春野の家庭でできる国語指導法 物語文編
はじめに
わが子が物語文が苦手、という保護者の方は多く、「精神年齢が低いので、経験したことのない登場人物の気持ちが読み取れないんです」とおっしゃいます。
一番多い訴えはこれ。
「うちの子、女の子(男の子)に興味ないから、恋愛ものが出題されるとさっぱりわからないみたいなんです」。
恋愛に疎くて、恋愛ドラマに感情移入できない大人もいますから、異性に興味のないわが子が物語文の恋愛の心情読解ができない、というのは、あながち間違っている解釈ではありません。
でも本来、国語は精神年齢で解くものでしょうか。
確かに精神年齢の高いお子さんは、物語文の読解に有利、という説には異論はありません。
それもそのはず。精神年齢が高いとは、他の同学年のお子さんに比して心の経験値が高いということ。
当然、物語文において、共感できる守備範囲は相対的に広いはず。
しかし、精神年齢の高さに依存していると、肝心かなめの読解力が伸びず、学年が上がるにしたがって国語の成績が少しずつ落ちてきます。
なぜなら、受験学年の6年生が近づくと、いずれの塾でも、設問はもちろん、テキストの素材文の難度は急激に上がるから。
そうなると、少々精神年齢の高いお子さんでも理解できない「他者像」が出現します。
心の経験値の及ばない、立場も環境も価値観も異なる「他者理解」を求められるようになると、読解力を培うことなく精神年齢に頼っていたお子さんは、途端に読めなくなってしまうのです。
いわく、「戦争の異常事態のなかで平常心を失った大人」や「芸に命を賭ける琴の名手」「子供への愛情よりも職人としての意地を優先させる人物」などなど。
今まで精神年齢の高さでなんとなく読めていたお子さんは、読解力を鍛えていない分、心の経験値の及ばない登場人物の心情理解に苦しみ、点数が急に崩れだす、というわけです。
これが国語という教科のみがもつ、<6年生の恐怖>です。
では、どうすればいいのでしょう?
答えはもうおわかりですね。
精神年齢、いわゆる心の経験値とは関係のない、「読解力+解答力」を鍛える。それこそが、汎用性の高い普遍的な国語力であり、入試本番で生きる力です。
幸い、物語文は、心情の流れを主軸として展開します。
物語文の2割は、「状況把握問題」「場面分け問題」「人物像問題」「主題問題」「これからどうなる創作問題」「慣用句などの知識問題」。
しかし、残りの8割は「心情」さえ読み取れれば、解答できるはずの設問ばかりです。
これは、逆に言えば、「心情さえ読み取れれば8割がたOK!」ということ。
物語文で点を落とさなければ、国語の得点は、ぐっと安定します。
ということで、今回は「物語文の心情読解」の基本と応用をお教えします。
まずは、心情記述の公式を理解してください。あとは、ステップに沿って練習するだけで、あら不思議。
記述だけでなく、心情読み取りの選択肢問題まで正解できるようになります。
本当に?
