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中学受験
東大家庭教師ドクターに聞くPART2
算数の思考力の伸ばし方
第192号 2013-09-02
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m e n u
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メインコンテンツ
□ 東大家庭教師ドクターに聞くPART2 算数の思考力の伸ばし方
・東大理三に進んだ理由
・算数と数学のちがい
・算数の思考力の伸ばし方
・小学生に向けて〜算数のアドバイス〜
インタビューを終えて
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新学期。
夏の疲れがじわじわと出てきていませんか。
5年生はカリキュラムの進みが早く、消化が辛いころ。
6年生はそろそろ過去問の対策を考え始めるころ。
大きな模試も目の前です。
まずは、するべきことを書き出してみましょう。
特に6年生は受験までの「することカレンダー」を作りましょう。
事務的なカレンダーと学習内容のカレンダーと分けて作ってください。
つくり方をご説明いたします。
事務的なカレンダー、
まずは、横長の白い紙(A4〜B4)の中央に月ごとに区切った線を引きます。
その上下にするべきことを書き込んでいくだけ。
日付指定のものは9/15○○校説明会、11/28願書取り寄せ、など。
学習用のカレンダーはお子さんと相談しながら。
月ごとの課題を書き出していきます。
もちろん、模試や講習の日時も書き込みましょう。
月ごとに区切った線の上下に書くのがポイント。
上は模試などの行事。
下は学習目標。
と分けると見やすくわかりやすい。
過去問計画表を兼ねてもいいですね。
できたら透明のハードカバーに入れて
いつでも取り出せるようにしましょう。
全体の流れが一目でわかると落ち着きます。
ぜひお試しください。
さて、今回は前回に引き続き、
現在は東大家庭教師ドクターでご活躍中の
西川秀明先生に算数の伸ばし方についてお話を伺いました。
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西 川 秀 明 先生
(東京大学 教養学部 理科三類 2年生)
灘中学・高校から東京大学理科三類に進学。
現在、東大家庭教師ドクターで主に中高生を中心に指導中。
灘中高では数学研究部とラグビー部所属。
現在も大学の医学部アメフトでご活躍中だとか。
中学時のジュニア数学オリンピックの金メダリストでもあります。
ドクターでは、小さな疑問にもとことんつきあう
きめ細やかな教え方でご活躍中。
東大家庭教師ドクターの講師いわく
「積極性、行動力、計画性、いずれをとっても突き抜けている、
相手としっかり向き合える男」だそう。
なんでもできるのに、こちらの肩の力をフッと抜かせる、
穏やかな空気をもった包容力あふれる先生です!
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★ 東大家庭教師ドクターに聞くPART2 ★
算数の思考力の伸ばし方
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■■■ 東大理三に進んだ理由 ■■■
春野 本日は東大家庭教師ドクターでご活躍中の
西川先生に算数についてあれこれとお話をお伺いいたします。
西川先生は、大学受験難度最高峰である東京大学理科三類、
いわゆる理三に進学なさっているのですが、
学部学科を選択したのはいつごろです?
西川 僕は昔から算数が好きで、
国語はあんまり得意ではなかったので、自然と理科系、でしたね。
本当は数学科に行きたかったんですよ。
でも、上には上がいると知って、
この世界で俺はこいつらの上にはなれないな、と悟りまして。
春野 上には上?
西川 数学オリンピックに出ていたんですが、
来る人たちの上位のレベルがね。
ああ、かなわないなあ、と思った。違うな、と、はっきり思えた。
で、生物関係の研究に興味があったのと、
さらに数学が使える分野がいいな、
というのがありまして、医学部に行こうと思ったんです。
生命現象を数学的なモデルを使って調べる、ということをしてみたいと。
春野 臨床医学よりそちらの方に惹かれるのは、
さすが元数学オリンピックの選手ですね(笑)。
数学オリンピックといえば、算数オリンピックもありますが、
算数と数学は直接つながっているんですか?
西川 いえ、算数と数学は別物ですね。
算数は四則演算、数学は七則演算、
つまり、数学の方が、いろんな分野のそれぞれの概念、
公式の使い方を学ぶのにかなり時間がかかります。
数学の基本的な考え方を染み込ませるまでが大変なんですね。
オートマティックにフォーマットにあてはめて解く。
証明の方法が大切なんです。
とりあえず、算数は
引いたり足したりかけたり割ったりすれば答えは出ます。
算数では、計算自体に重きを置くのではなく、
考える力の養成が重要です。
■■■ 算数の思考力の伸ばし方 ■■■
春野 考える力の養成。
では算数の思考力って具体的にどうすれば伸びますか?
