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投稿日:2024年07月08日

テーマ: お悩み解決

【中学受験でよくあるお悩み】やってもやっても伸びないのですが?③

皆さま、こんにちは!

ご家庭からのよくあるお悩みについて、回答してみようという企画の第3弾です。
「やってもやっても伸びないのですが?」という、お悩みについて考えています。
前回は、意味も分からず丸暗記状態になってしまう理由と、その解決策について考えてみました。
今回は、1回目のブログで挙げた4つのチェックポイント
①取り組んでいるトレーニングの意味や理屈を言葉で説明できるか?
②取り組んでいるトレーニングはいまの実力や改善点に適したトレーニングか?
③取り組んでいるトレーニングの量やかける時間は適切か?
④取り組んでいるトレーニングが応用的な場合は基礎となることの理解は十分か?
このうちの、②について考えてみます。

 

適切な負荷といっても…

「やってもやっても伸びない」とすると、そのときに「やっている」内容そのものが無意味なものかもしれません。
トレーニングには適切な負荷というものが必要で、負荷がきつ過ぎても、なさ過ぎても意味がありません。
意味がないトレーニングだとすると、伸びないだけでなく、やり続けることも難しくなります。
しかし、適切な負荷と言葉で言うのは簡単ですが、実際にやるのはなかなか難しいです。

筋力トレーニングをする場合を考えてみましょう。
たとえば、10㎏のものを持ち上げるのが精一杯の人が、100㎏のものをいきなりは持ち上げられません。
ムリにやらせようとすれば、イヤになってしまうか、体を壊してしまうかのどちらかでしょう。
一方で、すでに100㎏のものを持ち上げられる人が、10㎏のものをいくら持ち上げてもあまり効果はないです。
まったく効果がないということはないでしょうが、おそらく相当な時間や回数をかける必要があります。
これはこれでトレーニングを続けるのが難しいです。
できればより効率的に、ムダのないトレーニングをしたいですよね。
そして、できれば達成感も感じたい。
それは、やる気にもつながります。
大切なことは「トレーニングを続ける」ことで、そのためにも取り組む内容というのは大切です。
おそらく、「ちょっと頑張ればなんとかなる」というくらいの負荷が一番良いのではないかと思います。

しかしながら、勉強の場合は、これがなかなか難しいのです。
難しい理由のひとつは、色々とわかりにくいということです。
自分の実力と、目の前の問題のレベルにどのくらいの差があるのかがわかりにくいのです。
先ほどの筋トレの例なら、自分がどのくらいの重さなら持ち上げられるかは簡単にわかります。
ちょっと持ち上げてみればいいからです。
20㎏だとちょっと重すぎるなという感じなら、15㎏にしてみようかな、とすぐに調節することもできます。
しかし、勉強ではこうは簡単にはいかないのです。

とりあえず、目の前の問題をまずは解いてみるとしましょう。
少し難しそうな問題ですが、解けるか解けないかはやってみないとわかりません。
ちょっと難しいかなと感じても、少し落ち着いて考えてみたら解けたということもあります。
一方で、できるかなと感じても、実際にやってみたら5分、10分考えてもどうにもならないということもあります。
その問題が解けるか解けないかを判断するには、それなりの時間をかけて解いてみる必要があります。

では、これだと難しすぎるから、もう少し簡単なものからやってみようとなったとします。
しかし、そんなちょうどよい問題を選ぶには、問題のどこをどう見て判断すればいいでしょう?
それを小学生のお子さんが自分でできるものでしょうか?
ちょっと難しいですよね。
きちんとわかっている人が見てあげて、適切にアドバイスをしてあげる必要があるでしょう。

 

やはり専門家のアドバイスが必要

先ほどの筋トレの例にしても、本当に効率の良いトレーニングをするなら、専門家に指導してもらうことです。
パーソナルトレーナーについてもらって、どういうトレーニングをどのレベルからやるのか教えてもらうことです。
色々と試行錯誤してみること自体が楽しいタイプなら、自分の力でどこまでやれるかやってみるのもいいです。
結果的にはムダなことをしてしまったとしても、それがムダだとわかることに価値を感じるならそれもいいです。
それはそれで大切な勉強です。
しかし、中学受験の場合は、入試日という絶対の締め切りがあります。
その締め切りにあわせてトレーニングを積もうと思えば、どうしても効率を考える必要が出てきます。
そうなってくると、勉強にもパーソナルトレーナーのような人が必要になってきます。
お子さんの実力や課題を正しく見極めて、君の取り組むべきトレーニングはこれだ!と言える人が必要です。