本当に。
繰り返し練習していただくのが一番ですが、まずはお試し、一回通して練習してみただけでも、かなりの効果がありますよ。
物語文の心情問題に手こずっているご家庭は、模試の直前に練習してお子さんの偏差値アップを実感してください。
今回、問題とともに、末尾に解答を載せました。お子様と学習するときにご活用ください。
心情の記述の公式
心情記述とは: 登場人物の動作・表情・口調・台詞・しぐさ・行動に傍線が引いてあり、その部分の心情や理由が問われる記述問題
Q 傍線部のツヨシの気持ちを説明しなさい。
誕生日には(今は亡き)お母さんがいつもケーキを焼いて、大好物の目玉焼きのせハンバーグやら、マカロニ入りポテトサラダ、フルーツポンチを作って祝ってくれたっけ……。
「今年はおばさんにまかせて!お母さん以上のごちそう作ってあげるからねっ!」
甲高いおばさんの声が間近に迫る。
(お母さん以上……以上ってなんだよ)
ツヨシはこわばった表情でおばを遠ざけるようにあとずさりした。
ステップ ① 傍線部を心情表現に置き換える
→「こわばった表情」=静かな怒り の気持ち
「遠ざけるようにあとずさり」=拒否、反発 の気持ち
ステップ ② 傍線部を引き起こした直接の原因となるできごとを本文中から決定する
→「お母さん以上のごちそうを作ってあげるからねっ!」というおばさんの言葉を聞いたこと
ステップ ③ ②を意味づけする(抽象化する・補足する・詳しくする)
→「お母さん以上」というおばの無神経な言葉と態度
ステップ ④ ②+③+①の順に並べ替える
A 亡き母が祝ってくれた自分の誕生日に、母以上のごちそうを作るというおばの無神経な言葉に怒りを覚え、おばを拒否する気持ち。
心情の記述の公式
上の手順で「ステップ①②③」をおこない、②③①の順に並べ替える
② 直接の原因となるできごと
+ ③ ②のできごとの意味づけ
+ ① 心情表現
ステップ ① 傍線部を心情表現に置き換える
家庭で練習するときは
用意する素材文は、物語文であれば、塾のテキストでも市販の問題集でも模試でも構いません。
まずは、保護者が登場人物の「せりふ・しぐさ・表情・行動・口調・心中のことば」に傍線を付けてください。
後は、お子さんに「傍線部を心情表現に置き換えてもらう」だけ。
親子で、ああでもない、こうでもない、とアイデアを出し合うと楽しく学習できます。
このとき、必ずしもベストな置き換えでなくとも、方向性さえ合っていればOKを出してあげてください。
そのうえで、一問答えるごとに、模範解答を一緒に見て、「こういう置き換えもあるんだね」と話してみてください。
大事なことは、お子さんの「置き換えよう」とする姿勢を大切にすること。楽しい雰囲気で行うことです。
ママ「じゃあ、次のここの部分を心情表現で言い換えてみて。」
息子「そっぽを向いた? 反抗してるんじゃないの?」
ママ「そそ。反抗する気持ち。でいいと思うよ。じゃあ、こっちは?」
息子「汗が噴き出した? 焦ってるんじゃないの? 状況からみて。」
ママ(うちの子、天才!)
練習してみよう
・ 次の傍線部を心情表現に置き換えなさい。
① 真っ青になった
② そわそわしている
③ 目が泳いでいる
④ 真っ赤になった
⑤ 目が輝いた
⑥ まぶしく感じた
⑦ 足取りは重かった
⑧ 唇をかんだ
⑨ 地団太を踏んだ
⑩ もじもじしている
⑪ 乱暴にドアを閉めた
⑫ 声に力がない
⑬ 目を丸くした
⑭ 心の中でガッツポーズをした
⑮ 目をそらした
⑯ 目の奥が熱くなった
⑰ のどがカラカラになった
⑱ 目が光った
⑲ 食事ものどを通らなかった
⑳ 道が果てしなく遠く感じた
ステップ ② 傍線部を引き起こした直接の原因となるできごとを本文中から決定する
家庭で練習するときは
用意する素材文は、物語文であれば、塾のテキストでも市販の問題集でも模試でも構いません。
まずは、保護者が登場人物の「せりふ・しぐさ・表情・行動・口調・心中のことば」に傍線を付けてください。
後は、お子さんに「なぜ傍線部の状態になったか」を「理由となるできごと+心情表現」で答えてもらうだけ。
ママ「じゃあ、傍線部『そっぽを向いた』状態になったのはなぜかを答えてみて。」
息子「おばさんって人がムカつくこと言ったからじゃないの?」
ママ「そそ。でもその『ムカつくこと』を内容が分かるように言い換えてみてくれる?」
息子「弟の悪口を言ったこと。」
ママ「どんな悪口?」
息子「自分の娘と比べてできないっぽいようなこと?」
ママ「いいね! じゃあ、つなげてみようか。
おばさんが、自分の娘と弟を比べて弟のほうが劣っているようなことを言ったので、」
息子「ムカつく気持ちになったから。」
ママ「ムカつく気持ち、をもっと別の言い方にできる?」
息子「う~ん。いやな気持ち?」
ママ「悪くないね。ママなら、『反発する気持ち』にするかな。」
息子「なるほどね。」
ママ「最初の質問は、『なぜ傍線部の状態になったのか』だったから、きれいにまとめてみようか。」
息子「おばさんが、自分の娘と弟を比べて弟のほうが劣っていると言ったと思い、反発する気持ちになった
から。」
ママ「完璧!」
【解説】
右の会話の中で、なぜ「ママ」は「ムカつく気持ち」と答えた「息子」に対して、「もっと別の言い方にできる?」とリクエストしたのでしょう?
