寿司を握るのが大好きな寿司職人です。
まぐろ(ネタ)と酢飯(シャリ)が1貫分ずつあれば、マグロの寿司が1貫できます。
では、このネタが10貫分、シャリは8貫分の材料があったら寿司は何貫作れますか。
簡単ですね。
作れるお寿司は8貫です。
そして、マグロが2貫分余ります。
寿司職人のあなたは、どちらも余らせるということはしないはずです。
化学反応の計算も実は、たったこれだけのことをしています。
実際の化学反応に当てはめて考えましょう。
今回の材料は、銅と酸素です。完成するものは、酸化銅。
化学反応の多くは2種類のものが分かれて出来ますが、まずは1番イメージしやすい、
生成物が1種類の金属の燃焼を題材とします。
まず前提となる知識として、
銅4gと酸素1gがちょうど反応し、酸化銅が5g生成します。
これがいわゆるレシピの部分です。1貫分ずつの材料が、銅4gと酸素1gにあたります。
実際に問題を解いていく上では、このレシピを作成するところが本当はスタートですが、
今回はこのレシピが事前に与えられたものとします。
ここからは実際の問題を見ながら、寿司造りを練習していきます。
問1 12gの銅が酸素と完全に結びつくと、何gになりますか。
問2 12gの酸化銅を作るには、何gの銅が必要ですか。
問3 6gの銅の粉末を10分間加熱した後に、室温に冷ましたところ、6.9gになりました。このとき、
- 酸素は何g結びつきましたか。
- まだ酸素と結びついていない銅は何g残っていますか。
問1
銅 + 酸素 → 酸化銅
4g + 1g → 5g
これが、寿司1貫分、ぴったり反応する量です。
今回は銅が12gありますので、銅は12÷4=3貫分あります。
酸素と完全に結びつくということは、3貫のお寿司が完全に完成するということです。
よって、生成した酸化銅は、 5g × 3 = 15g 答えは 15g です
問2
銅 + 酸素 → 酸化銅
4g + 1g → 5g
今回は、酸化銅が12gということですので、12÷5=2.4貫分の寿司が、完成しています。
お寿司に小数はありませんが、料理での0.5人前と同じように考えてもらえれば良いです。
2.4貫の寿司が出来ているということは、材料も同じだけあれば良いはずです。
必要な銅は、4g × 2.4 = 9.6g 答えは 9.6 g です
問3
銅 + 酸素 → 酸化銅
4g + 1g → 5g
今回は、材料の銅が6gということですので、6÷5=1.2貫分の材料があります。
問1と同様に考えると、酸化銅は6×1.2=7.2g 生成するはずです。
ところが、実際に残っている固体は6.9g のみです。
では何が起こったか。
銅が全て酸化銅になっていないということは、もう一つの材料、酸素が1.2貫分は無い、ということです。
ここで結びついた酸素の量は、実は単純で、残った固体から、もともとあった銅の量を引けばよいです。
6.9g ― 6g = 0.9g これが①の答えです。
この酸素の量は、0.9 ÷ 1 = 0.9貫分です。
つまり、完成した酸化銅は、0.9貫分、5×0.9=4.5g
残っている固体の内、この重さを引いたものが銅の重さになりますから
6.9g -4.5g =2.4g です。これが②の答えです。
もちろん、使った酸素の量から反応した銅の重さを求め、元の6gから引くという方法も考えられます。
同じ答えになりますので、是非やってみてください。
いかがでしたか。
銅は10円玉の材料として、身近な存在です。
しかしながら、銅を燃焼することは、実際にする機会は中々ないかと思います。
ところが、化学反応の計算を考える上で、この寿司造りの考え方を応用していけば、
計算自体は単純できるということです。その他の化学反応でも、やることは基本同じです。
また、銅と酸素の反応量、これは固定の数値です。この比は覚えてしまっても良いでしょう。
銅 : 酸素 : 酸化銅 = 4 : 1 : 5
寿司職人はお寿司の造り方を一つ一つ新しく考えながら作っているわけではありません。(ないはずです)
レシピを覚えて使える部分は、覚えてしまった方が楽です。
以上です。次回は、化学反応基礎② ~過不足なく反応する量を求める~ を扱います。