栄光学園中学校説明会レポート(2016年9月26日)
本日は栄光学園中学校へ、受験ドクター たまプラーザ校校長、澤田 重治が行ってきました。
① 広大な敷地
同校を訪れた方の多くがその第一印象に挙げる「広大な敷地」は、総面積が11万平方メートルもあります。
1964年にこの地に移転した同校ですが、その時にも、1学年180名という開校以来の募集人数を変更
することなく、広々と使える環境を確保しています。
② 新校舎
創立70周年を迎える2017年の春に新校舎が完成します。
同校の卒業生でもあり、新国立競技場の設計者でもある隈研吾(くまけんご)氏も設計監修しています。
説明会では、特徴的なところとして、以下のことに触れられていました。
・現在の3階建てから、あえて2階建てにし、その2階部分は木造(国産の木材を使用)となります。
・中庭は3つに区切られています。また、その舗装には、クッション性のある素材が使われます。天気が良ければ、真西には富士山、その並びには丹沢の山々を見ることができるロケーションです。
・ガラスによる採光部が広いのが特徴ですが、日差しが強すぎないように、軒の部分を広くとっています。
JR大船駅下車 南改札西口(大船観音側)から徒歩15分
バス大船駅西口バス乗り場(大船観音前)3番から「清泉女学院」行きで約2分「栄光学園前」下車
平成28年9月26日に行われた栄光学園中学校の説明会での内容をまとめました。
この内容についてのご質問は栄光学園中学校ではなく、受験ドクターまでお願いします。
©栄光学園
校長ご挨拶
栄光学園中学校 望月伸一郎 校長より、
栄光学園の歴史や理念に関するお話ありました。
その中から一部を紹介いたします。
教育理念・教育内容
・イエズス会の精神に則り、“Men for others, with others”という教育理念を掲げています。
・少人数ですが、生徒が失敗しないようにお膳立てをするのではなく、自分で考え、自分で行動できるように導くことを大切にしています。
・志望大への合格だけでなく、大きく変革していく時代の中でリーダーとなる人材を育てるために、「共感力」「発想力」「発信力」を10代のうちにつけさせる教育をしています。
・一方的な講義だけでなく、双方向の授業など、アクティブラーニングの実践をしています。
・イエズス会のつながりを使って、海外の学校との相互交流をしています。
宗教教育について
・年間日程の節目ではミサを行います。
・毎週金曜日は、すべての部活動を休みにして、「聖書研究会」の日としています。
・ただし、宗教行事への参加は、生徒の自由意思に任せています。
教科指導と人間教育
数学教員の枝村組子 先生より
栄光学園の教科指導と人間教育についてお話しがありました。
その中からいくつかを紹介します。
教科指導
1.全員に対して
・自宅での学習方法を、授業時間を使って丁寧に指導しています。
・頻繁に小テストをして、返却後にはミスした箇所を自分で見つけて訂正・提出させています。
2.数学が苦手な生徒に対して
・朝・昼休み・放課後に、必要に応じて補習を実施しています。
・夏休みには補習を5日間実施し、指定の生徒+希望者の20名ほどを指導しました。
3.数学好きの生徒を育てるために
・自由レポートを掲示し、生徒間の刺激を活発化するようにしています。
・夏休みの課題として、「数学本の読書」または「プログラミング」を課しました。
人間教育
・かけがえのない自分の人生を大切に生きたいという思いを育てる
・人の命が「与えていただいたものだ」という感覚が、健康への配慮となります。
・自分の感情(プラスの感情だけでなくマイナスの感情も)に向き合うように指導しています。
・周囲の人を大切に、周囲の人との関係を大切に
・挨拶や話の聞き方・話し方についても指導しています。
・学習内容をきちんと身につける
・点数がとれるかどうかよりも、内容を身につけたかどうかの方が大切だと教えています。
・自然の中で、自然とともに生きる
・すべてのものは「地球のかけら」であるという感覚が、ものを大切にすることにつながります。
入試要項
教務課長の田村篤史 先生より
2016年度の入試要項について
お話がありました。
そのなかから一部を抜粋して紹介します。
出願資格の「通学区域」について
■入試要項説明
家族との関係が重要という考え方に立脚した条件のため、下宿・寄留は認めていません。
1.「自宅から90分以内」について
・大船駅から校舎までを15分と計算しているため、自宅から大船駅は75分以内です。
・駅までの時間については、乗り継ぎなどを含め、1日のうちでも最速のパターンで結構です。
2.居住の時期について
・入学後の転居でも構いません。出願の段階で転居先が未定の場合は、備考欄にその旨をご記入いただければ問題ありません。
・家族が一緒に居住することが条件ですが、単身赴任についてはその限りではありません。
郵送による出願について
1.受験番号の採番について
・郵送による受付のため、受験番号はランダムに振られます。
2.出願期間について