「ムカつく」は「うざい」とともに社会現象を引き起こした言葉。もちろん日本語には「むかつく」という動詞と「うざったい」という形容詞が存在しています。国語としては、右の会話での「むかつく」の使用は本来は問題ないはず。しかし、いかんせん、マイナスの印象のあるはやり言葉とあっては、中学受験国語で敢えて使わないほうが<無難>です。
ええっ!と思われるかもしれませんが、採点者の心象を考えるとこんなところで失点の危険を起こす必要はない。ということで、「別の言い方」にしましょう。
次に「息子」の答えた「いやな気持ち」。こちらも、「悪くないね。」としながらも、「ママ」は「反発する気持ち」に言い換えていますね。これは、「いやな」という形容動詞が抽象的表現を含んでいるから。もう少し、具体的な心情表現にしたほうが、記述の精度が上がるからなんです。
こんな会話、うちの子とできないわ。
もしもそう思われたとしても、大丈夫。
まずは、正解にこだわらずに、心情表現に置き換えることに慣れるつもりで練習してみてください。
練習してみよう
・ 次の傍線部を「理由+心情表現」で答えなさい。
① タケシは、財布を忘れたことに気づき、真っ青になった。
② 花火を見に行くということで、菜穂たちの誘いを待つ間、かおりは食事の間中、そわそわしている。
③ 「本当は、つちのこなんて、見てないんじゃないのか?」。タケシの質問に一瞬マサトの目が泳いだ。
④ 「佳代ちゃんは器用じゃけえ。」ナオトの言葉に佳代は真っ赤になった。
⑤ 「遠泳?」聞き返した鈴木の目が輝いた。そういや、こいつは、浜辺育ちだった。
⑥ 浴衣姿のひろ子は、いつもと違って大人びて見えて、隆はまぶしく感じた。
⑦ 期待していたお土産もなく、真亜子がどんなにがっかりするだろうと、貫一の足取りは重かった。
⑧ 負けた!わずか1点差。されど1点差。追い付けなかった。届かなかった。みどりは唇をかんだ。
⑨ まんまとだまされたとわかって、タヌキは地団駄を踏んだが、もう後の祭りよ。
⑩ 小僧は、立派な店構えに気後れしたと見えて、戸口の外でもじもじしている。
⑪ 「俺はのけ者かよ。」マサトは立ち上がり、乱暴に扉を閉めて出て行った。
⑫ 「できるな?」兄の言葉にタロスケは「わかった」とつぶやいたが、その声に力はなかった。
⑬ 「賞金、百万円⁈」カズヤは素っ頓狂な声を上げて、目を丸くした。
⑭ 花が一等賞をとったと聞いて、陸は心の中でガッツポーズをした。
⑮ 優のまっすぐな目が真也に向けられる。今は、本当のことは言えない。真也は目をそらした。
⑯ かんなは、待っていたんだ。来ないかもしれないなんて、微塵も思わないで。絶対的な信頼をもって、待っていたんだ。真一は、目の奥が熱くなった。
⑰ 暑さでめまいがした。鬼コーチの厳しい視線にさらされて、のどの奥がヒリヒリする。
⑱ 山田が左利きと聞いて、刑事の目が光った。犯人の特徴と符合したらしい。
⑲ 本番を明日に控え、雄太は、食事ものどを通らなかった。
⑳ 出場を逃した悔しさがこみ上げてきた。いっちゃんを応援しにいく、その甲子園までの道が果てしなく遠く感じた。
ステップ ③ 傍線部を引き起こした直接の原因となるできごとを「意味づけ」する
家庭で練習するときは
設問が易しいときは、ステップ①②のみで、ステップ③は省略してかまいません。
ですが、入試での記述問題の多くは、このステップ③の作業まで必要とします。
