皆さんこんにちは。
受験ドクターの理科大好き講師、澤田重治です。
今回からは、「リード文を読む」理科入試問題の対策編に入ります。
さて、これまでのブログでは、リード文問題で求められる力を、
「①読解力」・「②理解力」・「③活用力」・「④連想力」・「⑤考察力」
の五つに分けて分析してきました。
この中でも、「①読解力」・「②理解力」の二つは、
ほぼすべてのリード文問題で求められるものであり、
リード文問題の基本中の基本です。
今回は、その「①読解力」の対策から考えていきましょう。
国語の「読解力」とは別物
理科のリード文問題で求められる「読解力」は、国語のそれとは異なります。
というのも、理科の問題を作っている先生は、おそらく受験国語から遠いところにいる人だからです。
ここで言う「読解力」というのは、「リード文に書いてある文章を正確に読み取る力」です。
もちろん、部分的には国語の読解問題、特に「説明的文章」と重なるところもありますが、
見るべきポイントは少し違ってきます。
理科のリード文問題では、「微妙な言葉の違いを正確に区別する」ことが重要なのです。
例えば、次のリード文をご覧ください。
私たち人を含めた動物は自分自身で栄養を作れません。そのため、自分以外の( あ )を食べています。また、(あ)どうしで栄養をうばいあい、たくわえた栄養はさまざまな生命活動の結果、分解されて最終的に( い )と水などになります。この(い)と水から新たに栄養を作り出す(あ)がいます。それは( う )です。この(う)のはたらきは日光を使っているので、私たち人が得ている栄養のほとんどは、日光の恩恵であるといえます。
この後の問いで、「文中の( あ )~( う )に入る適当な語をそれぞれ漢字で答えなさい」と
いうことになるのですが、お分かりになりますでしょうか?
(ちなみに、2019年度の麻布中の入試問題です。)
ここで、( あ )の空欄にあてはまる言葉を考えてみましょう。
「自分以外の( あ )を食べています」 「( あ )どうしで栄養をうばいあい」 と続きますから、
何となく( あ )には、「動物」という言葉が入りそうに見えますね。
しかし、「この( い )と水から新たに栄養分を作り出す( あ )がいます」という文は、
明らかに光合成の話なので、「動物」だとおかしいことになります。
あれ? じゃあ、「植物」が入るの?
でも、「自分以外の植物を食べています」だと、草食動物だけの話になってしまう……。
結局、どの空欄も成り立つようにするためには、
( あ )の空欄には、「生物」という言葉を入れるしかないのですが、
リード文の冒頭に「生物」という言葉そのものが登場してしまっているので、
何となく選びにくいですよね?
つまり、この問題は、「生物」・「動物」・「植物」という言葉の定義が分かっているかが鍵なのです。
そして、それらの定義に合致するかどうかを、周囲の言葉の使い方と照合します。
このように、「用語」に注意しながら読むのが、理科リード文問題の最大のポイントです。
そして、この力を鍛えるには、普段から「キーワード」を意識した学習をすることが重要です。
例えば、「二酸化炭素」というキーワードから、どれだけたくさんのことを連想できるでしょうか?
呼吸,光合成,燃焼,炭酸水,炭酸水素ナトリウム(重そう)の加熱分解,地球温暖化,……
いろいろありますよね?
これらを考えたり、調べたりすることが対策になります。
ぜひやってみてください。
次回も、「リード文問題対策」をお届けします。
どうぞお楽しみに!