こんにちは。
受験Dr.の理科大好き講師、澤田重治です。
2024年は、元日から能登半島を中心とする大きな地震が発生しました。
被災された方々には、心よりお見舞い申し上げます。
その上、2月下旬からは千葉県北東部でも群発地震が発生……
元々、相模トラフや南海トラフが原因の地震が近々起こると予想されている中ですから、
どうしたって防災に関する意識が高まる社会情勢です。
近所のホームセンターにも、防災グッズの特設コーナーができていました。
そんな「地震」は、中学入試でも頻出のテーマの一つです。
近年起こった大きな地震についてはポイントを押さえておきましょう。
※ただし、被災者への配慮で自粛しているのか、過去10年以上にわたって
地震に関する出題を一度もしていない桜蔭中のような学校もあります。
地震の名称
まずは、こちらの問題をご覧ください。
【問題1】
2011年3月11日に日本の近くでマグニチュード9.0の大規模な地震が起こりました。
この地震の名称として最も適当なものを、次の(ア)~(オ)から1つ選んで、記号で答えなさい。
(ア) 東日本大震災 (イ) 東日本太平洋沖地震 (ウ) 東北地方太平洋沖地震
(エ) 東北地方大震災 (オ) 三陸沖地震
【問題2】
1995年1月17日、神戸を中心とする関西地方を地震がおそった。
この地震を何というか。次の(ア)~(エ)から1つ選び、記号で答えなさい。
(ア) 阪神大地震 (イ) 阪神淡路地震 (ウ) 兵庫県南部地震 (エ) 兵庫県神戸沖地震
これらはいずれも、実際の中学入試で出題された問題です。
皆さんは正しく答えられたでしょうか?
正解は、問題1が(ウ)の「東北地方太平洋沖地震」で、
問題2が(ウ)の「兵庫県南部地震」です。
受験生本人にとっては、自分が生まれる前に起こった出来事ですから、
あくまで知識として知っているという状態だと思います。
しかし、特に2011年の地震なんて、私たち大人にとってはつい最近の話で、
多くの方は日付まで覚えているのではないでしょうか。
ただし、その場合でも「東日本大震災」や「阪神・淡路大震災」などというように、
私たちは「震災」の名前で呼んでいることが多く、
正式な「地震名」を聞かれると戸惑う方も多いのではないでしょうか。
そのため、入試ではあえて「地震名」の方がよく聞かれているようです。
では、もう1問、今度は私が作った模擬問題です。
【問題3】
2024年1月1日、石川県を中心に大きな地震が発生しました。
この地震の名称として適当なものを次の(ア)~(エ)の中から1つ選び、記号で答えなさい。
(ア) 石川県北部地震 (イ) 北陸地方日本海地震 (ウ) 石川県能登半島地震
(エ) 令和6年能登半島地震
正解は、(エ)の「令和6年能登半島地震」でした。
何だか、以前の地震とは名前の付き方が違う気がしませんか?
正式名称に関する気象庁の取り組み
実は、2004年(平成16年)に、命名基準や名称のつけ方にルールを設けたようです。
その後、平成30年(2018年)に基準についての改定を行い、現在もそれが使われています。
それまでは一定のルールがなかったために、名称もバラバラだったようなのですが、
「当該災害における経験や貴重な教訓を後世に伝承すること」を目的として、
名称を統一することにしたのだそうです。
その際、名称統一以前に起こった自然災害については、
「各地域で独自に定められた災害やそれをもたらした自然現象の名称についても、
後世への伝承の観点から利用し普及を図ることとしています」と説明しています。
そのため、現在気象庁のホームページには、先の2つの地震の名称は、
「平成7年(1995年)兵庫県南部地震」
「平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震」
と記載されています。
ちなみに、現在の地震の名称の付け方については、次のように説明がされています。
(気象庁のホームページより抜粋)
ア 名称を定める基準
(ア)地震の規模が大きい場合
陸域: M7.0以上(深さ100 km以浅)かつ最大震度5強以上
海域: M7.5以上(深さ100 km以浅)であり、かつ最大震度5強以上または津波の高さ2 m以上
(イ)顕著な被害が発生した場合(全壊家屋100棟程度以上の家屋被害、相当の人的被害など)
(ウ)群発地震で被害が大きかった場合等
イ 名称の付け方
原則として、「元号年+地震情報に用いる地域名+地震」とします。
なお、定めた名称は、一連の地震活動全体を指します。
また、アの基準を満たす地震が複数発生した場合には、原則として一連の地震活動が始まった
時点の元号年を用います。
直接名前の付け方について聞かれることはないと思いますが、
ちょっと知っておくと良いかもしれません。
次回もまた、楽しくて中学受験の役に立つ、身近な理科の話をお届けします。
どうぞお楽しみに!