皆さんこんにちは。
受験ドクターの理科大好き講師、澤田重治です。
皆さんは、百人一首で遊んだことがありますか?
中には、映画などの影響で興味を持った人もいるかもしれませんね。
なぜこんな話をしているのかというと、実は、あの百人一首の世界には、
理科の知識がいっぱい詰まっているからなのです。
理科を知らなければ、意味が分からない歌もたくさんあります。
昔の短歌や俳句は、
そのような教養を持った人たちによる高度な遊びだったのでしょう。
そんな昔の人たちに負けないよう、私は理科のプロ講師として、
百人一首の中で見つけた「中学受験に役立つ理科知識」を紹介していきたいと思います!
鵲(かささぎ)の 渡せる橋に 置く霜の 白きを見れば 夜ぞふけにける
「中納言家持」という人がよんだ歌です。
私は国語が専門ではないので、細かい文法の話などはしませんが、
ざっくり歌の意味を説明すると、
カササギが渡した橋みたいな階段が宮中にあるけど、
その上におりた霜が真っ白なのを見ると……もうずいぶん夜もふけたんだなぁ
という感じでしょうか。
➀ この歌の中には「七夕伝説」が隠れている!
さて、この歌の意味を正しく理解するには、
大前提として「七夕伝説」を知らなければなりません。
七夕伝説にも、いろいろな話があるようなのですが、その中の一つに、
「七夕の夜に、カササギが天の川に橋をかけており姫を渡す」
というものがあります。
七夕の夜に雨が降ると、天の川の水かさが増して、渡れなくなってしまいます。
しかし、たくさんのカササギがやってきて、自分たちの体で橋を作ってくれるので、
二人は年に一度のデートを楽しめるといわれているのです。
ロマンチックと言えばロマンチックですが……
正直なところ、皆さんはその状況をイメージできていますか?
ちなみに、知っての通り、七夕伝説には「夏の大三角」が深くかかわっています。
こと座のベガが「おり姫」で、わし座のアルタイルが「彦星」――ここまでは有名ですね。
あれ?! でも、はくちょう座だけ関わっていない?
いえいえ。そんなことはありません。
はくちょう座の翼の部分を作る星が、天の川を横切っているのが分かりますか?
これこそが、カササギが天の川に渡した橋なのです!
② 「カササギ」ってどんな鳥なんだろう?
そう! きっと多くの人はそう思っていることでしょう。
だって、身近に「カササギ」なんていう鳥はいないですもんね。
日本では、北九州にしか生息していないらしいですよ。
佐賀県の県鳥にも指定されている天然記念物だとか。
分類的にはカラス科の鳥で、からだの大きさや全体的な形は、
確かにカラスに似ている気がします。
でも、カササギの方が、圧倒的に色がキレイ!
皆さんも、ぜひ自分の目で調べてみてくださいね。
でも、カササギって帰化生物――つまり、「外来種」なんです。
豊臣秀吉が朝鮮出兵のときに持ち帰ったという話もあるようですが、
どこまで本当かは知りません。
一説では、カササギが「カチカチ」と鳴くので、
「勝ち、勝ち」に聞こえて縁起が良かったとか。
ただ、事実として朝鮮半島には数多く生息しているようで、
中国の七夕伝説に登場したのもうなずける気がします。