2019 栄光学園 |学校説明会レポート



栄光学園中学校説明会レポート(2019年10月7日)


本日は栄光学園中学校へ、受験ドクター 国語、算数、理科、社会講師久米光太郎が行ってきました。
木造2階建ての新校舎は温かみがありきれいな印象。

広大な敷地にそれぞれの部活専用のグラウンドがあり、生徒たちがのびのびと勉強にスポーツにと励んでいる様子が映像からうかがえた。理科の観察では学校にある里山に入って植物を採集したり、高3の文系物理の授業では1年間実験を行うなど、実体験を重視している姿勢が随所にうかがえた。英語の授業も座学だけではなく、実際に英語を使ってネイティブの教員と話したり、生徒同士が英語で会話することを重視している。カトリックのイエズス会の教えに基づいた教育、「man for others,with others」が強調されていた。

JR大船駅下車 南改札西口(大船観音側)から徒歩15分
バス大船駅西口バス乗り場(大船観音前)3番から「清泉女学院」行きで約2分「栄光学園前」下車

平成29年9月25日に行われた栄光学園中学校の説明会での内容をまとめました。
この内容についてのご質問は栄光学園中学校ではなく、受験ドクターまでお願いします。
©栄光学園

プログラム

校長ご挨拶

栄光学園中学校 望月伸一郎 校長より、
栄光学園理念に関するお話がありました。

その中から一部を紹介いたします。

学園についての説明

栄光学園はイエズス会によって1947年に横須賀に成立、1964年に大船に移転。フランシスコザビエルはイエズス会の創設した時のメンバーの1人。世界各地に教育機関があり、卒業生に求める像は共通している。「マンフォーアザース、ウィズアザース」という言葉通り、人々に奉仕するリーダーを求めている

栄光に来た人の第1印象は「キャンパスがとても広い」ということ。各種グラウンドだけでなく里山まである。

1次情報に触れることを大切にしている。花や木の数値・データ・平面化されたものではなく、花や木そのものに触れること。人とのコミュニケーションでも実験でも大事。あらゆる教科教育を通じて子供たちの中にある、種のような可能性を引き出す。五感を使って考えることは12〜18歳の成長期の間でとても大事である。

人類史上初めてブラックホールの撮影に成功したリーダー、本間希樹さんが本校の卒業生。発表から2ヶ月後に来てもらった。栄光時代はサッカー部で高3まで部活動をしていた。練習の合間に芝生の上に寝っ転がって背中全体を草の上に横たえながら遠い空を見上げるのが1番好きな時間だったと言っていた。あの空の向こうはどうなっているのか考えるのが研究の原点だった。

新校舎一昨年完成した。木造二階建ての開放的な作り。子供たちが廊下に出なくてもすぐグラウンドに出て行くことができるので、10分間の休み時間でも外に出て行く。国立競技場の設計を手掛けた隈さん(卒業生)が設計した。

栄光学園は1学年180人しかいない。敷地はとても広いけど生徒数は少なくとても小さな学校。施設を使ってのびのび暮らすことができる。各部それぞれ専用の施設があって兼用しなくてもいい。できるだけ身体を使って考えることを重視している。英語教育ではネイティブの先生が4人いる ただ単に読む書くだけではなく 話す聞く発表するという全身を使った授業。上智大学の留学生と2日間ディスカッションするイングリッシュキャンプや、イエズス会の東アジア地区の高校生が集まるワークショップに1週間参加することも行っている。英語にはスキルの差があるけどコミュニケーション取っていかなければならない。グローバルリーダーは英語力が必要だと言われるがそれは最低限、本当に必要なコミュニケーション能力は言葉だけのコミュニケーションが上手くいかないときにいかにしてその場面を打開するか、自分を表現し相手を理解するか、それには規定のマニュアルはない。試行錯誤しながら行う。ディスカッションだけではなく、食べる、ツアーに出かける、祈るなどの体験を重ねていく。イエズス会教育では身体を使って学ぶことが大事にされている。双方向授業、インタラクティブな授業、自分で考えて表現して発信することがとても大事にされている。栄光の中学入試においてもそうである。アドミッションポリシーは小学校の学習指導要領の範囲を越えないこと。中学校で扱う知識でなければ解けない問題は出さない。覚えてさえいれば答えられる問題だけではなく。栄光の中学に入った後各教科の学習指導につながる問題を出している。ただ答えるだけだと知識を消費するだけ。そうでなく知識を生産すること、課題を解決すること。そういう生徒が栄光に向いている。過程やプロセスを書いてもらう、ある程度の長さの文章を読んで書いてもらう問題を出題している。