・1/16の消印有効ですので、有効な消印があれば、学校への到着はそれ以降でも結構です。
・早く出される場合には、必ず1/10以降に着くように着日指定をお願いします。
3.写真について
・「志願票」と「受験票」には、同一の写真を貼付してください。
・試験中、眼鏡を着用している時間と外している時間のどちらが長いかによって、貼付する写真での眼鏡の有無は判断してください。
・私立小学校にお通いの方であっても、制服写真である必要はありません。
4.緊急連絡先について
・携帯電話や勤務先など、親御さんと確実に連絡が取れる電話番号をご記入ください。
5.備考欄について
・出願時点で通学区域内に居住されていない場合には、志願票の備考欄にお書きください。
6.書き損じについて
・書き損じがあっても、二重線で修正してくだされば問題はありません。
・破損や大きな汚れがあった場合には事務局までご相談ください。
入試問題について
1.出題内容について
・説明会などの場においても、どのような問題が出されるかについては一切説明しません。
2.出題範囲について
・小学校の学習指導要領を超える範囲からは出題しません。
・(例)方程式を使わなければ解けないような問題は出題しません。
→ もちろん学校レベルというわけではなく、工夫しなければ解けない問題です。
・(例)漢字は、小学校の教育漢字からしか出題しません。
栄光学園の生活
社会科教員の伊藤直樹 先生より
栄光学園の生活について
お話がありました。
そのなかから一部を抜粋して紹介します。
通称「栄光坂」について
・入学したばかりのころは息切れしながら学校にたどり着いた生徒たちが、2~3ヶ月もすると平然と重い荷物を持って上がってくるようになることで、成長を感じられるそうです。
・栄光坂の高低差は、標高にすると約40m――案外少ないようですが、1週間で約1km、1ヶ月では富士山の高さになります。また、1学期間ではエベレストの高さにも到達します。
社会科の学習事例 ~近隣の散策授業~
・溜池や切通の地形を見せ、「なぜここにあるのか?」「どのようにできたのか?」などを考えさせる授業をしました。
・まずは目に見える情報で推測をさせ、必要に応じて昔の地図を資料として配るなどしながら、先生との問答の中で段々正解に近づいていくようにしています。この過程で学びが得られます。
・この授業では、「知っていること」よりも、「考えること」が大切です。
・知らないからこそ考えるので、時には、知識をもっていることが思考を妨げる場合もあります。
・→ 試験も同様で、「知らないから解ける」という問題だけではないはずです。むしろ、知らないことが出てくるのは当然のことでしょう。
栄光学園の学び
数学科教員の古賀慎二 先生より
栄光学園の学習について
お話がありました。
そのなかから一部を抜粋して紹介します。
栄光学園の「自学自習」について
・初めから放っておくのではなく、自学自習ができるように、低学年のうちに丁寧に指導しているからこそ成り立ちます。
・高学年になる頃には、生徒たちは自学自習ができるようになっています。
・学びを深めるために、教師は主に、次の2つのことに気を配ります。
・良問を与えること。
・「学習が、試験に向けた作業になっていないか?」と、生徒に呼びかけ注意喚起すること。
・今でこそ、多くの学校でアクティブラーニングが取り入れられるようになってきましたが、栄光学園ではもっと昔から取り組んできました。
・→ 栄光学園のアクティブラーニングは、「人」と「環境」がそろっているからこそ機能するのです。
・→ その「環境」というのは、「教員も生徒も尊重されている」環境です。
アクティブラーニングの実践現場(動画の上映)
・生徒同士で教えあったり、黒板を使って説明をする生徒がいたりと、教室内のいたるところで、活発に学習が行われている様子を記録した動画が上映されました。
・教室と、移動式の黒板などを用意しただけで、学習内容やグループ分け、学習の仕方などは一切指示していない状態で、このように活発な学習がされていました。
・この動画は、栄光学園が目指す、理想の形の一つとして紹介してくださいました。
学校訪問を終えて
とにかく、広々とした敷地は圧巻です。
11万平方メートルにも及ぶ学校の敷地内には里山まであり、貴重な生物も生息しているそうです。
学校へ向かう、通称「栄光坂」のおかげで、足腰も強くなりそうです。
より大地に近くなる2階建て新校舎が完成すれば、自然の中で、自然の一部として生きているという思想
も含めて、学力だけではない、真のリーダー教育が行える理想の環境になると感じました。
また、様々な学校が取り組み始めている「アクティブラーニング」についても、同校の教育思想によって以前
から取り組んできたようですので、その手法や内容には、やはり一日の長があると感じました。
実際に、難関大学への高い進学実績を出している同校だからこそ、「学力だけではない」という教育姿勢
にも重みがあります。
ただし、宗教行事への参加を自由意思にしているとはいえ、キリスト教系の学校であることには変わりあり
ませんから、その点では好みがわかれるところだと思います。