皆さんこんにちは。
受験ドクターの理科大好き講師、澤田重治です。
今回も、簡単に手に入る材料だけを使って、家でも手軽にできる楽しい理科実験を紹介していきます。
第3回のテーマは、「光合成の実験」です。
とは言っても、「一晩暗室に置いて」とか、「葉にアルミ箔を被せて」とかという面倒なことはしません。
その結果は、受験生の皆さんであればほとんどご存じでしょうから。
今回、私がやりたいのは、「実際に葉の色が抜けるところを見てみたい」という一点だけです。
それは、どんな参考書にも載っているような有名な実験なのに、本当に葉の色が抜ける様子を見たことのない生徒さんがあまりにも多いからです。
中学入試でも、理由を記述させる形でよく出題されるのですが、きちんと答えられる受験生は多くありません。
実際に実験をしたことがないから、それぞれの操作の理由が覚えられないのではないでしょうか?
というわけで、早速やってみましょう!
実験の手順は?
今回は、「すでに光合成している葉を摘み取ってきて葉緑素を抜き、ヨウ素液をかけて色の変化を見る」というだけの、とてもシンプルな実験です。
その具体的な手順は、
① よく太陽光のあたった葉を1枚摘みとってくる。
② 熱湯で洗い、葉を柔らかくする。
③ 葉を入れたエタノールを湯につけて「湯せん」する。
④ 再びお湯または水で洗う。
⑤ ヨウ素液をかけて色の変化を観察する。
となります。
いよいよ実験開始!
① よく太陽光のあたった葉を1枚摘みとってくる。
雑草のように生えている植物の葉を、1枚摘みとってきました。
ただ、実験をしたのが午前中ですし、空は曇っているし……光のあたり方は十分じゃないかもしれません。
さて、これが結果にどう響くでしょうか?
② 熱湯で洗い、葉を柔らかくする。
採ってきたばかりの葉は固いので、中までアルコールが入りません。
また、細胞のはたらき自体も止めてしまう必要がありますから、熱湯で洗います。
原理としては、「野菜をゆでると柔らかくなる」というのと同じことですね。
ゆでた野菜は、生野菜よりもポン酢などが染み込みやすくなります。
③ エタノールにひたした葉を、容器ごと湯につけて「湯せん」する。
薬局・薬店などで簡単に手に入り、比較的安全性の高い「エタノール」を使用します。
注射をするときなどに、消毒に使っている薬品ですので、独特のにおいがします。
可燃性の液体ですから、火気や換気には十分に気を付けてください。
上の写真のように、ただエタノールにつけているだけでは、ほとんど色は抜けてきません。
火は使えませんから、エタノールの入った容器ごとお湯につけて温めていきます。
すると、下の写真のように、みるみるエタノールが緑色になり、葉の色が抜けていきます。
結構、ビックリするくらい白くなる様子が観察できますよ。
④ 再びお湯または水で洗う。
一度はお湯で洗って柔らかくなったはずの葉が、また固くなっているのが分かるでしょうか?
エタノールのせいで、再び葉が固くなってしまったのです。
実際に、固くなっている葉をはしでつまんだら、ちょっと割れてしまいました!
そこで、固くなった葉を、もう一度お湯または水で洗い流します。
洗い流すと、また葉がフニャフニャになってきました。
はしに絡みつくくらい柔らかくなった様子が、写真からでも分かるでしょうか?
一方、エタノールの方は、葉緑素がとけだして、美しい緑色になっています。
なんだか、かき氷のメロンシロップみたいでおいしそう……。(もちろん、飲んではいけません!)
⑤ ヨウ素液をかけて色の変化を観察する。
とはいえ、ヨウ素液なんて普通の家庭にはないですよね?
でも、ご安心ください。
市販されている「うがい薬」や「のどスプレー」の中に、褐色の製品がいくつかありますが、あれらは殺菌成分としてヨウ素を含んでいるので、実はヨウ素液として使うことができるのです。
試しに、ジャガイモなどの切り口につけてみると、見事に青紫色になるのが分かりますよ。
私も今回は、ヨウ化カリウムを成分に含んだ「のどスプレー」で挑戦です。
葉の色が抜けるところまではうまくいきましたが、果たして青紫色に変色する様子が分かるでしょうか?
ドキドキしながら、「のどスプレー」の黄褐色の液体をかけていきます。
さあ、結果はいかに?!
う~ん、微妙!
青紫と言えば青紫ですが、かなり「のどスプレー」自体の黄褐色も強く出ているようです。
やはり、日照不十分で、作られたでんぷんの量が少なかったみたいですね。残念!
でも、失敗も含めて実験です。
その失敗の原因を考えることが、また勉強になるのですよ。
百聞は一見にしかず――これだから実験はやめられないですよね!
次回もお楽しみに!