第246号 2016-05-31
こんにちは。
受験ドクターの春野です。
国語のお話が2週続いたので、
本日はちょっと息抜き。
このところ、学習相談のなかで、
ふと気づいたこと、思ったことを
つれづれなるままにお伝えいたします。
よく保護者の方から
「 やればできるのにやらないわが子 」のご相談を受けます。
どうしたらやる気になるのか。
ここだけのお話し、
私はその答えを持たざる人です。
なら、学習相談を受ける資格なし!
なんて、
どうか言わないでください。
私は、
答えは持っていないけれど、
共感することはできます。
なんの解決にもならない、と
多くの男性にとっては無意味に見えるこの「共感する」という心の働き。
実は、これ、心が疲れた時の特効薬でもあるのです。
「 わかるわかる、そうなのよね。 」
「 そうそう、そうなのよ。 」
「 わかるわあ。 」
ランチに行くと、
ママたちの集まりには必ず聞こえてくるこれらの言葉。
一見、まわりに合わせて無理しているの?
などと邪推する向きもあるようですが、
表情をご覧くださいな。
本当に楽しそうでしょ?
自分の中に
解決の種が芽吹いているとき、
おそらく人は、
厳しい意見でも「真実」がほしくて
アドバイスを求めるのだと思います。
自分の悩みに対して、
こころのどこかで解決しないことを予感しているとき、
人は共感を求めるのだと思います。
心が疲れているときに
人から肯定されることの心地よさは、
どんなお薬よりもよく効きます。
「 大丈夫ですよ。 」
「 そのままのあなたでいいよ。 」
「 気にしない、気にしない。 」
ただ、どんな良薬も
過ぎると毒にもなります。
心の疲れがとれたときは、
また前を向くために、
厳しい言葉も受け入れていくことが、
成長や問題解決のカギではないでしょうか。
で、先のご相談、
「 やればできるのにやらないわが子 」。
やらないのには、
やらない理由があるんです。
だって、
勉強はつまらないから。
遊ぶ方が楽しいから。
何もしないでいる方が楽だから。
健全な小学生が
わざわざつまらないことをみずから選択することはないでしょう。
逆に考えてみましょう。
みずから勉強をする子はどんな理由から勉強するのでしょう?
勉強をしたら成績が上がる喜びを知っているから。
成績が上がったら、ほしいもの(志望校合格)が手に入ると信じているから。
勉強をしたら大好きな人たちが喜んでくれるから。
そう、
勉強そのものよりも
勉強をした後の快さ、心地よさ、充実感、という喜びを知っているから
だから勉強するのですね。
じゃあ、たとえばテストの成績が良かったら、
ご褒美をあげるのは?
いえいえ。
ご存知のように、
物質的なご褒美は、
飽きてしまいます。
本当にがんばったときに
いかに「充実感」を感じることができるのか、
精神的な喜びや自尊心をくすぐる心の動きを体験できるのか、
結局はそこが、そこだけが、
「やる気」と結びつく。
ですから、
まずは承認行動。
お子様のやっていること、
行動をそのまま口に出してください。
「宿題をやっているのね。」
「今、遊んでいるのね。」
「漫画を2冊、読んだのね。」
叱ることも必要ありません。
ほめることも必要ありません。
まずは、
「あなたの行動を私は関心をもって見ていますよ」
というメッセージを送る。
それを繰り返しているうちに
子どもは、
「自分は受け入れられている」という
自分への肯定感を持つようになります。
これが最初の段階。
次に、
1回、本当にがんばらせてみる。
負荷をかけて、
なんでもいい、
がんばらせてみる。
本人が、「やりきった!」と思って心がゆるんだその瞬間をはずさずに
「すごいね、やったね。」
と声をかける。
やり遂げたことを認めてほめるのです。
1回でも、それが心にストンと残る体験ならば、
お子さんは変わるでしょうし、
繰り返されれば、
がんばることは快の感情と結んで
何事にも一定のやる気を出すことができるようになるでしょう。
なんだ、やる気を出させる答えを持っていたのですね。
いえいえ。
実を申し上げると、
私は自身の子育てのなかで、
上記を実行できなかった人。
忙しかった、
面倒だった、
さまざま言い訳はあれど、
結果を出してはいないのです。
子どもたちは、
時が来て、
まあ、遅きに失した感はあるものの、
勝手にやる気になって
自立してゆきました。
そこに母の手はなかった、と言い切れる。
だから、
私の失敗からも、
同じ轍は踏まぬよう、
老婆心からのアドバイスです。
ゆるゆるとお話ししてしまいました。
来週はきりっと、
中学受験に関する有益な情報を提供いたします!
学校説明会も始まっています。
レポートもお楽しみに!