5年生以上であれば、がんばって練習しましょう。
用意する素材文は、物語文であれば、塾のテキストでも市販の問題集でも模試でも構いません。
まずは、保護者が登場人物の「せりふ・しぐさ・表情・行動・口調・心中のことば」に傍線を付けてください。
お子さんに「傍線部の状態になった理由となるできごと」と「傍線部を心情表現に置き換えたもの」をつないでもらってください。
その際に、「(理由となるできごとを)まとめる」「(状況を)付け加える」「(言葉を)詳しくする」という作業のいずれかをおこなって傍線部を引き起こした直接の原因となるできごとを「意味づけ」してください。
難度が高いので、一問、一問、じっくりと考えて丁寧にまとめていきましょう。
ママ「今回は、ちょっと難しいから、ノートに書きながら、練習しようね。書くもの用意した?」
息子「うん。」
ママ「では、いきます。傍線部『時を忘れた』のはなぜか?
まずは、ステップ① 傍線部を心情表現に置き換えてみてね。」
息子「時を忘れた。 夢中になっている、ってことだよね?」
ママ「大当たり! じゃあ、ステップ② 夢中になった理由は? 」
息子「レンゲがいっぱい咲いていて、それを摘んでいたから?」
ママ「そうだね。じゃあ、つなげてみるよ。レンゲがいっぱい咲いていて、それを摘んでいたから、夢中に
なったから。」
息子「日本語おかしいよ。」
ママ「書くから、自分で整えてみて。」
息子「えっと、レンゲがいっぱい咲いていて、それを摘むのに夢中になったから。かな。」
ママ「いいね、いいね! 」
息子「『時を忘れた』のは、『レンゲがいっぱい咲いていて、それを摘むのに夢中になったから』。
なんか足りない気がするな。」
ママ「さすが! 良いところに気づきました。
説明が足りない、つまり意味づけができていないんじゃないのかな。
『レンゲ』は、智子にとって、どういう意味があるの?」
息子「えっと、大好きなおばあさんにとっての思い出の花、だよね。」
ママ「そのおばあさんは、今どんな状況?」
息子「死にそうになってる。」
ママ「じゃあ、さっきの『レンゲがいっぱい咲いていて、それを摘むのに夢中になったから』の文章に
今の情報を補足してみて。」
息子「大好きなおばあさんの思い出の花であるレンゲがいっぱい咲いているのを見て、
死にそうになっているおばあさんに見せて元気づけたいと思い、
たくさん摘もうとして夢中になったから。」
ママ「息子よ。キミは、国語の先生になれる!」
練習してみよう
・ 次の傍線部を引き起こした直接の原因となるできごとを【例】に倣って自分で考えて自由に「意味づけ」して、記述を完成させてみよう。。
【例】「田中君、来月隣町に引っ越すんだそうよ。」ママの声に、ひな子は気持ちがふわりと軽くなった。
→ (ひな子をずっといじめていた)田中君が引っ越すと聞いてほっとする気持ち。
① タケシは、時計を忘れたことに気づき、その場に凍り付いた。
→ ( )時計を忘れたことに気づき、ショックを受けて呆然とする気持ち。
② すれ違ったカップルの女性がみか子を見て「かわいい」と声を上げた。みか子は、ほんのり頬を染めた。
→ すれ違ったカップルの女性から( )かわいいと言われて、恥じらう気持ち。
③ 「日本中で、父ちゃんに勝てる奴はいないんだ」と健吾は胸を張った。
→ ( )父を誇りに思う気持ち。
