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投稿日:2021年01月14日

テーマ: 理科

アルキメデスもびっくり!浮力の簡単計算法Part4(上級編)~中学受験理科計算問題のコツ

皆さんこんにちは。
受験ドクターの理科大好き講師、澤田重治です。

今回は、浮力の計算の最終回となる「浮力の計算(上級編)」をお届けします。
これまでの「基礎知識」「初級編」「中級編」をまだ習得していない方は、
ぜひ、前のブログを確認してから読み進めてください!

上級編では、水以外の液体による浮力を扱っていきますが、
ここでも使う公式はただ一つ、
浮力(g)= 液体中の体積(㎤)× 液体の密度(g/㎤)
だけですから、実は難しくありません。安心してください。

では、さっそく本編に入っていきましょう!

浮力の計算(上級編) ~入試問題に挑戦~

早速ですが、まずはこちらの問題をご覧ください。
超難関校の一つである「聖光学院(神奈川)」の2018年度入試問題の一部です。

【問題】
金属や氷を使って[実験1]~[実験5]を行いました。あとの(1)~(8)の問いに答えなさい。
ただし、この金属、氷、水、食塩水の1㎤あたりの重さは、それぞれ6g、0.9g、1g、1.2gとします。[実験1]
1辺が5cmの立方体の形をした金属の重さをばねばかりではかりました。
さらに、図1のように、水の中にこの金属を沈めたときの、ばねばかりの示す値を調べました。
理科20210114_01(1) この金属の重さは何gですか。(2) 図1のときの、ばねばかりの示す値は何gですか。

[実験2]
図2のように、食塩水の中に実験1で用いた金属を沈めたときの、ばねばかりの示す値を調べました。
理科20210114_02

(3) 図2のときの、ばねばかりの示す値は何gですか。

[実験3]
食塩水の中に1辺が5cmの立方体の形をした氷を入れると、図3のように浮かびました。
このとき、氷の上面と食塩水の水面は平行でした。
理科20210114_03

(4) この氷にはたらく浮力の大きさと等しものを、次の(ア)~(オ)の中から2つ選び、記号で答えなさい。

(ア) 氷全体の重さ
(イ) 水面より下にある部分の氷の重さ
(ウ) 水面より上にある部分の氷の重さ
(エ) 氷全体と同じ体積の食塩水の重さ
(オ) 水面より下にある部分の氷と同じ体積の食塩水の重さ

(5) 氷を入れたとき、水面より上にある部分の氷の高さは何cmですか。

(後略)

入試問題の解説

では、いよいよ実際の問題の解き方、考え方を解説していきましょう。

(1)
これは浮力の問題ではなく、密度に関する問題ですね。
1辺の長さが5cmの立方体の金属の体積は、5×5×5=125㎤です。
この金属の密度(1㎤あたりの重さ)は6gと与えられていますので、6×125=750g

(2)
水の中なので、水中部分の体積(全部水中に入っているので金属全体の体積)の
単位を変えるだけで浮力が求まります。
つまり、125gの浮力がはたらくことになりますね。
空気中では750gですが、そこに125gの浮力がはたらきますので、
ばねばかりは、750-125=625g を示します。

(3)
さあ、いよいよ「食塩水」の中での浮力の問題が出てきました!
問題の中で、食塩水の密度(1㎤あたりの重さ)は1.2gと与えられています。
水以外の液体中で物体にはたらく浮力の大きさは、
浮力(g)= 液体中の体積(㎤)× 液体の密度(g/㎤) でしたね。
したがって、この金属には、125×1.2=150gの浮力がはたらきます。
つまり、ばねばかりは、750-150=600g を示します。

(4)
中級編でも説明しましたが、物体(ここでは氷)が静止しているということは、
力がつりあっているということです。
そして、浮力がはたらいても、液面に浮いても、重さは変わりませんから、
氷の重さと浮力とがつりあっていることになります。
つまり、浮力の大きさと等しいものの1つ目は(ア)です。
また、水面より下にある部分の氷の体積に氷の密度(1㎤あたりの重さ)を
かけたのが氷にはたらく浮力の大きさです。
これは(オ)の「水面より下にある部分の氷と同じ体積の食塩水の重さ」にあたります。
(これを「アルキメデスの原理」とよんでいます。)

(5)
氷の体積は金属と同じ125㎤ですが、その密度(1㎤あたりの重さ)は0.9gですので、
125×0.9=112.5g が氷の重さであり、浮力の大きさでもあります。
ここで、 浮力(g)= 液体中の体積(㎤)× 液体の密度(g/㎤) ですから、
液体中の体積は、浮力÷液体の密度=112.5÷1.2=93.75㎤ ということになります。
水面より上の部分の体積を底面積で割れば水面より上の部分の高さが求まりますから、
(125-93.75)÷(5×5)=1.25cm が正解です。

このように、難関人気校の入試問題であっても、使う基本は同じです。
ぜひ、マスターしてくださいね。

次回もどうぞお楽しみに!

 

理科ドクター