皆さんこんにちは。
受験ドクターの理科大好き講師、澤田重治です。
予告通り、今回は「浮力の計算(初級編)」をお届けします。
前回の基礎知識をまだ習得していない方は、
ぜひ、前回のブログを確認してから読み進めてください!
浮力の計算(初級編)
さて、それでは実際の計算を見てみましょう。
水中につるされているおもりの体積が200㎤で重さが350gとします。
このとき、上のばねはかりと下の台はかりは、それぞれ何gを示しているでしょうか?
この問題、びっくりするくらい苦手な人が多いですよね?
でも、本当は簡単なんですよ!
まずは、空気中でばねはかりにおもりをつるしているところを想像してみてください。
重さ350gのおもりですから、当然350gを示しますよね。
この状態から、おもりを水中に沈めていきます。
おもりが全部水中に沈むと、その水中部分の体積は200㎤なので、
このおもりには200gの浮力がはたらきます。
浮力は上向きにはたらいて、おもりを持ち上げるのを助けてくれるので、
ばねはかりの目盛りは、350gから200g減って、150gになります。
だって、上からつり下げているおもりやばねはかりでは、
ビーカーやその中の水は持ち上げられないですよね?
だから、おもりの分だけを考えれば良いのです。
一方、台はかりの方はどうなっているでしょうか?
ここで考えるべきことは基礎知識の2番、
「浮力がはたらいても、重さがなくなるわけではない」ということです。
ここに出てきている物体は、ビーカー500g、水300g、おもり350gの合計1150gです。
この1150gのうち、150gは上のばねはかりが負担してくれているので、
残りを下の台はかりが支えれば良いのです。
つまり、1150ー150=1000 なので、台はかりは1000gを示します。
ねっ? 簡単でしょう?
おもりを半分だけ水につけたら……
では次に、おもりを半分だけ水につけたらどうなるでしょうか?
基礎知識の1番「水の中に入っていなければ浮力は発生しない」でしたね?
だから、体積200㎤の半分、100㎤だけが水中にあれば、100gだけ浮力が発生します。
空気中ではかれば350gのおもりですから、100gだけ浮力がはたらいて助けてくれれば、
ばねはかりの目盛りは250gになります。
そうなると、先ほどと同じように全部で1150gの物体があり、浮力がはたらいても
はたらかなくても「重さはなくならない」のですから、残りの重さを台はかりが負担します。
したがって、1150ー250=900 となり、台はかりは900gを示すことが分かります。
おもりをつり下げている糸を切ったら……
最後に、この状態から、 おもりをつり下げている糸を切ったらどうなると思いますか?
糸を切ってしまうのですから、当然ばねはかりは0gになりますよね?
そうしたら、すべての重さを下の台はかりだけで支えなければならなくなるので、
台はかりは1150gを示すことになるのです。
水中に沈んだおもりにも浮力がはたらくはずだから……というふうに、
この問題が苦手な人は、一生懸命浮力のことを考えているうちに混乱してしまうのでしょう。
「重さはなくならない」
難しいと思われがちな物理計算ですが、実はごく当たり前のことしか起こらないのです。
と、いうことで、今日はここまで。
次回は、「中級編」として、さらに発展的な計算をしていきます。
どうぞお楽しみに!