④ 「みんな助かるといいよな」と野口がつぶやいた。
→ ( )、皆の命が助かってほしいと願う気持ち。
⑤ 「大丈夫。夏美がいい子なのは、おじいちゃんがよう知っとる」。気づけば夏美は声を上げて泣いていた。
→ ( )が、そのままの自分を受け止めてくれる優しい祖父の言葉で張りつめていた気持ちが緩んだ様子。
⑥ 「死んだ父さんとよく散歩したの。ここでお昼を食べたのよ。」母さんの声はいつもより優しかった。
→ ( )気持ちがゆるんで、昔を懐かしむ気持ち。
⑦ 渡せなかった誕生日プレゼントを抱えて、私は走った。ひどいこと言ってごめんね。私の妹に生まれてきてくれてありがとう。本当は大好きだよ。あふれる言葉をプレゼントと一緒に渡したかった。
→ ( )一刻も早く会って大好きな気持ちと誕生日を祝う気持ちを伝えたいという思い。
⑧ 久しぶりに会った和也兄ちゃんは、ボタンダウンのシャツの襟を立てていたせいか、少し大人びて見えた。るり子はまぶしいものを見るようにそっと目をそらした。
→ ( )和也がしばらく会わないうちに大人になったように見えて、あこがれる気持ちとともに、遠い存在になったようなさびしさの混じった気持ちを抱いている。
⑨ 「なんで噓をつくのっ。」ママの大声が響く。厳しい声とは裏腹に目にはいっぱい涙がたまっている。
トオルは黙ってうなだれた。唇が震えた。
→嘘をついたことで、( )にショックを受けている。
⑩ テストはさんざんだった。3人のうち、一番悪かったのは香奈で、だからなのか、「抜き打ちいうんは、卑怯や。」と目に涙を浮かべて美由先生をなじった。
→ ( )テストの成績が仲間内で一番悪かったことにショックを受けて、担任の美由に八つ当たりする気持ち。
どうでしたか?
小学生は、ステップ①の「傍線部を心情表現に置き換える」作業でつまずくことが多いのですが、紹介した方法で練習すれば、あっという間にコツをつかんでできるようになります。
ステップ②の「傍線部を引き起こした直接の原因となるできごとを本文中から決定する」作業に関しては、難なくクリアするでしょう。
問題は、ステップ③の作業。
ステップ③は、できごとを抽象化してまとめて表現したり、状況の説明を補足したり、単語に修飾語をつけて詳しくしたり、という「抽象化・補足・説明」という手順を踏んで、記述の完成度を上げる作業となります。
一見ややこしく見えますが、まとめる、付け加える、詳しくする、という3手間のいずれかを使うだけなので、実は練習しさえすれば簡単です。
イメージとしては、ステップ①で、生クリームをホイップして、ステップ②では、スポンジを焼きました。最後にステップ③、飾りのイチゴを乗せたり、半分に切って生クリームとフルーツをサンドしたり、生クリームを平らに塗ってならし、飾りクリームを絞ったり、という最後の仕上げ、ケーキとしての形作りをしたら完成です。
このステップ③は、記述の完成度の上がる作業なので、ぜひがんばって紹介した方法で習得してください。
最後に。
十点満点の記述の問題でステップ①②まで書けたとします。何点もらえると思いますか?
なんと半分の五点はもらえます!
記述が苦手というお子さんは、まずは、ひたすらステップ①②の練習をして部分点を狙いましょう。
部分点がもらえるようになり、記述アレルギーがなくなったら、ステップ③の段階に移行してください。
健闘を祈ります!
