皆さんこんにちは。
受験ドクターの理科大好き講師、澤田重治です。
私が指導している理科や算数に限った話ではありませんが、この仕事をしていると、
「塾の宿題が多すぎて終わらない。」
「テストが近いけど、テキストの範囲内の問題を全部やらないといけないの?」
「やることが多すぎて、どれだけ時間があっても足りない。」
といったご相談を受けることがよくあります。
確かに、「やった方が良いこと」を挙げればきりはありませんが、それらすべてをやることは不可能でしょう。
では、どこまでやれば十分な効果が出るのでしょうか?
働きバチの法則
理科的には、ハチとアリは非常に近い仲間で、集団で巣を作り、社会生活を送るという特徴があります。
ハチとアリが近い仲間だというのは意外に感じるかもしれませんが、試しにスズメバチなどの写真やイラストを見ながら、そのはねを取ったところを想像してみてください。
ちょっと色のハデなアリの出来上がりです。
実際、日本人にとっては、「ハチは怖いけど、アリは別に……」という感覚かもしれませんが、世界に目をやると、アリは大変どう猛で危険な昆虫なのです。
そんなハチやアリの研究から生まれた、「働きバチの法則」または「働きアリの法則」というものがあるのをご存知でしょうか。
時々、ビジネス書にも登場するもので、「2・6・2の法則」と呼ばれることもあります。
働きバチや働きアリの動きを研究していると、どの集団を見ても、とてもよく働くものが2割、普通のものが6割、まったく働かないものが2割というバランスになっているのだそうです。
また、いくつかの巣の中から、よく働く2割だけを集めて新しい集団を作っても、その中から働かないものが出現して、やはり2:6:2の割合に落ちつくのだとか。
逆に、まったく働かない2割だけを集めても、その中からちゃんと働くものが現れて、こちらも2:6:2の割合になるのです。不思議ですね。
そして、面白いことに、この法則は人間にもあてはまるようです。
イタリアの経済学者ヴィルフレド・パレートが発見した「パレートの法則」によれば、全体の2割にあたる高所得者の所得を合計すると、全所得の8割になるのだとか。
そんなところから、パレートの法則は、「20:80の法則」または「2:8の法則」とも呼ばれています。
この2割の高所得者が、ハチやアリの世界では「とてもよく働く個体」ということになるのでしょう。
学習の優先順位と効果
さて、ここからが本題です。
これら、働きバチの法則やパレートの法則が、中学受験の学習方法とどう関係するのか……。
結果としての得点や偏差値とは異なり、宿題やテスト勉強による「学習の効果」を数値化することは難しいので、あくまでプロとしての感覚ということにはなってしまいますが、私は、「やった方が良いすべての学習」の中から優先順位の高い2割の学習を行うと、それらすべてを学習したときに得られる効果の8割が得られると思っています。
もっと思い切ったことを言うなら、単独で考えれば「やった方が良い学習」であっても、優先順位の低い2割はほとんど効果がない学習になってしまうということです。
これは、より優先順位の高い学習の中に、同様の効果が含まれてしまうからであって、「やった方が良い」という判断が誤っているわけではありません。
その学習だけをするのであれば、それはそれで多少の効果はあるのです。
しかし……すべての学習をしていく場合、最後の2割の内容からは、ほとんど成果が得られないわけです。
それでも時間は取られてしまいますし、そこで発生する疲労やストレスを考えれば、プラスがないどころか、むしろマイナスを生んでいるとさえ言えるでしょう。
優先順位の重要性
これらのことから分かるのは、優先順位を見極めることの重要性です。
山のようにある「やった方が良いこと」の中から、きちんと優先順位の高い2割を選び出すことができれば、その2割の学習だけでも8割の効果を得ることができるのですから、こんなに効率の良い学習方法はありません。
あとは、無理のない範囲で、より優先順位の高いものから順に手掛けていけば、残り2割分の学習効果も少しずつ得ることができますし、もし、「やった方が良いこと」の8割までこなすことができれば、もうそれ以上やる必要はないということになります。
では、どうすれば優先順位の高いものを見抜けるのか?
それは、お子様の状況や単元によっても異なるので、さすがに一概には言えません。
無料学習相談なども行っておりますので、ぜひ私たち受験ドクターのプロ講師にお尋ねください。