皆さんこんにちは。
受験ドクターの理科大好き講師、澤田重治です。
小学6年の受験生たちが知らないはずのことを説明文で誘導し、
それについて答えさせるリード文問題の頻出題材を開設する第5弾です。
今回のテーマは、アレンの法則――
前回紹介した「ベルクマンの法則」とも関連する、
生息地の気候と動物のからだのつくりとの関係についての法則です。
過去の出題はほとんどが「ベルクマンの法則」に関するものでしたが、
それだけに、今後出題される可能性が大きいところでもあると思います。
さて、ではまず、前回の簡単なおさらいから始めましょう!
寒冷地に生息するものほどからだが大きいというきまりのことでした。
仮に、全く同じ形(相似形)の生物がいた場合、体長がA倍であれば、
熱を発生させる筋肉の量は(A×A×A)倍(※相似比と体積比の関係)、
熱を放出する体表面の面積は(A×A)倍(※相似比と面積比の関係)となり、
からだが大きいほど熱を蓄えやすいということでしたね。
でも、温暖な地域にもからだの大きな動物はいますよね?
例えば、体が大きい動物と言われて真っ先に頭に浮かぶ「ゾウ」は、
アフリカやインドなど、むしろ暑いところに生息しています。
では、なぜゾウは、生息地として暑い場所を選んだのでしょうか?
そして、なぜ暑い場所でも生息できたのでしょうか?
その答えとなるのが、特徴的なあの「耳」や「鼻」なのです!
人間の「肺胞(肺にある小さな袋)」や「柔突起(小腸内壁のひだ)」が
表面積を大きくするための構造だということは、
中学受験を目指す6年生であればおそらく知っていますよね?
動物が体温を放出する体表面積でも同じことが言えて、
丸い形よりも、「でっぱり」があった方が表面積を大きくできるため、
体温を逃がしやすくなるのです。
草食動物であるゾウにとって、小型の動物が多い暑い地域では、
からだの大きさこそが身を守るための重要な武器となります。
そして、暑い地域でもこのからだの大きさを維持するためには、
長い鼻や大きな耳を持つことでからだの表面積を広げ、
体温を放出しやすくすることが必要だったのでしょう。
生物の適応能力ってすごいですね!
逆に、寒冷地に生息する動物は、体温を維持することが重要なので、
できるだけ体表面積を小さくしようとします。
そのため、同じ仲間の動物であれば、寒冷地に住む種類ほど、
からだの突起物(出っ張った場所)が少ないということが言えるのです。
これが「アレンの法則」です。
ということは、同じ「ヒト」の仲間であっても、熱帯地方に住む人の方が
体が小さく、手足が長いということになるのでしょうか?
確かにアフリカやインドの方って、手足がスラッと長いイメージがあるなぁ……。
少なくとも私は、からだが大きくて足が短いので寒冷地向きですね。
次回からは、来春2022年度の中学入試において、
「時事問題」として出題されそうなことを数回に分けて説明する予定です。
どうぞお楽しみに!