皆さんこんにちは。
受験Dr.の理科大好き講師、澤田重治です。
前回のブログでは、まったく反応しないお酢の実験を紹介しましたが、
何も起こらないのは、やはりつまらないので……
今回は、台所の卵とお酢を使ってバッチリ反応するお酢の実験です!
中学受験の基礎知識でも、
酸と反応するのが金属だけでないことは知っていますよね?
例えば、石灰石と塩酸を混ぜると二酸化炭素が発生します。
この反応は、石灰石の主成分である炭酸カルシウムと酸によるものですから、
石灰石と塩酸以外の物質でも起こります。
炭酸カルシウムを主成分とする物質には、
石灰石のほかにも、大理石、貝がら、卵のからなどがあります。
ちなみに、石灰水に二酸化炭素を吹き込んだときにできる白いにごりも、
正体は炭酸カルシウムですよ。
そして、アルミニウムや鉄のときとは違って、
卵のからが相手なら、酸はお酢(食酢)でも代用できます。
それでは、楽しい台所実験のはじまり、はじまり~!
卵を入れた容器にお酢を注ぐと……
前回の実験で使ったお酢の残りを使って、さっそく実験です!
お酢を入れて5分と経たないうちから、卵の表面に泡がつき始めました。
卵はお酢の底に沈んでいますね。
ちなみに、卵は「生卵」を使用しています。
しばらくすると、卵が浮いてきました!
卵の表面についた泡が大きくなっているので、
きっと泡の浮力で浮いてきたのでしょう。
お酢につけて約1日半……
それまでの透明な泡とちがって、液面には白くてモコモコとした
消えない泡が出てきました。
表面の様子を観察するために、泡をぬぐったからでしょうか。
棒状のもので卵の表面を押してみると、少しへこみます。
そして、なんと少し弾力があってはね返ってきました!
しばらく静かに置いておいたら、モコモコ泡は消えました。
そして、からの部分があまり残っていないのか、
卵の表面についた泡が、少し小さくなってきたようです。
その分、浮力も小さくなって、卵が浮かなくなりました。
卵自体も大きくなっているので、重たいのかもしれません。
卵をお酢につけて、丸3日以上が経ちました。
表面に残ったわずかな卵のからをアイスクリームスプーンでこすると、
きれいにとれて、卵膜という薄皮だけに包まれた状態になりました。
ゆで卵のからをむくときに、内側に薄い膜がありますよね?
あれが卵膜です。
殻があった最初の状態よりも、明らかに卵全体が大きくなっています。
そしてこの弾力! まるで水風船のようでした!
卵に何が起きたのか?!
卵の卵膜というのは、以前私がブログに書いた「半透膜」です。
(詳しくはこちら)
からがなくなったことで、お酢に含まれる水分が卵の中に入り、
卵がふくらんで大きくなったのでしょう。
また、お酢にはタンパク質を固める性質があります。
そして、卵膜もタンパク質ですから、お酢にふれることで固まり、
少し押したぐらいでは破れない、ボールのように丈夫な表面になったのです。
この独特の弾力は、体験しないとわからないでしょう。
簡単な実験ですから、みなさんもぜひやってみてください。
実際にやってみると、想像以上に楽しいですよ!
次回も、楽しくてためになる「身近な科学」を紹介していきます。
どうぞお楽しみに!