こういったアドバイスが一番必要な科目は、おそらく国語だと思います。
算数なら、いま書いたようなことは、もしかしたらお父様やお母様でもできるのではないかと思います。
しかし、国語については、こういったアドバイスをご家庭で行うのは、おそらく難しいのではないでしょうか?
実際にご家庭の学習相談にのっていても、国語をどうしたらよいかわからない、というお悩みは多いです。
私は、算数、理科、国語の3科目を指導しますが、私自身も国語が一番わかりにくいと感じます。
文章が読めて、問題が解ける人にとっては「だって、そう書いてあるじゃない?」となってしまうのです。
日本語については、誰もが毎日読んだり書いたり話したりしています。
だから、いったい何が読めていない原因なのか、どうして解けないのか、それがなかなかわからないのです。
また、それがわかったとしても、ではどんなトレーニングに取り組めば良いのか、これもわからない。
結果として、国語の学習は後回しになってしまう、このようなお悩みは多いです。
どうにもならないようなときは、ぜひ国語の専門家によるアドバイスを受けてみてください。

 

できるから好き

先ほど、国語が後回しになってしまうと書きましたが、これも適切な負荷をかけるのが難しい理由のひとつです。
つまり、どうしても「できることからやる」ということになりがちなのです。
この傾向は、お子さんに学習のスケジューリングをすべて任せていると、特に強くなります。
誰だって、自分のできることをやりたいのです。
できる方が楽しいし、どんどん問題も進むからです。
どんどん進めば「やっている」感、「できている」感も強くなりますよね。
しかし、それは軽すぎるバーベルをずっと上げ続けているだけの状態になっているかもしれません。
趣味ならそれでもよいですが、やっていることがトレーニングであることを忘れてはいけません。

「どうしたら〇〇が好きになりますか?」というのも、よくあるご相談のひとつです。
おそらくこの質問は、次のようなイメージがあってされるのだと思います。
「好きになったらやるようになる」→「やるようになったらできるようになる」というイメージです。
しかし、これは因果関係が逆だと思います。
「好きだからやる、やるからできるようになる」のではないのです。
「できるからやる、やるから好きになる」という方が正しいです。
こう考えると、好きにさせる方法は、できるようにさせることです。
最初はちょっと無理やりでも、まずは取り組ませて少しずつできることを作る。
そうしないと、好きになることも、自分からやるようになることもなかなかないと思います。

ですから、放っておけばお子さんは「自分のできること」をやることが多いです。
しかし、成績を上げたいなら、できないことをできるようにするトレーニングが必要です。
できることだけをいくら繰り返しても、成績は上がりません。
「やってもやっても伸びない」ときは、やっていることができることだけでは?ということも疑ってみてください。
前回のブログでも「放っておけば」という言葉が出てきましたが、これはひとつのキーワードかもしれません。
中学受験に取り組むのは小学生なので、大人がアドバイスして導いてあげる必要があります。
できれば専門家のアドバイスを受けてトレーニングに取り組み、できないことをできることに変えてください。
そして、できるようになることで好きになった、苦手なことも自分からやるようになった、を目指してください。

ちなみに、今回はあまり詳しく触れませんでしたが、難しいことをやりすぎているというケースもあり得ます。
これについては、以前に具体的なエピソードとともに説明したことがあります。
興味がある方は、こちらも読んでみてください。

【よくあるお悩み】ミスを減らすには?③
【よくあるお悩み】ミスを減らすには?④

状況によっては、あえてトレーニングの負荷を下げる、休む、という判断も必要なことを説明しています。

今回は以上です。
効果的なトレーニングをするには適切な負荷が大切であること。
しかし、なにが適切な負荷かは、勉強の場合はわかりにくいということ。
できることばかりやっていても意味がないこと。
好きにさせるためにはできるようにさせること。
以上の4点がポイントです。
次回は、この続きとして、お子さんを取り巻く環境について考えてみます。

では、また次回お会いしましょう。

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