皆さんこんにちは。
受験ドクターの理科大好き講師、澤田重治です。
今日は5月5日――こどもの日ですね。
柏餅は食べましたか?
鯉のぼりは上げましたか? 兜飾りは?
菖蒲湯なんて、最近ではあまり入らないのでしょうか?
少し考えただけでも、日本にはいろいろな風習がありますね。
私たち受験ドクターは、常にこどもファーストですから、ある意味毎日がこどもの日なのですが……
せっかくなので、今日は「5月5日」にちなんだ理科の話をしたいと思います。
さて、5月5日は、「端午の節句(たんごのせっく)」とも言いますよね。
こどもの日と端午の節句……どちらが古いかというと、圧倒的に端午の節句です。
こどもの日は、日本の祝日の一つですが、これができたのは1948年――昭和23年のことですから、まだ100年も経っていないのです。
一方、端午の節句というのは、中国で使われていた五節句の一つで、
日本には奈良時代からすでに伝わっていましたが、正式に法制化されたのは江戸時代だそうです。
ここで、ふとわいた疑問……「端午」って何でしょうか?
そう言えば、理科の用語に「標準時子午線」なんてありますが、この「子午線」にも「午」という字が使われています。
時刻を表す「正午」や、「午前」「午後」などにも……。
これを掘り下げていくと、なかなか面白い話が出てくるのです!
実は、これらの「午」という字が表しているのは、いずれも十二支の「午(うま)」なのです。
昔は、生活の中のあらゆるところに干支(えと)が使われていました。
例えば、時刻は1日24時間を2時間ずつに区切って
0時が「子(ね=ねずみ)の刻」
2時が「丑(うし)の刻」
という具合です。
方角にも十二支が使われていました。
1周360度を12等分すると30度になりますから、真北の方角を「子(ね)」として、時計回りに30度ずつ「丑(うし)」「寅(とら)」……となります。
そうなると、例えば北東という方角は真北から時計回りに45度の方角ですから、「丑(うし)」と「寅(とら)」のちょうど真ん中になりますね。
この方角は、「艮」という字を書いて「丑寅(うしとら)」と呼んでいました。
陰陽道では、鬼が出入りするのがこの「丑寅(うしとら)」の方角とされており、それを「鬼門」と呼んでいたのです。
だから、想像上の鬼は、牛の角が生え、虎のパンツをはいていたのです!
では、時刻と方角を十二支の順にまとめてみますね。
干支 | 動物 | 時刻 | 方角 |
子(ね) | ネズミ | 0時 | 真北 |
丑(うし) | ウシ | 2時 | 北よりの北東 |
寅(とら) | トラ | 4時 | 東よりの北東 |
卯(う) | ウサギ | 6時 | 真東 |
辰(たつ) | 龍(りゅう) | 8時 | 東よりの南東 |
巳(み) | ヘビ | 10時 | 南よりの南東 |
午(うま) | ウマ | 12時 | 真南 |
未(ひつじ) | ヒツジ | 14時 | 南よりの南西 |
申(さる) | サル | 16時 | 西よしの南西 |
酉(とり) | トリ | 18時 | 真西 |
戌(いぬ) | イヌ | 20時 | 西よりの北西 |
亥(い) | イノシシ | 22時 | 北よりの北西 |
気が付きましたか?
真北を表すのが「子(ね)」で、真南を表すのが「午(うま)」なので、南北を結ぶ線――つまり経線のことを「子午線」と呼ぶのです!
そして、十二支は、日を表すのにも使われていました。
「土用の丑の日」などという言い方も、聞いたことがありますよね?
さあ、ここでようやく、本題の「端午」という言葉の意味に戻ってきます。
「端(はし)」というのは最初という意味で、「午(うま)」は「午の日」を表しています。
つまり、もともとは「毎月の最初の午の日」という意味でした。
しかし、「午(ご)」という音から、「五」に引っ掛けて特に5月の午の日を表すようになり、さらに五が重なる5月5日を「端午の節句」とするようになったのだそうです。
結構なダジャレだったわけですね。