指導方法<算数>

大切な力は物事の本質を理解して論理的に物事を導いて行く力。入学後の授業は代数でも幾何でも数学的に物事を考え法則を理解することが大事。地道な計算、すでに分かっている法則を活用すること、小学校で学んだ内容の理解はもちろん大事。正しく条件を把握してどう使うか 条件が複雑でも一つ一つ順を追っていくと解決できる。パターン問題を繰り返し練習するだけではなく、じっくりと時間をかけて一つの問題を解くことを積み重ねていくと対応できる。一つの解法だけではなく別解を考えること、算数の解き方で他の人の考えを聞いたり自分の考えを説明したりコミュニケーションをとることが大事。

指導方法<理科>

自然現象に対して疑問をもち自然を科学的にとらえて学ぶことが理科。入学後の授業では実験や校内の豊かな自然を生かして観察を行う。グラフや図にまとめることが大事。手作業が大事。自分で描くこと、地道な作業をしながらより結果の見えやすいグラフや効率的作業の方法を他と比較して考えることが大事。そういうことを生徒たちと共有したい。知識を実験・観察に生かしてほしい。例えば夏休みの自由研究に一生懸命取り組むこと、条件を変えて比較してみる、時間をかけて観察してみることが大事。教科書や本に載っている通りの結果にならないこともあるがそれこそがチャンス。テーマが見つからない時は栄光の過去の実験テーマを見てほしい。
国語→物語でも説明文でも小学生が無理なく読むことができるものを選んでいる。問題文の中に書かれてあるものを問う問題がほとんど。特殊な知識や閃きは必要ない。書かれてあることについて読み解くことが必要。問題を解くために必要なものは登場人物の心情を想像する感受性ではなく、どこかにあるヒントを探すこと。聞かれた通りの条件で答えることが必要。漢字では止めはねはらいは厳格ではないが、漢字の成り立ちから考えておかしいものは正解にはならない。解という字の右上の刀が突き抜けて力になっているものや、口(くち)という漢字が右上突き抜けて画数が変わっているとダメ。

指導方法<社会>

人間と周囲との関わりについて考えておく、地理的時代的に離れた人のことも考えることが大事。そのためには映像を見たり本を読んだりしてほしい 単語だけで答えるのではなくグラフを書いたり文章を読んで答える問題が多い。文章を書く問題では、求められていることについて書くのではなく、自分が覚えてきたキーワードについて解説すると不正解になる。単語は漢字でないと減点かという質問があるが、小学生なら漢字で書けるというものは減点の対象になる場合がある。

中学入試はその学校の顔 その学校が日常の学習指導の中で大切にしているものが現れる。社会に出た後に他者のために他者とともに生きてほしい。そのためには人から言われたから行うのではなく、自分で考えて自分から発信していくことが大事。

