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投稿日:2022年12月27日

テーマ: 理科

お酢で卵のボールを作ろう!~身近な科学の話⑪

皆さんこんにちは。
受験Dr.の理科大好き講師、澤田重治です。

前回のブログでは、まったく反応しないお酢の実験を紹介しましたが、
何も起こらないのは、やはりつまらないので……
今回は、台所の卵とお酢を使ってバッチリ反応するお酢の実験です!

中学受験の基礎知識でも、
酸と反応するのが金属だけでないことは知っていますよね?

例えば、石灰石と塩酸を混ぜると二酸化炭素が発生します。
この反応は、石灰石の主成分である炭酸カルシウムと酸によるものですから、
石灰石と塩酸以外の物質でも起こります。

炭酸カルシウムを主成分とする物質には、
石灰石のほかにも、大理石、貝がら、卵のからなどがあります。
ちなみに、石灰水に二酸化炭素を吹き込んだときにできる白いにごりも、
正体は炭酸カルシウムですよ。

そして、アルミニウムや鉄のときとは違って、
卵のからが相手なら、酸はお酢(食酢)でも代用できます。

それでは、楽しい台所実験のはじまり、はじまり~!

卵を入れた容器にお酢を注ぐと……

前回の実験で使ったお酢の残りを使って、さっそく実験です!

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お酢を入れて5分と経たないうちから、卵の表面に泡がつき始めました。
卵はお酢の底に沈んでいますね。
ちなみに、卵は「生卵」を使用しています。

スクリーンショット 2022-12-24 14.41.13

しばらくすると、卵が浮いてきました!
卵の表面についた泡が大きくなっているので、
きっと泡の浮力で浮いてきたのでしょう。

スクリーンショット 2022-12-24 14.41.45

お酢につけて約1日半……
それまでの透明な泡とちがって、液面には白くてモコモコとした
消えない泡が出てきました。
表面の様子を観察するために、泡をぬぐったからでしょうか。
棒状のもので卵の表面を押してみると、少しへこみます。
そして、なんと少し弾力があってはね返ってきました!

スクリーンショット 2022-12-24 14.42.12

しばらく静かに置いておいたら、モコモコ泡は消えました。
そして、からの部分があまり残っていないのか、
卵の表面についた泡が、少し小さくなってきたようです。
その分、浮力も小さくなって、卵が浮かなくなりました。
卵自体も大きくなっているので、重たいのかもしれません。

スクリーンショット 2022-12-24 14.42.41

卵をお酢につけて、丸3日以上が経ちました。
表面に残ったわずかな卵のからをアイスクリームスプーンでこすると、
きれいにとれて、卵膜という薄皮だけに包まれた状態になりました。
ゆで卵のからをむくときに、内側に薄い膜がありますよね?
あれが卵膜です。
殻があった最初の状態よりも、明らかに卵全体が大きくなっています。
そしてこの弾力! まるで水風船のようでした!

スクリーンショット 2022-12-24 14.43.14スクリーンショット 2022-12-24 14.43.20

卵に何が起きたのか?!

卵の卵膜というのは、以前私がブログに書いた「半透膜」です。
(詳しくはこちら
からがなくなったことで、お酢に含まれる水分が卵の中に入り、
卵がふくらんで大きくなったのでしょう。

また、お酢にはタンパク質を固める性質があります。
そして、卵膜もタンパク質ですから、お酢にふれることで固まり、
少し押したぐらいでは破れない、ボールのように丈夫な表面になったのです。

この独特の弾力は、体験しないとわからないでしょう。
簡単な実験ですから、みなさんもぜひやってみてください。
実際にやってみると、想像以上に楽しいですよ!

次回も、楽しくてためになる「身近な科学」を紹介していきます。
どうぞお楽しみに!

 

理科ドクター