第250号 2016-06-21
こんにちは。
受験ドクターの春野です。
先日は、
ライブ配信SAPIXマンスリーテストをご覧いただき、
ありがとうございました。
少しでもみなさまのお役に立てましたら本望です。
ライブ配信では、
国語の問題をお出しし、
解答はメルマガにて発表します、とお伝えいたしました。
ですから、先に、
解答をお知らせしておきます。
SAPIX6年 6月マンスリーテスト 重松清 「あっつあつの、ほっくほく」
p10 32・33行目
出題問題 なぜ「なぜか、どうしても、起きなかった」のですか。説明しなさい。
●「なぜかそうなった」ときの心情理由の説明問題
解答:バスケ部のみんなから孤立したつらい体験時に、おじさんのやさしさに触れて、気持ちが救われたことをおじさんとの大切な心の交流ととらえていた。しかし、そのときのおじさんの言葉をみんなに伝えても、その時の気持ちをわかってもらえそうにない気がして、軽々しく話す気にはなれなかったから。
さて、解説です。
他塾の方や5年生以下の方でも、
しっかりお役に立ちます!
だまされたと思って、まずは、
読んでみてくださいませ。
お読みになって、
ぜひ、「なぜかそうなった」
設問のパターンと解法を学んでください!
【問】傍線部のときの真一の気持ちを説明しなさい。
【解答例】最後まで孤独だった洋一じいさんの死を知って、知り合ってまだ日も浅いのに、単なる同情とも感傷とも割り切れないショックを受けて戸惑っている気持ち。
【問】傍線部の理由を説明しなさい。
【解答例】一途に信じていた母親に裏切られていたことを知ってショックをうけているはずの清人が自分に対して平然とふるまっている姿を見て、けなげさと強さを感じ、思わず清人に触れることで、隠している弱さを受け止めたくなったから。
上記のように、物語文のなかで、
ある心情に至った理由や、
ある行動になった理由が
書かれないことがあります。
「なぜかそうなった」問題、と私は呼んでいます。
敢えて、「そうなった」理由を「わからない」とすることで、
語り手は、言葉で割り切れてしまう「答え」を拒否し、
「そうなった」心情を読み手に対して深く考えることを要求するのです。
そう、
「なぜかそうなった」問題は、
文章の流れ全体から【類推】という作業をとおして、
心情を推し量らせるので、
ものすごく難度が高い読解問題なのですね。
では、ワタクシ春野は、
なぜこんな(難しい)問題を出題したのでしょう?
答えは簡単です。
小学生は、
この「なぜかそうなった」場面が出てくると、
途端に物語文全体がもやもやと「よくわからない」ものに変身し、
そのあとの設問を解く際にも、
自信を失った状態で臨む羽目になるから。です。
ですから「なぜかそうなった」問題を攻略しておけば、
自信をもってそのほかの設問に臨むことができるようになるのです。
国語のテストの際、この自信ほど大切なものはありません。
そして、実はこの「なぜかそうなった」問題は、
大学入試でも有効です。
ぜひ、今のうちに「なぜかそうなった問題」を攻略してしまいましょう。
では、公式です。
「そうなった」対象のことがらが どんな意味をもつのか |
||
→「ぬるいお茶と一緒だとオツ」 ≒ おじさんのやさしさ |
||
+ | ||
「そうなった」ことと反対の行動 | ||
→「そうなった」 = みんなにおじさんの言った言葉を 教えてあげなかった 反対の行動 = みんなにおじさんの言った言葉を 教えてあげた |
||
+ | ||
理由 | ||
→「大事にしているおじさんとの 心の交流にもかかわらず、 みんなにはそのときの気持ちを 理解してもらえない」ため |
||
+ | ||
(軽々しく 思わず どうしても) | ||
→ 軽々しく | ||
+ | ||
した or できなかった | ||
+ | ||
から |
では、上記に従って、もう一度解答を見てみましょう!
では、最後に
ライブ配信のちょっと楽屋裏をのぞいてみましょう。
本番までの間にテストを解く時間は40分程度。
25分で自力で解いて、
各問題の難度を割り振り、
引っかかりやすいポイントを押さえて、
予想点を決めるまで15分。
でも、
向こう側に中学受験生のご家庭がいると思うと、
なんとかお役に立ちたいという思いで、
45分の放映時間はいつもあっという間です。
短い時間の中、どこまで伝えられただろう。
あのときはこういえばよかった、
このことを伝え忘れてしまった、
あそこはもう少しわかりやすく言えたのに。
配信後は、すぐ反省会です。
でも反省したことが次回で生かせるとは限らない。
そこが難しいところ。
今後は、SAPIXだけでなく、四谷大塚、日能研なども
おこなっていく予定です。
少しでもみなさまのお役に立てますよう、
今後もいろいろと工夫し、
試行錯誤しながら
よりよいものを提供してまいります。
お楽しみにしていただけましたら
幸いです!