皆さんこんにちは。
受験ドクターの理科大好き講師、澤田重治です。
ついこの前までは暑かったような気がするのに、もうずいぶん寒くなってきましたね。
中学入試が行われるのは、一年で最も気温が低くなる時期です。
つまり、寒くなるほど入試が近づいているとも言えるでしょう。
さて、前回から始めた、理科の時事問題対策ブログですが、
第2弾となる今回は、「ジャガイモ」について掘り下げたいと思います。
えっ? 何でジャガイモ?? なんて思った方。
4月頃にジャガイモの品薄が続き、一部のポテトチップスが販売中止になるなど、
様々な影響が出たことをお忘れですか?
原因となった日照不足や長雨、台風の影響など、気象関連の問題に発展させることもできますし、
小学校でも必ず学習する植物ですから、その基本的な性質について出題することもできます。
比較的問題が作りやすい題材なのです。
今回も、覚えておいた方が良いキーワードは赤文字で示していきますよ。
ぜひ、学習の参考にしてください。
ジャガイモの収穫時期と流通
別名を馬鈴薯(ばれいしょ)ともいうジャガイモですが、男爵・メークイン・きたあかりなど、
その品種には、耳にしたことのある名前も多いでしょう。
日本のジャガイモ生産量の約70~80%は北海道が占めています。
ジャガイモは涼しい気候を好むので、この結果は納得ですね。
例えば、2015年のデータでは、生産量第1位の北海道が79.3%なのに対して、
第2位の長崎県は3.9%しかありません。
ん? 長崎?
あれ? 涼しい気候を好むのだから、東北地方なんじゃないの?
そう、ビックリですよね。
何と、第2位が長崎県(3.9%)、第3位となるのも鹿児島県(3.2%)と、ともに九州地方でした。
そして、4位が1.9%で茨城県、5位が1.1%で千葉県と、関東勢が続きます。
なんだか不思議な感じがしますが、要するに栽培時期が異なるのですね。
この「収穫時期のズレ」というのが、今回のニュースにも関係してきます。
北海道では主に、「春植え」と言って、通常4~5月頃に植付をします。
一般的な家庭菜園では100日前後で収穫ですが、冷涼な北海道では7~10月が収穫時期。
ですから、だいたい7~8月の時期のものが「新じゃが」なんですね。
そして、11月以降には、倉庫に貯蔵していたものを出荷することになります。
その在庫は、例年であれば翌年の5月頃まであるそうですよ。
一方、温暖な地域である九州産のジャガイモは、4月以降が出荷のピークとなるようです。
北海道とは、ちょうど時期がずれているのですね。
今春、ジャガイモが品薄になった原因
2017年4月、ポテトチップスを販売中止にまで追い込むこととなったジャガイモは、
当然2016年の夏~秋に収穫されたものでした。
しかし、2016年は、6月に日照不足と長雨、8月には相次ぐ台風被害があって、
ジャガイモの生育が大幅に遅れたのです。
一部の地域では、水に弱いジャガイモが畑の中で腐ってしまって、商品にならなくなりました。
その結果、北海道のジャガイモ出荷量は、2015年の約1,718,000トンから、
2016年には約1,526,000トンへと、約11%も減少してしまいました。
その結果、例年なら5月くらいまでは倉庫に残っているはずの貯蔵ジャガイモが、
4月の中旬には底をつくという状況になってしまったのです。
さらに、例年であれば、4月くらいから出荷が始まるはずの九州産ジャガイモも
雨の影響で生育が遅れて……。
これが、「ポテトチップス危機」の原因だったのです。
この教訓から、各お菓子メーカーでは、北海道に頼りすぎないように、
全国各地のジャガイモを確保する動きをしているそうですよ。
様々な産地のジャガイモを使い、その地域の名物とあわせて、
ご当地ポテトチップスを作っているところもありますね。
ジャガイモとその周辺知識
さて、ここからは、知っておかなければならない知識事項です。
ジャガイモはナス科の多年草です。
ナス科の植物には、他にトマト,ピーマン,トウガラシ,ホオズキなどがあるので覚えておきましょう。
ナス科の花は合弁花で、原則的には先端が5枚に分かれています。
(時々、6枚のものや7枚のものもあるようです。結構いい加減なんですね。)
これらナス科の植物の花は、色こそ違いますが、形はよく似ています。
一度、調べてみると良いでしょう。
中央の大きな葯(やく)と、先端がやや反り返った花弁が特徴的です。
ジャガイモの花は、品種によって異なりますが、白やうすい紫色のものが多いです。
ジャガイモの可食部分は地下茎です。
しかしの芽や茎の部分には、ソラニンという毒があります。
2016年度入試では、駒場東邦中学でもソラニンに関する問題が出されていました。
ジャガイモの表面にある芽がらせん状に並んでいることも有名ですね。
また、種いもの植え方についても確認しておきましょう。
一方、同じ「いも」でも、サツマイモはヒルガオ科の植物です。
可食部分も根ですので、間違えないようにしてください。