理科の授業

理科教諭/物理研究部顧問の塚本 英雄先生より
理科の授業についてお話しがありました。
その中からいくつかを紹介します。

理科の授業

「理科の授業」(ユーモアあふれる語り口で)「学校紹介の映像は運動しているところばかりなので、脳みぞが筋肉の学校じゃないかと誤解を与える」(と笑いを取ってからお話を始める)。顧問をしている物理研究部は科学の甲子園の県代表になっている。昨年は全国優勝した。今年は準優勝。栄光学園ではサッカー部・硬式テニス部・物理研究部がさかん。この3つで全校生徒の1/3を占める。(ガスバーナーに火をつける練習の映像を見せて)中1だと恐る恐るだが高3になると堂々とやっている。高3でやる他の教科はセンター対策をするが、文系物理はセンター試験対策はしないで研究や工作をする。紙飛行機をまっすぐ飛ばす練習やエレキギターを作る工作などをやっている。
(映像が出ないハプニングあり、口頭で先生が説明)中2は1年間ずっと実験だけ。中間試験はなく期末試験のみ、実験レポートで成績をつける。期末試験は実技試験とペーパーテスト。電流や回路の性質では7.0.kΩの抵抗を作ってくださいという試験をやった。ペーパーを削って回路を作る実技試験。事前に課題を予告されて戦略的に試験に臨む。2学期は写真を取れるカメラを作り、3学期は50〜60グラムの秤を作ってもらう。0.1グラムの誤差で1点減点。学年180人のうち40人は満点取ってくる。秤を天秤で作ると簡単なので配点低い。バネ秤は難しいので50点中60点満点になる。日々の授業で楽しんでくれる人に入ってほしい。映像が出なかったけどツイッターで報告しますので検索してください、(と笑わせてお話を終えた)。

中学サッカー部の話

サッカー部顧問の出口尚弘先生より
栄光学園の中学サッカー部の話についてお話しがありました。
その中からいくつかを紹介します。

中学サッカー部の話

「中学サッカー部の話」現在中学2年のキャプテンと副キャプテンの部活紹介の映像を冒頭に流してから講演。サッカー部の練習は週2日 。①夏の中学総体が最終目標、鎌倉市では優勝したが湘南地区大会では全国まで行った。全国まであと2~3歩というところまで来ている。②1学年に約20人の部員数。③部活動は週2回、なぜならば勉強が第1だから。④サッカー部専用のグラウンドがあり、朝30分昼30分放課後30分の休み時間はサッカー部がグラウンドを自主練習として占有できる。教員は立ち会わず自分たちでやっている。⑤Jリーグのコーチを務めていた方や、フィジカルトレーニングを教えることができる外部の方を招いてのトレーニングも行っている。

倫理の授業、宗教教育

数学科教員の柳下修先生より
倫理の授業、宗教教育について
お話がありました。
そのなかから一部を抜粋して紹介します。

栄光生の学校生活

「倫理の授業、宗教教育」(最初に聴衆に立ってもらって)「じゃんけんをしましょう、私はパーを出しますから勝ってください」(と言って聴衆がチョキを出したら)「そのまま周りの人に挨拶してください。あなたにピース」(と言ってピースサインを出したまま聴衆が自分の周りの人たちに挨拶することをうながす、和やかな雰囲気になる)。教員35年目、中高6年間栄光にいるので、今年で栄光学園は41年目。
倫理・宗教教育の基盤・基本は家庭である。イエス(イエズス)が「いきいきと生きる人間」として最高のモデル。
日常の体験・経験や聖書、歴史上の人物・文学・映画、身近な現実の社会問題を通して学ぶ。中1聖書研究会や高3の聖書研究会の活動紹介。お団子を食べる写真や聖書をみなで読んでいる写真が流れた。ミサでキリストの身体を食べて血を飲むのと同じこと。イエスと自分の間で深いコミュニケーションを取りたい。昔の人だから実際にコミュニケーションをとるのは難しいけれど、人生の日々の選択の時、イエスさんだったら、今どうするかと考えている。人間が人間らしく ひとりひとりが自分らしく生きられること、いきいきと生きる人間=神の栄光であるというのが栄光学園の建学の理念。

入試要項

教務部長の宇佐美修先生より
2018年度の入試要項について
お話がありました。
そのなかから一部を抜粋して紹介します。

生徒募集要項について

生徒募集要項についてのお話。出願資格に通学区域制限があるのは家庭を大切にしているので。19時ごろには帰宅できる、およそ90分を超えない時間で通学できる区域にしている。下宿・寄留は認めない。インターネットによる出願であり、期間は1/8〜1/20。受験票はダウンロードして印刷してほしい。合格発表は掲示2/3午後2時

学校訪問を終えて

都心部ではありえない贅沢な空間の使い方をしている木造2階建ての校舎が印象的。広大な敷地の中で部活に励んだり実験・観察をしたり伸び伸びとした6年間を送ることができる印象。大学受験のために学校が何か対策をとるなどの話は一切出なかった。説明会はユーモアあふれる和やかな雰囲気。進学校にありがちな殺伐とした雰囲気は全くない。