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投稿日:2024年10月14日

テーマ: 理科

中学受験の時事問題対策「南海トラフって何?」

こんにちは。
受験Dr.の理科大好き講師、澤田重治です。

2024年は、年明け早々の元日から能登半島で大きな地震があり、
その他にも、神奈川県西部や茨城県南部など、様々な場所で地震が起きています。

中でも注目を集めた大きな地震に、
夏休み中の8月8日に発生した、宮崎県日向灘での地震があります。

この地震では、初めて「巨大地震注意」が気象庁から発表されています。
マスメディアでは「地震臨時情報」と呼んでいたようですね。

夏休みに入試問題を作っている先生が多いと言われていますので、
このタイミングで「初めて」のものとなれば、理科の先生はきっと興味を持つことでしょう。

念のため、重要なポイントは押さえておきましょう。

 

そもそも、「南海トラフ」って何?

理科の用語で、「海溝」という言葉が出てくるのですが、
お子さんは覚えていますでしょうか?

例えば、2011年に大きな地震を起こした三陸沖のプレート境界部分は、
「日本海溝」と呼ばれていますね。

この「海溝」というのは、海洋プレートが大陸プレートの下に潜り込むときに、
地下深く入り込んで溝のようになった部分のことです。

実は、「トラフ」というのも、
海溝と同様に海洋プレートが大陸プレートの下に潜り込んでできるものなのですが、
範囲が狭く深いものを「海溝」、範囲が広く浅いものを「トラフ」と分けています。
一般的に、深さが6000m以上のものを海溝としているようです。

その中でも、静岡県の駿河湾から九州の日向灘あたりまで続く、
フィリピン海プレートがユーラシアプレートの下に潜り込むあたりのことを
「南海トラフ」と呼んでいます。

このような海溝やトラフでは、海洋プレートが潜り込むことによってひずみが生まれ、
そのひずみを解消するために、
おおよそ100~200年周期で大きな地震が発生すると言われています。

関わっているプレートの名前などは、入試に向けて確実に覚えておきましょう。

ちなみに、同じように南海トラフで起ることが予想されている地震でも、
以前はエリアによって、「東海地震」「東南海地震」「南海地震」というように
名称が分かれていたのですが、連動して発生する可能性も比較的高いので、
近年ではまとめて「南海トラフ地震」と呼ぶことになっています。

 

初めて「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」が発表された

冒頭でも触れましたが、今回の日向灘の地震では、
気象庁から始めて「巨大地震注意」というものが発表されました。

これは、注意報や警報とも異なるものなので、
どのように受け止めれば良いのか分からなかった方も多かったことでしょう。

調べてみると、このような情報を出す制度自体は2019年に始まったのですが、
今まで発表される機会がなかっただけのようです。

気象庁のホームページによると、南海トラフ地震に関する情報には2種類あって、
その名称と大まかな発表条件は以下の通りとされています。

①南海トラフ地震臨時情報
・南海トラフ沿いで異常な現象が観測され、その現象が南海トラフ沿いの大規模な地震と
関連するかどうか調査を開始した場合、または調査を継続している場合
・観測された異常な現象の調査結果を発表する場合

②南海トラフ地震関連解説情報
・観測された異常な現象の調査結果を発表した後の状況の推移等を発表する場合
・「南海トラフ沿いの地震に関する評価検討会」の定例会合における
調査結果を発表する場合(ただし南海トラフ地震臨時情報を発表する場合を除く)

今回は、①の「南海トラフ地震臨時情報」として「巨大地震注意」が発表されました。
南海トラフ地震は、今後30年以内に70~80%の確率で起きると考えられているそうです。

ただし、日本はもともと地震大国と言われていて、
いつどこで大きな地震が発生してもおかしくない国です。

相模トラフによる「首都直下地震」も近々起こることが予想されていますから、
注意情報が出された時だけ気を付けるのではなく、
常に非常時への備えをしておくことが重要なのです。

今回の「巨大地震注意」についても、
改めて防災意識を高め、非常時への備えを確認するきっかけとするべきでしょう。

 

ところで、本題である中学入試での出題についてですが……
この「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」については、
内容を細かく掘り下げたところまでは入試では出ないと思います。

もちろん、発表されたという事実は知っておいた方が良いと思いますが、
・発表が「気象庁」からされたこと
・注意報や警報とは異なるものであること
などが押さえられていれば大丈夫でしょう。

実際に出題されるとすればリード文問題の形式ですので、
知識を問われることはほぼありません。
もし出題されたら、しっかりと問題文を読んで落ち着いて答えてください。

次回も中学受験に役立つ理科の話をしていきます。
どうぞお楽しみに!

理科ドクター