解答
ステップ①
① 真っ青になった ショックを受ける気持ち 怖がる気持ち
② そわそわしている 落ち着かない気持ち
③ 目が泳いでいる やましい気持ち ごまかそうとする気持ち
④ 真っ赤になった 恥ずかしい気持ち 怒り心頭
⑤ 目が輝いた 喜ぶ気持ち
⑥ まぶしく感じた あこがれる気持ち 羨望
⑦ 足取りは重かった 憂うつな気持ち 落ち込む気持ち 気が進まない様子
⑧ 唇をかんだ くやしい気持ち
⑨ 地団太を踏んだ くやしがる気持ち
⑩ もじもじしている 気恥ずかしい気持ち
⑪ 乱暴にドアを閉めた 怒る気持ち
⑫ 声に力がない 気落ちしている様子 気が進まない様子
⑬ 目を丸くした 驚く気持ち
⑭ 心の中でガッツポーズをした 喜ぶ気持ち 達成感にあふれる気持ち
⑮ 目をそらした ためらう気持ち 動揺する気持ち
⑯ 目の奥が熱くなった 感動する気持ち 泣きたい気持ち
⑰ のどがカラカラになった 緊張する気持ち
⑱ 目が光った 弱みに鋭くつけこむ気持ち 警戒する気持ち
⑲ 食事ものどを通らなかった 緊張する気持ち 落ち込んでいる様子
⑳ 道が果てしなく遠く感じた 途方に暮れる気持ち 呆然とする気持ち
ステップ②
① タケシは、財布を忘れたことに気づき、真っ青になった。
→ 財布を忘れたことに気づいて、ショックを受ける気持ち。
② 花火を見に行くということで、菜穂たちの誘いを待つ間、かおりは食事の間中、そわそわしている。
→ 花火を見に菜穂たちが誘いにくるのを楽しみに待っていて、落ち着かない様子。
③ 「本当は、つちのこなんて、見てないんじゃないのか?」。タケシの質問に一瞬マサトの目が泳いだ。
→ つちのこを見ていないと図星をさされて、動揺する気持ち。
④ 「佳代ちゃんは器用じゃけえ。」ナオトの言葉に佳代は真っ赤になった。
→ ナオトに器用だとほめられたと思い、照れて恥ずかしさを覚える気持ち。
⑤ 「遠泳?」聞き返した鈴木の目が輝いた。そういや、こいつは、浜辺育ちだった。
→ 遠泳と聞いて、浜辺育ちの鈴木が喜ぶ気持ち。
⑥ 浴衣姿のひろ子は、いつもと違って大人びて見えて、隆はまぶしく感じた。
→ 浴衣姿のひろ子に普段とちがう大人びた美しさを感じ、あこがれる気持ち。
⑦ 期待していたお土産もなく、真亜子がどんなにがっかりするだろうと、貫一の足取りは重かった。
→ 真亜子が楽しみにしているお土産も用意できずがっかりさせてしまうことに気持ちが沈む様子。
⑧ 負けた!わずか1点差。されど1点差。追い付けなかった。届かなかった。みどりは唇をかんだ。
→ 1点差で負けたことに悔しさを感じる気持ち。
⑨ まんまとだまされたとわかって、タヌキは地団駄を踏んだが、もう後の祭りよ。
→ すっかりだまされていたことがわかり、くやしがる気持ち。
⑩ 小僧は、立派な店構えに気後れしたと見えて、戸口の外でもじもじしている。
→ 普段入れないような立派な店構えに気後れして、遠慮する気持ち。
⑪ 「俺はのけ者かよ。」マサトは立ち上がり、乱暴に扉を閉めて出て行った。
→ のけ者にされたと思い、怒る気持ち。
⑫ 「できるな?」兄の言葉にタロスケは「わかった」とつぶやいたが、その声に力はなかった。
→ 兄からできると思われていることに対し、正直にできないといえず、自信のない気持ち。
⑬ 「賞金、百万円⁈」カズヤは素っ頓狂な声を上げて、目を丸くした。
→ 賞金額が大きいことに驚く気持ち。
⑭ 花が一等賞をとったと聞いて、陸は心の中でガッツポーズをした。
→ 花が一等賞をとったと聞いて、喜ぶ気持ち。
⑮ 優のまっすぐな目が真也に向けられる。今は、本当のことは言えない。真也は目をそらした
→ 今は本当のことはいえないが、優がまっすぐな目を向けてくるので、後ろめたく感じ、軽く拒む気持ち。
