皆さんこんにちは。
受験ドクターの理科大好き講師、澤田重治です。
計算の伴う単元だけに、中学受験の理科において
「中和反応」を苦手にされているお子さんは多いようです。
ほとんどの問題は塩酸と水酸化ナトリウム水溶液の中和なので、
あまりなじみのない物質ばかりですし……。
でも、普段の生活の中で、
意外に中和反応って使われているんですよ。
今回のブログでは、日常生活の中で知らず知らずのうちに
使っている「中和反応」の例を紹介していきます。
【例①】 サラダのお供は?
もちろん例外はあるのでしょうが、
市販されているドレッシングやマヨネーズには
多くの場合「お酢」が入っていて、酸性になっています。
これは、生野菜の食べにくさの原因である「苦味」の正体が、
アルカリ性の性質によるものだからなのです。
つまり、実は野菜の苦みを、
ドレッシングやマヨネーズの酸性で中和していたのです。
【例②】 胃薬ってなんであんなに苦いの?
「胃酸」という言葉を聞いたことがありますか?
食べ物と一緒に体内に入った細菌を殺すために、
胃の中は塩酸を主成分とする胃酸によって、
強い酸性の状態になっています。
では、なぜ塩酸に触れているのに、
私たちの胃は大丈夫なのでしょうか?
それは、「粘膜」というバリアで守られているからです。
人間の体は、本当にうまくできていますね。
しかし、過度のストレスなどによって、胃酸が出すぎてしまったり、
粘膜のバリアがうすくなってしまったりすることがあります。
そうすると胃の内側が炎症を起こして、胃がムカムカしてきます。
そんなとき、胃酸を中和して刺激を和らげられるように、
ほとんどの胃薬は水に溶けるとアルカリ性になります。
胃薬が苦いのは、これが原因だったのですね。
【例③】 色が消えるのり
ぬった場所が分かりやすいように青い色がついているのに、
乾くと色が消える・・・・・・そんなスティックのりがあります。
ぬった量も分かりやすいし、便利ですよね。
あの仕組み、実は中和反応なんですよ。
2020年度の駒場東邦中の入試問題にもなっていました。
のりのアルカリ性によってうすい青色を示していた指示薬が、
吸収された空気中の二酸化炭素(炭酸)と中和して変色し、
無色に変化していたのです。
まあ、必ずしも中和反応だけではなく、
乾燥することでアルカリ性の性質が失われることも原因でしょうけどね。
どうですか?
意外と身近なところで使われているでしょう?
次回も「身近な科学」を紹介していきます。
どうぞお楽しみに!