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投稿日:2023年04月24日

テーマ: 理科

大気圧のおかげ!~身近な科学の話⑭

皆さんこんにちは。
受験Dr.の理科大好き講師、澤田重治です。

唐突ですが、皆さんも「ストロー」で飲み物を飲んだ経験があると思います。
最近では、マイクロプラスチックの問題でも注目を浴びることになったストローですが、
今日はその素材ではなく、機能の方の話をしたいと思います。

 

ストローで飲めるのは大気圧のおかげ?!

さて、まずは質問です。
ストローの上端を吸うと、なぜジュースなどを飲むことができるのでしょうか?

もちろん理科のクイズ(問題)なのですから、
「吸ったから」なんていうあいまいな答えではだめですよ。

「ストロー内の空気をなくしたから」ですか?
うーん、惜しいですがちょっと違います。
ストロー内の空気がまったくなくなることはありませんし、
仮にストロー内が真空になったとしても、
それは液体が上がってくることのきっかけであって、直接の原因ではありません。

では、なぜなのか……
正解は、「大気が液面を押したから」です。
つまり、ストローでジュースが飲めるのは大気圧のおかげなのです!

あれっ? どうやらこの解答では、まだ納得できていないようですね。
では、詳しく説明していきましょう。

 

想像より大きい大気圧の力

大気圧というのは、空気の重さによってかかる圧力のことです。

ご存知の通り、空気自体はとても軽い物質なのですが、
濃淡があるにせよ地上から約100kmの高さまで存在するのですから、
集まったときの重さは侮れません。

その力の大きさは、1㎠あたり約1kgにもなります。
つまり、1辺10cmの正方形には約100kgの力がかかっているということです!

コップにジュースを入れ、その中にストローをさすと、
次の模式図のように、ストロー内の液面(緑色の矢印)にもストロー外の液面(赤色の矢印)にも
等しく大気圧がかかることになります。
そして、この圧力がつりあっているため、液面の高さは等しくなるのです。
(実際には、細いストローでは「毛細管現象」によってストロー内の液面の方が
少し高くなりますが、今回のブログのテーマから外れますので割愛します。)

 

ダウンロード

 

ここで、ストロー内の空気を少し吸ってみましょう。
そうすると、空気が減った分だけ、ストロー内の空気が液面を押す力(下の緑色矢印)も減少します。

そのため、ストロー外の液面を押す力(赤色矢印)と、
ストロー内の液面を押す力(緑色矢印)のつりあいがくずれ、
ストロー外の大気圧(赤色矢印)が液面を押す力が、
ジュースをストロー内に押し込む(下部の紫色矢印)のです。

 

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ね? 大気圧のおかげだったでしょう?

まとめると、
➀ ストロー内の空気を吸ったことによってストロー内の液面を押す力が減る
② ストロー外の液面を押す大気圧の方が、ストロー内の液面を押す力より大きくなる
③ 大気圧が液面を押すことで、ストロー内部に液体が流れ込んでくる
④ ストロー内の液面が上がって飲むことができる
ということです。

その証拠に、ストローをうんと長くしていくと、途中で液面が上がらなくなります。
これは大気圧の力で押し上げられる液体の重さに限度があるからで、
その限界の高さというのは、水の場合で理論上10m程度です。
まあ、そんなに長いストローで飲む人はいないでしょうけどね!

そういえば、腕時計などの防水性能を表す単位で、
「20気圧防水」などという表現を見たことがありませんか?
「防水なのに単位が『気圧』ってどういうことだろう?」って思いますよね?

実際、「200m防水」という表記もあるのですが、
これは水深200mの水圧がかかっても内部に水が入らないという意味です。

実は、「20気圧防水」というのも考え方は一緒です。
先ほどのストローで持ち上げられる水の高さが10mであったように、
1気圧という圧力の大きさは水深10mでの水圧に相当するので、
20気圧というのは水深200mでの水圧の大きさになります。
つまり、同じように「水深200mの水圧にも耐えられる」という意味なのです。

次回も、楽しくてためになる「身近な科学」を紹介していきます。
どうぞお楽しみに!

理科ドクター