⑯ かんなは、待っていたんだ。来ないかもしれないなんて、微塵も思わないで。絶対的な信頼をもって、待っていたんだ。真一は、目の奥が熱くなった。
→ かんなが絶対的な信頼をもって一心に待っていたことに思い至り、その強い純粋さに感動する気持ち。
⑰ 暑さでめまいがした。鬼コーチの厳しい視線にさらされて、のどの奥がヒリヒリする。
→ 暑さとコーチの厳しい視線を感じる緊張、プレッシャーで神経が立っている様子。
⑱ 山田が左利きと聞いて、刑事の目が光った。犯人の特徴と符合したらしい。
→ 山田が左利きと聞いて、犯人の特徴と一致したと思い、警戒を増す気持ち。
⑲ 本番を明日に控え、雄太は、食事ものどを通らなかった。
→ 本番を明日に控えて、緊張する気持ち。
⑳ 出場を逃した悔しさがこみ上げてきた。いっちゃんを応援しにいく、その甲子園までの道が果てしなく遠く感じた。
→ 甲子園出場を逃し、いっちゃんを応援にしにいく気持ちが重く、甲子園出場という目標に向かう気持ちがくじけかけている様子。
ステップ③
① タケシは、時計を忘れたことに気づき、その場に凍り付いた。
→ (入試本番に絶対必要と言われていた)時計を忘れたことに気づき、ショックを受けて呆然とする気持ち。
② すれ違ったカップルの女性がみか子を見て「かわいい」と声を上げた。みか子は、ほんのり頬を染めた。
→ すれ違ったカップルの女性から(初めて着た浴衣姿を)かわいいと言われて、恥じらう気持ち。
③ 「日本中で、父ちゃんに勝てる奴はいないんだ」と健吾は胸を張った。
→ (たった一人で自分を育て上げてくれた)父を誇りに思う気持ち。
④ 「みんな助かるといいよな」と野口がつぶやいた。
→ (戦火を潜り抜ける厳しい場面にあって、)皆の命が助かってほしいと願う気持ち。
⑤ 「大丈夫。夏美がいい子なのは、おじいちゃんがよう知っとる」。気づけば夏美は声を上げて泣いていた。
→ (仲間と思っていた美奈たちに責められて、孤立していた)が、そのままの自分を受け止めてくれる優しい祖父の言葉で張りつめていた気持ちが緩んだ様子。
⑥ 「死んだ父さんとよく散歩したの。ここでお昼を食べたのよ。」母さんの声はいつもより優しかった。
→ (三人の子供たちを育てるのに必死で、いつも余裕のない「母さん」が、子供たちのプレゼントした休日に亡くなった父との思い出の公園に来たことで、)気持ちがゆるんで、昔を懐かしむ気持ち。
⑦ 渡せなかった誕生日プレゼントを抱えて、私は走った。ひどいこと言ってごめんね。私の妹に生まれてきてくれてありがとう。本当は大好きだよ。あふれる言葉をプレゼントと一緒に渡したかった。
→ (母と暮らせる妹をねたんで、ひどいことをいってしまったが、妹が自分あての日記を毎日つけていたことを知り、)一刻も早く会って大好きな気持ちと誕生日を祝う気持ちを伝えたいという思い。
⑧ 久しぶりに会った和也兄ちゃんは、ボタンダウンのシャツの襟を立てていたせいか、少し大人びて見えた。るり子はまぶしいものを見るようにそっと目をそらした。
→ (家を離れて一人暮らしを始めた)和也がしばらく会わないうちに大人になったように見えて、あこがれる気持ちとともに、遠い存在になったようなさびしさの混じった気持ちを抱いている。
⑨ 「なんで噓をつくのっ。」ママの大声が響く。厳しい声とは裏腹に目にはいっぱい涙がたまっている。
トオルは黙ってうなだれた。唇が震えた。
→ 嘘をついたことで、(母を悲しませ、傷つけたこと)にショックを受けている。
⑩ テストはさんざんだった。3人のうち、一番悪かったのは香奈で、だからなのか、「抜き打ちいうんは、卑怯や。」と目に涙を浮かべて美由先生をなじった。
→ (進度別クラスを決める重要な)テストの成績が仲間内で一番悪かったことにショックを受けて、担任の美由に八つ当たりする気持ち。