西川 僕は中学受験の時、算数が得点源でしたので、
算数の苦労ってあんまりなかったかもしれません。
だからどこまで参考になるかわからないんですが、
思考力を伸ばす方法として僕がおすすめするのは、
僕自身が小学生のころにしていた方法、別解を見つけることと、
類題を作成することです。
春野 別解と類題、ですか。
西川 別解は算数のエクササイズとしてはお勧めです。
算数の本来的な考える力の養成に役立ちます。
一つ一つの問題を視点を変えて解いてみるわけです。
たとえば、これは速さの問題だけども、
実はつるかめ算でもとけるかもと思ってみる。
異なる見方ができるようにするんですね。
春野 正解したら終わり!ではなく、
他の解き方はないか検証してみる。
なるほど。算数を楽しむ感覚ですね。
では、作問は?なにやら難しそうな気がするのですが、
作問方法のコツなど、あればお聞かせください。
西川 作問は難しいです。
ただ、類題を作ろうとすると、
その問題の根本的な考え方を見分ける必要があるんですね。
ですから、問題を切り取る視点の獲得に最適な方法といえます。
僕は灘で『数学研究部』に所属していましたので、
文化祭で灘志望の小学生向きに
算数オリンピックレベルの難問を作っていました。
うんうんうなって解いてくれると、本当に嬉しい。
作った甲斐があったなと思いますよね。
春野 小学生もこれが解けたら灘に合格するかも!
と思えば力が入るでしょうね。
西川 いや、解けなくても灘の合格可能性とは関係ないです。
なんせ、灘校生でも大半が解けない難問ぞろいなんで(笑)。
春野 面白そうですね!
本日、試しに見本として作問していただけますでしょうか?
西川 そうですね。
では、栄光学園の問題でやってみましょうか。
春野 ありがとうございます!
で、なにゆえ、栄光?
西川 栄光の問題は、関西の出題と似ていて、
算数として面白い良問ぞろいなんです。
そういう問題が、僕、大好きなんですね。
かなり難しくしてしまいましたが…
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以下、さらさらっと作ってくれた問題です。
ぜひ、算数得意なお子さまでしたらチャレンジを!
西川先生いわく「算数オリンピックレベルの難問なので、
解けなくても栄光(学園)の合否とは関係ありません」とのこと。
お父様、お母様の頭の体操にもどうぞ!(私は挫折しました……)。
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栄光学園平成17年度 3 改題
表に1〜20が書かれたカードが一枚ずつあり、
それらから12枚のカードを選び、12人の人に1枚ずつ配ります。
それぞれの人は自分に配られたカード以外は見ています。
自分のカードが何番目に大きいかわかる人が何人かいました。
さらに、その何番目かわかった人が「わかった」と宣言すると、
自分のカードが何番目に大きいかわかる人が10人になりました。
選んだ12枚のカードの数字の組み合わせとして、
考えられる場合の数は何通りありますか。
答え(170通り)
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■■■ 小学生に向けて〜算数のアドバイス〜 ■■■
春野 小学生に算数のアドバイスをお願いします!
西川 初見の算数の問題を解くときは、
いろんな考え方をあてはめてみましょう。
たとえば特殊算、つるかめであったり、
差集めであったり、速さであったり、
それらの考え方を理解して使いこなせるようにしておくことが大切です。
それを繰り返していると、見ただけでどの考え方を使って解くのか、
瞬間的にわかるようになります。
正解して、そのうえで別解を考えてみる。
それで算数の考え方の膨らませ方がわかってくるはずです。
春野 図形問題はいかがですか?
西川 例えば、
図形の面積の求め方であればとりあえず、
パターンが決まっているので、そこをおさえる。基本は3つ。
(1) 公式を使って求める方法
(2) 分割して求める方法
(3) 周りから引く方法
難問は、これを組み合わせた複合問題か、回転を使ったもの。
一瞬のひらめきが重要な、いわゆる「捨て問」です。
春野 その「捨て問」こそが
西川先生の大好きな問題、なんでしょうね。
西川 そうですね。好きですね。
算数の面白さは単純にパターンにあてはめない、
思考力にあると思うので。
ぜひ、多くの小学生に算数で思考力を鍛えていってほしいなと思います。
数学の知識を持ちつつ、算数の考え方を援用する、
それが究極の理想形ではないかと思いますね。
春野 ぜひ、その才能を
研究の世界で遺憾なく発揮するその日まで、
東大ドクターでご活躍ください。
本日はありがとうございました!
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★ インタビューを終えて ★
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西川先生の算数思考養成法、いかがでしたか?
別解と作問。
ときにはご家族で夕食時にわいわいと算数談義をして、
お子さまの算数が好きになるきっかけづくりにしてはいかがでしょう?
作った問題をお互いに解きあうのも楽しそうですね。
実は、今回お載せしたインタビューは
記事としてはあまり長くはないのですが、インタビュー時間は1.5時間。
ドクターの一コマ分の時間だったのです!
どういうことかと申しますと、
西川先生に私、春野は算数を習う羽目……
いや、教えていただく光栄に浴しまして、
算数の問題の解き方あれこれをレクチャーしていただき……おかげさまで
1時間半の中で大変賢くなった春野さんだったのです。
これほど理解の遅い、出来に難ありの生徒だったにもかかわらず、
本当に熱心に、かつ紙にびっしりと図入りで丁寧にご説明いただき、
「ああ、本当に算数に愛がおありなのだな」「教えるのが本当にお上手だな」
と心より感動・感激いたしました。
西川先生、本当にありがとうございました!